金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

21

新聞購読のお申込み

この人に聞く
沖電線 電極線事業部 吉本雅一事業部長

 1992年室蘭工業大学卒業後、沖電線入社。2006年電極線事業部技術課課長、18年電極線事業部長、現在に至る。

 沖電線(川崎市中原区、044-766-3171)は今年5月、ワイヤ放電加工機用電極線製品を全面リニューアルした。電極線全製品の真円度を現行品の4分の1に抑え、高品質化。パッケージも一新した。電極線製品をリニューアルするのは1976年に発売開始して以来、初めて。「全製品を高品質化することで、放電加工の品質向上に貢献したい」と話す電極線事業部の吉本雅一事業部長に高品質化の理由や今後の展開などを聞いた。

電極線をリニューアル

 76年の販売開始以来、初めて電極線製品をリニューアルした。

 電極線全製品の真円度を現行品の4分の1の0・25μmまで抑え、高品質化を実現した。生産ラインを改良し、ロットごとのばらつきを抑える製造技術を確立したことで可能になった。また、ボビンの透明化や、ボビン巻き始めのワイヤ端末の固定をテープレス化するなど、使いやすさを追求し改良した。

 全製品を高品質化したことによって、製品価格も上がるのでは。

 価格は据え置きだ。確かに高品質化に伴い、設備投資や、より高度な品質管理が必要になり、コストアップしている部分もある。ただ、製造現場の努力によってコストダウンを図り、据え置き価格での提供を可能にした。全製品を高品質化することで、全てのユーザーの放電加工品質の向上に貢献したいと考えている。

ばらつき抑え、高品質化

 電極線のばらつきが低くなると、どんなメリットがあるか。

 放電加工面に生じる“スジ”が低減し加工面品質が向上する。今までは放電加工機の電源制御を調節し加工面品質を改善していたが、高品質な電極線に置き換えることによっても加工面品質の向上が期待できる。

 また、加工面品質が向上することで、放電加工後に行う磨き工程の短縮にもつながる。ある事例では、3μmだった研磨代が1~2μmまで削減できた。工程全体のコスト削減や加工時間短縮のほか、磨き工程が少なくなることで品質の安定化も図ることができる。

 どのように拡販していくか。

 当社の強みは、ユーザーの要求に対して柔軟に対応できる“サービス重視”の営業体制と考えている。放電加工に精通したセールスエンジニアと営業担当者を同行させて、ユーザーに合わせた商品説明や提案を行っていく。

 今後、放電加工はどう進化していくか。

 “速度”か“精度”を追い求めていくだろう。特に日本の金型メーカーでは、“精度”への要求が高まっている。当社としてもさらに精度アップを続け、常に進化した製品を提供していくつもりだ。今後は、面品質に加え、面粗さや寸法精度を向上させていく取り組みを進めていく。また、“速度”でいえば、当社には高速加工用ワイヤ「OS‐UZワイヤ」がある。こうした製品でも放電加工の進化に貢献したい。

 電極線事業部の今後の方向性は。

 このリニューアルにより、「OKI=高品質」というイメージを浸透させていく。精度面で業界ナンバー1を目指しシェアアップにつなげたい。2020年度には電極線事業部の売上高を30億円まで引き上げていく。

金型新聞 2020年5月14日

関連記事

【金型応援隊】KGM経営戦略製作所 勤怠管理・生産管理ツールの導入支援

金型企業にBPOサービス提供 KGM経営戦略製作所は、金型企業向けにBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービスを提供する。 代表の古賀寿彦氏は機械商社から中小企業診断士に転身し、独立した。製造現場に精通する強みを…

【新春特別インタビュー①】日本金型工業会会長・小出 悟氏(小出製作所社長)「旧態依然の手法通用せず、今こそ変わるべき時」

旧態依然の手法通用せず 今こそ変わるべき時 〜金型産業ビジョン〜  1955年静岡県生まれ。78年に工学院大学機械工学科を卒業後、名古屋の金型メーカー高橋精機工業所に入社し、金型づくりを学ぶ。81年にアルミダイカスト金型…

ケイ・エス・エム 金型技術生かし、医療やロボに参入【金型の底力】

徹底して顧客の声を聞く 高温の射出成形用金型を得意とするケイ・エス・エムは医療機器分野への参入やロボット販売など事業の多角化を進めている。新事業の立ち上げで苦労する企業が多い中、成功しているのは「金型技術をコアにものづく…

【新春特別インタビュー⑤】稲垣金型製作所取締役・稲垣 武洋氏「イノベーションを起こし新しい収益モデルを創る」

常識にとらわれない金型 イノベーションを起こし新しい収益モデルを創る 〜新ビジネス〜  1975年生まれ、静岡県出身。98年立命館大学卒業後、富士通に入社し、システム販売などに従事。2004年稲垣金型製作所に入社、18年…

オネストン・鈴木 良博社長「グループで金型強化」

パンチやダイ、強力ばねなどプレス金型部品を取り扱うオネストンは2021年に創業50周年を迎えた。プレス部品専門商社として基盤を築き、近年は「1個づくり」の特殊部品対応やリバースエンジニアリングほか、アメリカ・ケンタッキー…

トピックス

AD

FARO 樹脂成型品や自動車シートの測定での3次元測定アームの活用と新製品Qua...

樹脂成型品の工程管理・不具合解析 樹脂成型品の工程管理や不具合解析の現場では、実際の製品や試作品と設計図との差異把握や、製品や金型の工程ごとの変化量把握、不具合解析や要因分... 続きを読む

関連サイト