昨秋、日本金型工業会は6年ぶりに改訂した「令和時代の金型産業ビジョン」で、金型メーカーはこれまでのように単に言われたものを作るだけの「工場」から、顧客に価値提供する「企業」への変革が必要だと指摘した。これまで続けてきた…
黒田製作所 会長 (岐阜県金型工業組合 理事長)黒田 隆氏
〜鳥瞰蟻瞰〜

若者の興味を引け金型はものづくりの喜びがある
広く知られる業界へ
広く知られる業界へ
若手を育てることは、金型メーカーにとって技術の伝承はもちろん、業界の活性化という点でも大切なことです。量産のものづくりがある限り、マザーツールである金型は不可欠で、金型にはものづくりの原点を創るという魅力が溢れています。それをいかに若者に知ってもらうか。それが次世代の育成における大きな課題だと考えています。
岐阜県金型工業組合は5年前から「岐阜県工業高校生金型コンテスト」を立ち上げ、県内工業高校と協力して、高校生が金型を作り、その金型で製品を作る体験をしてもらっています。組合の金型メーカーにも参加してもらい、高校生とタッグを組んで、金型の面白さや重要性を認識してもらえるように取り組んでいます。これを通じて、毎年40~50人ぐらいが県内の金型メーカーに就職しています。
さらに、金型を知らなかった学校の先生たちも金型への認識を深めたことで、回を追うごとにコンテストに力が入り、ますます活気が出てきました。昨年から少し趣向を変え、金型メーカーが一から教えるのではなく、高校生が自分たちで金型を作ることに専念してもらい、金型への理解度を深めてもらえるようにしています。
金型製作も時代の流れと共に変わってきました。過去は金型職人が1つ1つの金型を作り上げることがほとんどでしたが、それが分業制に変わり、今は機械設備の高度化やIT化で自動化されるようになってきたことで、人材も職人というより設計分野などに長けた技術者が求められ、豊かな創造性や知識を持つことが重要視されています。
ただ、時代は変わっても金型の普遍的な魅力は変わりません。金型は量産のものづくりと異なり、一品一様であるため、常に新しい視点やアイデアがカギを握ります。そのため、本当にものづくりがしたい、ものづくりが好きという人には最適な仕事だと思います。
また、金型は与えられた役割をこなしながら製作していくため、個人の責任感やチームワークが大切で、人の成長にもつながります。学歴を問わず、やる気があればキャリアップができ、定年退職後も経験を活かして、働き続けることができる職業だと思います。
これまでの金型業界は少し閉鎖的で世の中への認知度が低い業種でした。しかし、これからは金型メーカーもオープンになり、知ってもらう機会を設け、若者に興味を持ってもらわなければなりません。理由は人手不足が続いているからです。
「若者は金型に興味がない」とよく聞きますが、そうではないと思います。地道に学校とのパイプを作って信頼関係を構築し、金型の魅力を伝えていけば、金型は面白い、やりがいのある仕事だと若者にも必ず伝わるはずです。それを知ってもらうためにどうすれば良いのか、我々が真剣に考える時が来たのではないでしょうか。
金型新聞 2020年10月2日
関連記事
超硬加工なら任せて 「大事なのはQCDだ。品質が良く、価格は高すぎず、納期も短い。バランスが大事」と話すのは下野精密の下野武志社長。創業から超硬やセラミックスにこだわり、半導体や自動車関連の金型・部品を製作。精度は交差…
今年1月、超硬合金製の耐摩耗工具や金型を手掛ける冨士ダイス(東京都大田区、03・3759・7181)の新社長に春田善和氏が就任した。同氏は管理畑を歩み、財務部長や企画部長を歴任。海外拠点の立ち上げや、事業戦略の策定などに…
鉄の板を金型でプレスすると起こる想定外の歪みや割れ。その原因を見極め、溶接と研磨で補正し、目指す品質に導いていく。解析が進化した今も、自動車のドアや骨格部品の金型は人による玉成がカギを握る。その技能を次代に教えている。 …
我が社しか実現できないモノを 少し高くても選んで頂けるそれがブランド力 従来のお客様と金型メーカーには阿吽の呼吸のようにお互いを必要とする関係があり、スムーズに仕事を進める上で大切です。ですが、…