金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

AUGUST

24

新聞購読のお申込み

三光化成 エアと水のハイブリッド冷却【特集:金型づくりで広がる金属AM活用】

ラティス構造を採用し、材料費と造形時間を削減

自動車関連を中心に6000品目を超える樹脂成形部品を生産する三光化成。ソディックの金属3Dプリンタ「OPM350L」を活用し、水とエアを冷却媒体として活用する「ハイブリッドコンフォーマル冷却」や、金型にラティス構造を採用するなど新たな金型作りを進めている。

プリンタの導入後5年の知見を経て、現在製作するハイブリッドコンフォーマル冷却は設計の工夫や金属3Dプリンタならではの構造を盛り込んだ。まず入れ子部には冷却媒体として水を流す水管を配置した。

一方、「スライドコアにも熱がこもるが、レイアウト次第でスライドコアに冷却回路を配置する事自体が困難となる。エア冷却でも効果があるのではないか」(金型工場の橋本寿工場長)と考え、4分割したスライドコア部にはエア冷却を配置した。

エアと水の冷却を設けたハイブリッドコンフォーマル冷却金型とモックアップ

金型の一部にはラティス(格子状)構造を採用しているのも大きな特長だ。狙いは、高密度に材料を積層しないラティス構造による「高価な材料費の削減」と「造形時間の短縮」だ。「金型の強度さえ担保できるなら、内部が空洞だっていい」と割り切り、ラティス構造を採用。同じ理由で、ラティス部以外にも空洞を多く設けた結果「かなりの造形時間と材料が削減できた」という。

また、「保温効果」という副次的なメリットも生んだ。ラティス構造は造形部の表面積が大きくなるため、「『空気の壁』のような役割を果たし、余分な熱の伝達を防げている」。さらに、縦横斜めに造形するので、宙に浮く部分を造形するオーバーハング対策にもなっているという。

金型の一部にはラティス(格子状)構造を設けた(モックアップ)

こうして製作した金型の冷却効果は非常に高い。従来10ショット程度で132℃まで上昇していた型温が、約85℃で安定。また、金型のダウンサイジングにも成功した。従来の金型では、スライドコアに冷却回路を配置すると、入れ子同士の距離が必要となるため「2個取りが限界だった」。しかし、今回の金型では「4個取りが可能なうえ、金型サイズも相対的に小さくできる」と話す。 

金属3Dプリンタを積極的に活用する三光化成。だがこれで終わりではない。現在も「新たな構造を持った金型部品の製作に挑戦している」という。

自らの経験を踏まえ、橋本工場長は金属3Dプリンタでの金型活用についてこう話す。「従来の金型は『削りだす』ことが前提。しかし、金属3Dプリンタは『盛る』技術。そのため、これまでと異なる設計思想が必要だが、その分可能性も大きい」。

金型新聞 2023年11月10日

関連記事

関西金型メーカー5社に聞く
インターモールド特別座談会

激化する競争に勝ち残る  2017年がスタートして早や3カ月が過ぎたが、不安定な世界情勢の中で日本の金型メーカーは各社各様の課題に取り組んでいる。インターモールド・金型展の開幕を前に関西の金型メーカー様にお集まり頂き、現…

松村精型 見積効率化や戻りない金型づくり【特集:デジタル活用術】

作業を細分化し、デジタル管理 低圧鋳造やダイカスト金型を手掛ける松村精型は、加工や設計などの作業単位を細分化し、コード化して管理している。作業ごとの分析や改善を徹底し、手戻りのない金型づくりを進めるほか、コードに製造コス…

メンテナンスに革命を 清水一蔵氏(福井精機工業社長)【特集:次の10年を勝ち残る4つの道】

EV化などによる金型需要の変化やAMをはじめとする新たな製造技術の登場など金型産業を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化している。金型メーカーには今後も事業を継続、成長させていくため未来を見据えた取り組みが求められてい…

加工現場でも対応進むカーボンニュートラル CO2排出量の見える化【特集:2022年金型加工技術5大ニュース】

金型づくりの世界では、自動化やAM、脱炭素向けなどの最新技術が数多く登場し続けている。その進化は止まることがなく、4年ぶりに開催されたJIMTOF2022でも多数の最新技術が披露され、注目を集めた。今年最後となる本特集で…

南海モルディ 金型補修を自動化【金型応援隊】

特殊鋼材料の販売や金型のメンテナンスを手掛ける商社の南海モルディ(22年9月に南海鋼材から社名変更)は、オリジナル製品「予熱くん」や「肉盛りくん」を開発、販売し好評を得ている。 「予熱くん」は、製造前の金型予熱、焼き嵌め…

トピックス

関連サイト