金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JANUARY

09

新聞購読のお申込み

三光化成 エアと水のハイブリッド冷却【特集:金型づくりで広がる金属AM活用】

ラティス構造を採用し、材料費と造形時間を削減

自動車関連を中心に6000品目を超える樹脂成形部品を生産する三光化成。ソディックの金属3Dプリンタ「OPM350L」を活用し、水とエアを冷却媒体として活用する「ハイブリッドコンフォーマル冷却」や、金型にラティス構造を採用するなど新たな金型作りを進めている。

プリンタの導入後5年の知見を経て、現在製作するハイブリッドコンフォーマル冷却は設計の工夫や金属3Dプリンタならではの構造を盛り込んだ。まず入れ子部には冷却媒体として水を流す水管を配置した。

一方、「スライドコアにも熱がこもるが、レイアウト次第でスライドコアに冷却回路を配置する事自体が困難となる。エア冷却でも効果があるのではないか」(金型工場の橋本寿工場長)と考え、4分割したスライドコア部にはエア冷却を配置した。

エアと水の冷却を設けたハイブリッドコンフォーマル冷却金型とモックアップ

金型の一部にはラティス(格子状)構造を採用しているのも大きな特長だ。狙いは、高密度に材料を積層しないラティス構造による「高価な材料費の削減」と「造形時間の短縮」だ。「金型の強度さえ担保できるなら、内部が空洞だっていい」と割り切り、ラティス構造を採用。同じ理由で、ラティス部以外にも空洞を多く設けた結果「かなりの造形時間と材料が削減できた」という。

また、「保温効果」という副次的なメリットも生んだ。ラティス構造は造形部の表面積が大きくなるため、「『空気の壁』のような役割を果たし、余分な熱の伝達を防げている」。さらに、縦横斜めに造形するので、宙に浮く部分を造形するオーバーハング対策にもなっているという。

金型の一部にはラティス(格子状)構造を設けた(モックアップ)

こうして製作した金型の冷却効果は非常に高い。従来10ショット程度で132℃まで上昇していた型温が、約85℃で安定。また、金型のダウンサイジングにも成功した。従来の金型では、スライドコアに冷却回路を配置すると、入れ子同士の距離が必要となるため「2個取りが限界だった」。しかし、今回の金型では「4個取りが可能なうえ、金型サイズも相対的に小さくできる」と話す。 

金属3Dプリンタを積極的に活用する三光化成。だがこれで終わりではない。現在も「新たな構造を持った金型部品の製作に挑戦している」という。

自らの経験を踏まえ、橋本工場長は金属3Dプリンタでの金型活用についてこう話す。「従来の金型は『削りだす』ことが前提。しかし、金属3Dプリンタは『盛る』技術。そのため、これまでと異なる設計思想が必要だが、その分可能性も大きい」。

金型新聞 2023年11月10日

関連記事

現代の名工・三井ハイテック 木下 易之氏に聞く「次世代の匠に必要なもの」

デジタル技術や自動化技術の進化によって金型づくりはここ数年、大きく変化している。これから金型技術者にはどのような技能や能力が求められるのだろうか。それとは逆に、時代を越えても変わらず求められることは何だろうか。高度な研削…

日本金属プレス工業協会 久野忠博新会長インタビュー、交流深め、地域と国のパイプ役に

人手不足や事業承継問題に取り組む 「地域の工業会との交流を深め、プレス業界として、もっと発信力を高めたい」。そう話すのは、6月の総会で日本金属プレス工業協会(日金協)の会長に就任した久野忠博氏(久野金属工業社長)。プレス…

【新社長に聞く】アカマツフォーシス  稲波 孝 社長

【新社長に聞く】アカマツフォーシス 稲波 孝 社長

技術提案力磨き、生産効率高める 信頼されるパートナーに いなみ・たかし1968年生まれ、大阪府四条畷市出身。86年太成高校(現太成学院大学高校)卒、赤松合金工具に入社。2006年営業技術部長、19年総括本部長、20年12…

「微細加工分野に注力」GFマシニングソリューションズ社長・ローラン・キャステラ氏

放電加工機やマシニングセンタ(MC)、自動化システムなどを手掛けるスイス・GFマシニングソリューションズ。今年1月、日本法人(東京都品川区、03-5769-5010)の社長にローラン・キャステラ氏が就任した。今後、金型メ…

この人に聞く 2014 CAPABLE 河原 洋逸社長

この人に聞く 2014 CAPABLE 河原 洋逸社長

海外の金型市場に活路 半導体金型でファブレス、設計・営業に特化  海外に金型市場があるならそれを取って日本で作ればいい―。それを実践しているのが、半導体封止装置金型に特化したファブレス企業のCAPABLE(京都市南区、河…

トピックス

関連サイト