デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスを変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)。しかし、人が介在する金型づくりでDXを進めるのは簡単ではない。金型企業はDXをどのように考え、取り組むべきなのか。先進…
エフアンドエム 5軸機導入コンサル【特集:金型メーカーのコト売り戦略】
製造業の競争力向上を支援
自動車骨格部品のアルミ押出金型などを手掛けるエフアンドエムが3年前から始めたのが「5軸機導入コンサルティングサービス」だ。長年培った経験やノウハウを生かし、導入を検討する金型や部品メーカーに5軸機や機器を提案、使い方をサポートする。目的は日本のものづくりの競争力底上げと、企業間アライアンスの構築だ。
「5軸でしか実現しない加工に挑戦したい」「複数の3軸機を5軸機1台に集約したい」。コンサルでは依頼主の多様なニーズに応じそれを実現する5軸加工の技術と使い方を指南する。コーチングでは加工プログラム作成や操作の方法にとどまらず、最適な機械や工具、機器を選定し、トラブル対策なども指導する。

重きを置くのが5軸加工を運用し続けてもらうこと。導入してもトラブル続きや技術の応用が無ければ効果は少ない。「導入のやり方と同時に、コーチングを受ける技術者の育成もする。5軸加工の知識とスキルを身につけて貰えば導入後も応用ができ、生産性や品質を向上し続けられる」と市井宏行社長は話す。
そうした5軸加工の包括的な技術指南ができるのは長年の経験に基づく。5軸機を初めて導入したのは今から19年前。当時金型業界では馴染みがほぼ無かったが「先駆けて使いこなせば競争力になると感じた」(市井社長)。試行錯誤を重ねて運用し、その後も新型の5軸機を導入し続けスキルを磨いている。

コンサル開始から約3年。最近目立つのが技術課題を5軸加工で乗り越えたいという依頼だ。例えば自動車の電動化で金型の素材が変わり形状が複雑に。従来の設備でも加工できるが手間と時間がかかる。5軸加工で時間とコストを削減し品質をもっと高めたい。「そうした金型や部品メーカーの挑戦を後押ししたい」(市井社長)。
一方、コンサルを通じて作ろうと考えているのが『ものづくり企業とのアライアンス』。エフアンドエムは社員15人の中小企業。5軸機や複合機による金型加工は得意だがそれ以外は不得手だし投資予算も少ない。しかしコンサルを通じて多種多様な技術を持つ企業と知り合い協力関係を作ればそこに参加する企業は互いに仕事を助け合える。
目指しているのが、『ゆるい関係のアライアンス』。構成する企業で組織を運営するのではなく、フラットな関係でゆるやかにつながり合う。「その方が仕事で互いに協力しやすいし、技術交流もしやすい。5軸機導入コンサルを通じて、このアライアンスに入ってくれる会社を増やしていきたい」(市井社長)。
会社概要
- 本社:富山県高岡市米島862‐1
- 電話:0766‐26‐8585
- 代表者:市井宏行社長
- 創業:1991年
- 従業員数:15人
- 事業内容:自動車部品のアルミの押出金型やダイカスト金型の設計・製作。
金型新聞 2024年2月10日
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