加工効率高める金型を設計 歯ブラシのプラスチック金型を手掛ける武林製作所(大阪府八尾市、072・998・1207)の金型設計技術者・千田雄一さんが、2023年の「八尾ものづくり達人」に選ばれた。金型の加工効率や品質を高め…
牧野フライス製作所 執行役員 高山幸久営業本部長に聞く【特集:進む設備の大型化】
大型機組立工場新設の理由
牧野フライス製作所は昨年末、山梨県富士吉田市に大型加工機の組み立て工場を新設すると発表した。12年ぶりの新工場で、総額210億円を投資し、大型加工向けを強化する。2026年初めに本格稼働する予定で、需要拡大が期待される大型金型向けの5軸マシニングセンタ(MC)などを増産する。「部品の一体化や軽量化などで増える金型の大型化の需要に対応する」と話す高山幸久営業本部長に、工場新設の狙いや大型化する設備のトレンドなどを聞いた。

生産能力を2倍に
12年ぶりとなる新工場の概要は。
部品のユニットや鋳物加工などを手掛けていた富士吉田工場の隣接地に新棟を3つ設ける。1万2000㎡の大型加工機の組み立て工場のほか、1万3500㎡の倉庫、レセプションの3つで、総額210億円を投じ、大型分野を強化する。大型機を新工場に集約するかは未定だが、増産に加え、柔軟な生産体制の構築につなげる。
増産する加工機は。
金型向けでは大型の5軸MC「D2」や「V100S」を始めとするVSシリーズなどを想定している。半導体関連や航空機向けの大型加工機を増やす予定だ。台数は公表していないが、生産能力としては、現状から2倍にまで引き上げる。
大型を強化する理由は。
需要が拡大する可能性が高いためだ。金型では「軽量化」や「部品点数削減」を目的に、ダイカスト部品が増加しており、ギガキャストで大型化も進む。自動車のデザイン性が求められる中で、テールランプ一体のバックドアなど「一体化」も大型化を加速させている。
また、金型以外でも航空・宇宙、半導体部品で大型化が進んでいることから、供給力を強化する必要があると判断した。
大型加工のニーズは。
大型でも「5軸」や「高精度」は変わらない。むしろ大型ほど「ワークは下ろしたくない」ため、同時5軸は加速すると思う。高精度でも、小型加工機と変わらない精度が求められる。例えば15トンのワークに対応する5軸MC「V100S」。R0・3の工具で仕上げ加工したり、機械安定化技術の「eSTABILIZER」などを搭載したりしたことで、国内でも導入が進んでいる。
また、大型機の加工サンプルは見て頂く機会が限られるので、キャラバンカーで全国を回る仕組みも構築した。
今後について。
今回は組み立て工場だが、主軸やテーブルなどの増産も必要になるため、継続した投資を検討しなければいけない。ギガキャストも注目されているが、入れ子構造になる見方も多く、どんな機械サイズが求められるのか見極める必要がある。こうしたユーザー動向に注視しながら、顧客の要望に応えられるようにラインアップをそろえていく。
金型新聞 2024年3月10日
関連記事
「30年間お客様とものづくりを改善し続けられる存在でありたい」—。そう話すのは一昨年に新日本工機の社長に就任した中西章氏。ライフサイクルの長い大型機械が強みなだけに、「長期間にわたって、顧客のものづくりをサポートするのは…
EV化などによる金型需要の変化やAMをはじめとする新たな製造技術の登場など金型産業を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化している。金型メーカーには今後も事業を継続、成長させていくため未来を見据えた取り組みが求められてい…
5万個の部品生産可能に 製品設計会社のスワニーは、樹脂型を3Dプリンターで製造し、量産材料で射出成形が可能な「デジタルモールド」を手掛ける。同社はこれに加え、金属3Dプリンターで製造する金型「アディティブモールド」を岡谷…
誰でも高精度な研削 金型づくりで欠かせない研削加工。仕上げに近い工程のため、熟練技能を必要とする領域は多い。しかし近年、長年培った経験やノウハウを持っていなくても高精度の研削加工ができる機械や装置などが登場している。人手…


