粉末冶金金型を手掛ける小林工業は、ヘリカル形状を回転機構を持たない成形機で粉末成形する技術を開発した。粉末を均一にするプレス技術と、回転しながら製品を取り出す独自の金型によって実現した。ニアネット成形することで超硬エンド…
TMW、平和電機、TECMO WORKS 電力3割減のホットランナを開発
3社が共同開発
プラスチック金型メーカーのTMW(愛知県稲城市、立松宏樹社長)はこのほど、ヒーターメーカーらと共同で、消費電力を従来比で3割削減できるホットランナシステムを開発した。マニホールドの断熱や、カートリッジヒータの制御、特殊なノズルを採用することで実現した。まずはTMWの金型に採用していく計画で、2025年の販売開始を目指す。
消費電力を削減できるホットランナシステム「CN—HR」は、ヒーターメーカーの平和電機(愛知県一宮市、大澤考佳社長)、金型業向け経営・技術のコンサルタントのTECMO WORKS(三重県桑名市、俵菊生社長)の3社で共同開発した。
それを可能にした技術は大きく3つある。一つ目はマニホールドの放射熱を効率よく閉じ込めたこと。これまで断熱材で抑える方法はあったが、運用面で課題もあったため、ステンレス製のカバーを採用した。
もう一つがカートリッジヒータの最適制御。一本のカートリッジヒータを3つの部分ごとに最適に温度制御できるようにした。これにより、熱が必要な部分を高温にする一方、熱が蓄積される中央部は温度が高まるとスイッチを切れるようにした。最後が独自開発したノズル部。ヒータの発熱を効率よく伝えられるような特殊機構を採用した。
こうした技術により、従来に比べ、消費電力を3割削減することに成功した。さらに性能面でも、230℃まで高温にする試験では、昇温性能も温度の安定性も共に改善したという。
今回開発したホットランナは省エネ効果の高い仕様で比較的大型の金型に適している。一方、ノズルの温度を安定化させることを重視したタイプも同時に開発を進めており「そちらはガス発生の抑制につながると考えており、エンプラを使用する精密金型に提案していきたい」(俵社長)という。
現在は、TMWの大型金型で効果などを試しており、まずは同社の金型に採用していく計画だ。製品としての販売は25年頃の予定で、価格は「従来のホットランナより高くなるが、削減した電気使用量(価格)と相殺できる程度で検討している」(俵社長)という。
金型新聞 2024年9月10日
関連記事
精密加工機「μV5」 三菱重工工作機械の公式製品紹介は、こちらから 現場の課題 自動車部品で、小径工具の加工が必要な金型が大型化。幅広いサイズの工具やワークに対応できる高精度なマシニングセンタが求められている。 提案・…
工作機械主軸(スピンドル)のアンバランスは、機械全体に大きな振動をもたらし、加工精度の悪化や機械寿命の低下などさまざまなトラブルにつながる。そのため、加工現場の多くはバランサを用いて、アンバランス量を計測し、補正を行って…
被削性3.5倍に 日立金属(東京都港区、03-6774-3001)はこのほど、被削性を従来品よりも約3.5倍に高めた冷間ダイス鋼「SLD‐f」を開発、8月から量産を開始した。自動車部品のハイテン化が進む中、金型の寿命向上…
誰でも高精度な研削 金型づくりで欠かせない研削加工。仕上げに近い工程のため、熟練技能を必要とする領域は多い。しかし近年、長年培った経験やノウハウを持っていなくても高精度の研削加工ができる機械や装置などが登場している。人手…