AI機能搭載の図面検索システムを導入 精密プラスチック金型を手掛けるキヤノンモールドは、キヤノン生産技術部門と共同で開発したAI機能搭載の「類似図面検索システム」を2022年に導入。これを活用し、誰でも簡単に見積もり算出…
金型メーカー 生産性向上が急務 【特集 攻める設備投資】
金型メーカーの生産性向上が急務だ。少子高齢化による人手不足の深刻化に加え、金型メーカー事業所数の減少により1社当たりの生産負担が増加し、より多くの金型を生産できるかが金型メーカーの持続的成長の重要な要素の一つとなっている。いかに生産効率を上げ、生産能力を引き上げるか。中でも新しい生産設備や技術の導入は重要な方策の一つ。設備投資を積極的に進め、生産性を向上させることが金型メーカーの成長につながる。

設備投資が持続的な成長の鍵
製造業事業所調査によると、2022年の金型メーカー事業所数は4357事業所とピークだった1990年の1万3115事業所に比べ、3分の1まで減少した。一方で、生産金額は91年のピーク時が1兆9575億円だったのに対し、2022年は1兆3395億円と3割ほどの減少にとどまっており、事業所数の減少ほど落ち込んではいない。
こうした需給バランスの変化によって、以前に比べ金型メーカー1社当たりの生産負担は大きくなっている。今後、金型メーカーが持続的な成長を続けていくためには、これまで以上に生産性の向上に取り組む必要がある。その中でも設備投資は重要な活動の一つだ。
近年、金型メーカーに限らず中小企業の設備投資は増加傾向にある。昨年発表された中小企業白書によると、12年に12・6兆円だった中小企業の設備投資額は、21年に18・2兆円まで拡大した。直近3年では約4割の中小企業が投資を実施。製造業は半数以上が何らかの設備投資を行っているという。
金型メーカーの中にも億単位の投資額をかけて新工場を建設し、最新の工作機械やソフトウエアなどを導入する企業も少なくない。プレス金型メーカーのササヤマ(鳥取県鳥取市)は22年に約7億円をかけて工場増築と土地購入。金型製作期間を半分に短縮する取り組みを進めている。
政府も中小企業の設備投資を支援するため、各種補助金制度の強化、拡充を図っている。24年度補正予算の「ものづくり補助金」では、賃上げや最低賃金の引き上げに取り組む事業者に対し補助率や補助上限の引き上げを実施している。
新たに創設された「中小企業成長加速化補助金」は補助上限額5億円と大規模な投資が可能な制度で売上高100億円を目指す中小企業を対象とする。他にも24年度補正予算や25年度当初予算では金型メーカーの生産性向上を後押しする補助金が予定されている。
中小企業白書によれば、設備に投資した企業の54・1%は売上高が増加しており、実施しなかった企業で売上高が増加したのは35・4%という。企業の成長に設備投資が欠かせないことは明白だ。機械や工具、ソフトウエアは進化を続けており、加工精度や生産効率はこれまで以上に向上している。こうした最新技術を取り入れることが次代の金型産業をつくる。
金型新聞 2025年3月10日
関連記事
PART1:金型メーカーアンケート「次世代に必要な匠の技は?」PART2:「自動化の匠」 アイジーエヴァースPART3:「5軸加工の匠」 エフアンドエムPART4:「金属3Dプリンタの匠」 三光合成PART5:「現代の名…
脱炭素社会に向けた取り組みがものづくりで加速し、金型業界でもその動きが広がりつつある。先手を打つ金型メーカーの対応には大きくは2つの方向性がある。一つは、太陽光パネルの設置や設備の省エネ化などによる自社の生産活動でCO2…
型技術者会議2025特別セッション1 で講演 金型のサプライチェーンには3次元や2次元、紙など様々な形式の図面が行き交っている。それが金型設計の時間、コスト、人材育成の手間がかかる原因になっている。サプライチェーン全体で…
4月19〜22日、東京ビッグサイト青海展示棟で開催された国内最大の金型加工技術展「インターモールド2019」。注目を集めたのは、自動化や3Dプリンティング、IoTやAIなどより進化した次世代の技術だ。かつては夢物語だっ…


