新天地を求めて、世界に進出していった日本の金型メーカーは、何を考え、どんな苦労や課題を乗り越えて、取り組みを進めてきたのか。また、さらなる成長に向け、どんな青写真を描いているのか。中国、タイ、メキシコ、アメリカ、欧州そ…
松村 浩史さん 鋳造技術で自動車づくり支える【ひと】

今春の勲章で旭日単光章を受章した。世界中で安定して内燃機関向けの金型やダイカスト部品を供給し、自動車産業を支えてきたことなどが認められた。
松村精型への入社は1978年。当時では珍しいCAD/CAMの導入や解析ソフトの開発に携わるなど、デジタル化を推進。木型一本だった同社をダイカスト金型や部品メーカーに転換させ、2000年代以降は海外展開を加速させるなど改革を進めた。
デジタル畑が長かったことと、海外を開拓した経験から「世界中のユーザーが欲しいのは金型ではなく良品。何十万ショットと同じ製品を生み出せる再現性の高い金型づくりにはデジタル技術が不可欠」という。
また、「金型はツールでしかない。本当の価値は安定した品質の製品を供給できる金型と、それを使って価値の高い製品を作るエンジニアにある」が持論。そうした考えから、ダイカスト金型メーカーでは珍しく、早い段階で試作用の鋳造機を導入し、鋳造技術を高めてきた。
足元では自動車の内燃機関の減少が懸念されている。ただ「電動化とEV化は違う」と冷静に分析。「安全性を高めるためにセンサを取り付けるなど自動車の電動化は進むが、駆動は全てEVにはならず、エンジンはなくならない」とし、今後も高い金型と鋳造技術で製造業を支え続ける。
金型しんぶん2025年11月10日号
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