金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

APRIL

15

新聞購読のお申込み

【新春特別インタビュー①】日本金型工業会会長・小出 悟氏(小出製作所社長)「旧態依然の手法通用せず、今こそ変わるべき時」

旧態依然の手法通用せず 今こそ変わるべき時 〜金型産業ビジョン〜

 1955年静岡県生まれ。78年に工学院大学機械工学科を卒業後、名古屋の金型メーカー高橋精機工業所に入社し、金型づくりを学ぶ。81年にアルミダイカスト金型の小出製作所に入社。その後ずっと営業畑で、国内外を営業として飛び回る。2006年に社長就任後は中国やインドやバングラディッシュに進出。19年には長崎に設計開発、人材育成の拠点を設ける。

 金型業界を取り巻く環境は変化し続けています。とくに、トヨタ自動車の豊田章夫社長が「百年に一度の変革期にある」と指摘した頃から、環境の変化に留まらず、構造が変化してきているように思います。人が採用できなかったり、IoTなど新技術が登場したり、精度要求が急激に高まったり。構造が変化しているのだから、旧態依然のやり方では通用しない。

 そして昨年のコロナ禍。神様から今変わらなければ「もう知らないぞ」と突き付けられているのだと思います。

 こうした状況の中、昨年9月「令和時代の新金型産業ビジョン」を策定しました。詳細は工業会のホームページで紹介していますが、象徴的なワードが「工場から企業へ」です。「企業」は顧客に価値を提供することで利益を追求する存在。言われたものだけを作る「工場」から脱却し、「企業」に変わらなければいけません。

 では、顧客の価値は何か。品質・納期・コストは当然ですが、環境負荷低減、社会的価値の創出など多様化しています。だからこそ、我々も強みだったもの作りや技術以外に目を向け、そこを伸ばす必要があります。

 というのも、ものを作る部分の価値が相対的に下がっているからです。昔はものを作ること自体の価値が80%くらいあった。しかし、機械やソフトの進化によって、その価値は20%程度に下がっていると思います。残りは、どう効率よく作るかといった事前の計画や仕組みを考える部分にあります。

 そこを強化するには今までのやり方では難しい。情報量や精度が飛躍的に高まる中、人が気づかないミスを減らし、的確に処理するにはIoTの活用などが不可欠になると思います。

 また、ビジョンでは、いくつか戦術を挙げましたが、その一つに「連携」があります。これも自由に考えるべきです。例えば設備共有。1社で600時間の稼働は難しいけれど、3社で設備負担して、200時間ずつ使えば600時間は可能かもしれない。総務や経理の連携があってもいい。

 こうした取り組みが必要なのは「日本の金型生産能力1兆5000億円を守る」ためです。この規模が無ければ機械メーカーも工具メーカーも我々を訪問できなくなくなるし、金型づくりのインフラが成り立ちません。再編や連携で事業所数が減ったとしても、1兆5000億円程度の生産能力は必要です。

 そのために何をすべきか。それは各社で異なりますが、ビジョンを参考の一つにしてもらえればと思います。ビジョン通りすればいいということではありません。否定して頂いてもいい。否定することは「うちはどうしようか」と考えるきっかけにもなりますから。考え続けなければ、アイデアも発想も浮かびません。

 何もせず楽をして過ごせる時代ではありません。変化に気づかない、ゆでガエルにならないように、今こそ変わるべき時だと思います。

金型新聞 2021年1月10日

関連記事

Hexagon MI グループ企業4社を統合【この人に聞く】

計測からソフトまで一貫サポート 今年7月、計測機器やCAD/CAMなどの企業を傘下に持つHexagonグループの4社が統合し、Hexagon Manufacturing Intelligence(以下Hexagon MI…

棚澤八光社 岩手工場新設、東北でシボ加工を提供【金型応援隊】

シボ加工などを手掛ける棚澤八光社は今年4月、岩手県一関市に国内10拠点目となる岩手工場を設立した。集積が進む自動車産業を中心に東北地区の顧客に対し、より迅速かつ充実したサービスを提供していく。 岩手工場には10t/10t…

久野功雄氏

【プレス型特集】
久野金属工業 久野 功雄専務に聞く
飽き性を夢中にさせたプレス金型の魅力

自動車を中心に高精度かつ複雑形状な部品の開発、金型製造、量産まで手掛ける久野金属工業。EVなど次世代自動車の部品を生産する一方、ITを活用した改善活動など社内改革も積極的に行っている。その改革を推進してきたのが入社19年…

新日本テック 産学連携でネットワーク構築し、金型の課題解決【金型の底力】

超精密金型部品や機能性金型部品、金型製作(プレス・モールド)を手掛ける新日本テックは設備や配管内に溜まった水垢(スケール)を除去する金型用水あか防止洗浄液を開発した。射出成形金型の温調水を流す配管のスケール除去などに有効…

冨士ダイス 西嶋守男社長に聞く<br>世界で認知されるブランドに

冨士ダイス 西嶋守男社長に聞く
世界で認知されるブランドに

生産効率向上し、需要増に対応  耐摩耗工具メーカーとして国内トップシェアを誇る冨士ダイス。超硬合金製のダイスやロール、製缶用金型、ガラスレンズ成形用金型など耐摩耗工具に特化した事業を展開し、来年には創業70年を迎える。「…

トピックス

関連サイト