コネクタメーカーを始め、全国の金型ユーザーから補修の依頼が舞い込む。50μmという微細な肉盛り溶接ができるからだ。あまりに微細なため、溶加棒も自社製というこだわりを持つ。 また微細溶接だけではなく、ダイカスト金型等のボリ…
【新春特別インタビュー①】日本金型工業会会長・小出 悟氏(小出製作所社長)「旧態依然の手法通用せず、今こそ変わるべき時」
旧態依然の手法通用せず 今こそ変わるべき時 〜金型産業ビジョン〜
1955年静岡県生まれ。78年に工学院大学機械工学科を卒業後、名古屋の金型メーカー高橋精機工業所に入社し、金型づくりを学ぶ。81年にアルミダイカスト金型の小出製作所に入社。その後ずっと営業畑で、国内外を営業として飛び回る。2006年に社長就任後は中国やインドやバングラディッシュに進出。19年には長崎に設計開発、人材育成の拠点を設ける。

1955年静岡県生まれ。78年に工学院大学機械工学科を卒業後、名古屋の金型メーカー高橋精機工業所に入社し、金型づくりを学ぶ。81年にアルミダイカスト金型の小出製作所に入社。その後ずっと営業畑で、国内外を営業として飛び回る。2006年に社長就任後は中国やインドやバングラディッシュに進出。19年には長崎に設計開発、人材育成の拠点を設ける。
金型業界を取り巻く環境は変化し続けています。とくに、トヨタ自動車の豊田章夫社長が「百年に一度の変革期にある」と指摘した頃から、環境の変化に留まらず、構造が変化してきているように思います。人が採用できなかったり、IoTなど新技術が登場したり、精度要求が急激に高まったり。構造が変化しているのだから、旧態依然のやり方では通用しない。
そして昨年のコロナ禍。神様から今変わらなければ「もう知らないぞ」と突き付けられているのだと思います。
こうした状況の中、昨年9月「令和時代の新金型産業ビジョン」を策定しました。詳細は工業会のホームページで紹介していますが、象徴的なワードが「工場から企業へ」です。「企業」は顧客に価値を提供することで利益を追求する存在。言われたものだけを作る「工場」から脱却し、「企業」に変わらなければいけません。
では、顧客の価値は何か。品質・納期・コストは当然ですが、環境負荷低減、社会的価値の創出など多様化しています。だからこそ、我々も強みだったもの作りや技術以外に目を向け、そこを伸ばす必要があります。
というのも、ものを作る部分の価値が相対的に下がっているからです。昔はものを作ること自体の価値が80%くらいあった。しかし、機械やソフトの進化によって、その価値は20%程度に下がっていると思います。残りは、どう効率よく作るかといった事前の計画や仕組みを考える部分にあります。
そこを強化するには今までのやり方では難しい。情報量や精度が飛躍的に高まる中、人が気づかないミスを減らし、的確に処理するにはIoTの活用などが不可欠になると思います。
また、ビジョンでは、いくつか戦術を挙げましたが、その一つに「連携」があります。これも自由に考えるべきです。例えば設備共有。1社で600時間の稼働は難しいけれど、3社で設備負担して、200時間ずつ使えば600時間は可能かもしれない。総務や経理の連携があってもいい。
こうした取り組みが必要なのは「日本の金型生産能力1兆5000億円を守る」ためです。この規模が無ければ機械メーカーも工具メーカーも我々を訪問できなくなくなるし、金型づくりのインフラが成り立ちません。再編や連携で事業所数が減ったとしても、1兆5000億円程度の生産能力は必要です。
そのために何をすべきか。それは各社で異なりますが、ビジョンを参考の一つにしてもらえればと思います。ビジョン通りすればいいということではありません。否定して頂いてもいい。否定することは「うちはどうしようか」と考えるきっかけにもなりますから。考え続けなければ、アイデアも発想も浮かびません。
何もせず楽をして過ごせる時代ではありません。変化に気づかない、ゆでガエルにならないように、今こそ変わるべき時だと思います。
金型新聞 2021年1月10日
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