技能検定に挑む技術者の目は普段のそれと輝きが異なるという。レベルの違う課題に出会い、技術の海の広さと、自らを知る。「受検者のそうした『成長』の一端に携われることが嬉しい」。 岡山県の技能検定委員として機械加工や放電加工を…
リーダーの条件[part1] 経営のカリスマが心掛けていること
サイベックコーポレーション 顧問 平林 健吾氏
1944年生まれ、長野県出身。工作機械メーカー、プレス部品メーカーを経て、73年に信友工業(現サイベックコーポレーション)を設立。2009年顧問。18年旭日単光章を受賞。冷間鍛造順送工法を国内で初めて開発。メーカーと共同で設備の開発にも取り組み、リンクモーションプレス機などを開発した。座右の銘は「不撓不屈」、好きな言葉は「先見術」。


1944年生まれ、長野県出身。工作機械メーカー、プレス部品メーカーを経て、73年に信友工業(現サイベックコーポレーション)を設立。2009年顧問。18年旭日単光章を受賞。冷間鍛造順送工法を国内で初めて開発。メーカーと共同で設備の開発にも取り組み、リンクモーションプレス機などを開発した。座右の銘は「不撓不屈」、好きな言葉は「先見術」。

リーダーは、全てを分かっていないといけません。自分ができないこと、分からないことは、社員に指示することはできないですからね。新しいものをどんどん取り入れ、自分で動かして、使えるということを社員に見せていく。こういうことが、リーダーには必要です。
私も29歳で独立し、現在の会社を立ち上げましたが、金型製作は一から学びました。当時まだ出始めだったワイヤカット放電加工機を県から融資を受けて約2000万円かけて導入し、金型づくりに挑みました。当時のワイヤカットには自動結線機能がなかったので、機械の横で寝泊まりしながら、休みなく機械を動かし続けたことを記憶しています。また、CAD/CAMも一から学び、自分で試行錯誤しながら覚えていきました。
現在、当社はメーカーと共同開発したプレス機や高精度マシニングセンタなど最新鋭の設備を導入し、金型づくりも高度化していますが、原点はここにあります。金型づくりに一から取り組み、原理原則を理解したからこそ、新しい機械や技術を取り入れることができているのだと思います。
今はデジタル化の時代です。IoTやAIといった次世代技術を活用し、これまで我々が培ってきたノウハウをいかにデジタル化するかが、今後の金型づくりのカギになると考えています。
これらの新しい技術がどういう仕組みで、どのように自社に取り入れることができるのか。これからのリーダーには、こうした知識を身に付け、理解することが求められると思います。そして、そこで得た知識やノウハウを自身の中に留めるのではなく、社員に伝えていくことも大事です。そうすることで、会社全体のレベルアップにつながります。
ものづくりはこれから大きく変化します。リーダーは、この変化を敏感にとらえ、先を読んで対応していかなければなりません。それには、常に新しい情報を手に入れることが重要です。国の動きを把握することはその一つ。国の方針と異なった方向に進んでしまえば、補助金などの支援策を活用することができず、新たな設備投資も難しくなります。また、業界団体や大学、研究機関など外部の方と積極的に交流することも大事です。会社の中に閉じこもっていては、新しい情報も入ってきませんからね。
今の金型メーカーの経営者の多くは2代目や3代目で、設備や人もある程度揃っているという状況にあると思います。こうした中で一番大事になってくるのは、「ミッション(使命)」です。自分の会社の「ミッション」は何なのか、進むべき方向は。リーダーは、こうしたことを常に頭に置いた上で対応する必要があると思っています。
世界的に脱ガソリン車の動きが広がり、金型産業への影響が懸念されていますが、一つ言えるのは、金型は量産する上では無くてはならない技術で、今後も決して無くなることはないということ。ただし、作り方は変わっていくはずです。新しい素材が登場したり、機械がより高度化したり。先入観にとらわれず、柔軟な発想で新しい技術や新しい分野に挑戦し、変化に対応できるリーダーこそ、これからの時代に必要なのだと思います。
金型新聞 2021年2月10日
関連記事
各種工業用ヒーターや金型均熱システムなどを手掛ける平和電機(愛知県一宮市、0586-77-4870)は独自のエンジニアリング力を強みに、金型メーカーの様々なニーズに応える。近年はSDGsなど循環型社会への貢献を目指し、新…
金属3Dプリンタを使った金属積層技術(AM技術)は様々な分野で広がっている。代表的なものは航空宇宙、医療、自動車で、さらに多方面へ拡大することは間違いない。そこで金属3Dプリンタを活用した次世代の金型づくりの可能性を探…
金型以外にも視野 原点から新たな発見 日本金型工業会東部支部天青会の会長に今年5月、就任した。「原点に立ち返って、色々な視点から根本を見直せるような活動をしていく」と今年度のテーマに「原点回帰」を掲げる。 天青会に入…
売上高1,000億円目指す 今年3月、ソディックは、圷祐次副社長が代表取締役CEO社長執行役員に就く人事を発表した。欧米経験が長い圷社長は自身のミッションを「ソディックを真のグルーバル企業にすること」と明言する。売上高は…