金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

APRIL

19

新聞購読のお申込み

金型製作の効率化を追求 笹山勝氏(ササヤマ社長)【特集:次の10年を勝ち残る4つの道】

EV化などによる金型需要の変化やAMをはじめとする新たな製造技術の登場など金型産業を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化している。金型メーカーには今後も事業を継続、成長させていくため未来を見据えた取り組みが求められている。既存の事業を強化するのか、派生技術を伸ばすのか、あるいは新事業に手を伸ばすのか。さまざまな戦略が考えられる。金型メーカー経営者にインタビューし、次の10年を勝ち残るための戦略について聞いた。

金型を強化する

ササヤマ 笹山勝社長

自動車部品のプレス金型を手掛けるササヤマは昨年、新中期経営計画(2022年8月~23年7月)をスタートした。最終年度に金型製作期間の半減や工程内の作業不適合ゼロを目指す。金型製作の効率化を追求し、次代を担う人材が生き生きと働ける環境をつくる。

新中期経営計画「SAIMS247」の最たる目標は金型製作期間の半減。デジタル技術による生産進捗の見える化。加工棟の新設と工場集約による効率化。各工程の品質向上による修正やトライの削減。これらによって目標を達成したい。

製作期間を半減することができれば競争力を高めることができる。製作期間の早さを強みに他社と差別化できる。生産効率の向上でムダを減らし収益性も改善する。当社が得意とするウルトラハイテンなどの金型の競争力をより高めたい。

ただ、新中計の真の目的は「次代の人材が生き生きと働ける環境づくり」。金型は受注の波で仕事量が変わる。だが働き方改革で仕事に注げる時間は限られている。そんな中でも生活と調和しながら仕事にやりがいを持てる環境をつくりたい。

当社は創業から雑貨、白物家電、テレビ、自動車と手掛ける金型を変え時代の動きに順応してきた。しかし近年、人口減少や車のEV化、SDGsなど取り巻く環境は大きく変化している。勝ち残るにはこの変化に対応しなければならない。

企業は人なり。金型の力をさらに磨く、新たな事業に挑戦する。そうした変化への対応でカギを握っているのは何よりも人材だ。当社は昨年、設立50周年を迎えた。100年企業を目指し次の50年を担う人材が育つ環境づくりに力を入れる。

他の特集記事は以下から

金型新聞 2023年1月10日

関連記事

【特集】5つの視点から探る プラ型のあした<br>日本のお家芸復活のカギは

【特集】5つの視点から探る プラ型のあした
日本のお家芸復活のカギは

 今なおリーマン・ショック前の7割の生産額―。プラスチック金型は、リーマン前の水準に戻った鍛造型や8割のプレス金型などと比べると回復していない。技術力、そして生産力でも圧倒的に世界をリードした「日本のお家芸」の復活のカギ…

座談会 全景

新春座談会
金型メーカー4社が語る
新時代の経営戦略

独自の力を醸成 壁を乗り越える 新時代の経営戦略 座談会出席者(50音順) 伊吹機械 伊吹宏一営業部長  事業の80%がプレス金型、20%がプレス金型組込産業機械。プレス金型はこの20年で自動車関連の仕事が大幅に増え、7…

金型メーカーの新分野展開が加速する

事業再構築補助金を活用 金型メーカーの新分野展開、業態転換が加速している。コロナ禍や、自動車の電動化などによって事業環境が大きく変化する金型業界。多くの金型メーカーが2021年からスタートした「事業再構築補助金」を活用し…

【鍛造金型特集】鍛造型、好調を持続<br>その背景や今後は

【鍛造金型特集】鍛造型、好調を持続
その背景や今後は

自動車生産台数の増加 EV化への対応も必要  鍛造金型が好調を持続している。経済産業省の機械統計によると、2016年の鍛造金型の生産金額は307億円とリーマンショック前の200億円を大幅に上回る。数量では減少傾向にあるこ…

DXの本質は生産性の向上と人材育成 佐藤声喜氏(KMC社長)【特集:利益を生むDX】

多くの製造現場がDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性を認識する一方で、DX導入に苦労している企業や製造現場も少なくない。そうした中、「製造DXソリューションカンパニー」を掲げるKMC(川崎市高津区)は、工作機…

関連サイト