金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

FEBRUARY

23

新聞購読のお申込み

【鳥瞰蟻瞰】由紀ホールディングス 代表取締役社長・大坪正人 氏「中小製造業をグループ化、優れた技術守り次代につなげる」

中小製造業のグループ化
事業に集中できる環境を整備
優れた技術守り次代につなぐ

2006年に金型ベンチャー企業から父が経営するねじメーカーの由紀精密に入社しました。そこで感じたのは企業規模が小さすぎて、あらゆる機能が無さすぎるということ。間接人員が雇用できず、事業戦略や人事、技術開発、広報などといった機能が持てない。これが今後の事業継続、成長の課題でした。

そのとき出会ったのが、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)グループ(仏)会長兼CEOのベルナール・アルノー氏の自伝でした。多くの高級ブランドを抱えるLVMHグループは、各ブランドが独立し、それぞれの個性を伸ばしながら、グループ全体の競争力を高めています。

こうした形は日本の中小製造業にも向いているのではないか。そう考えて、17年に由紀ホールディングス(HD)を設立しました。翌年、中小製造業のホールディングス会社の株式を取得し、そこから中小製造業をグループ化する事業モデルの確立を進めてきました。現在の傘下企業は、由紀精密も含めて13社になります。

グループ化で取り組んだのは、人事や広報、財務などの機能を由紀HDに集約し、グループ各社が事業に専念できるインフラを整備することでした。由紀HDには各分野のスペシャリストがおり、各社に対して現場改善の取り組みや新規開拓の営業支援などのサポートを行っています。

こうしたインフラの整備によって、グループ各社は効率良く事業を運営できます。また、事業に集中できるようになることで、これまで以上に技術や業績を伸ばすことができ、結果として優れた技術を守ることにもつながります。

日本の金型技術は、間違いなく世界トップレベルです。これまでに欧米やアジアなど世界のものづくりをみてきましたが、「これは日本には真似できないな」と思ったものは、実はほとんどありませんでした。それほど日本の技術レベルは高い。

一方で、金型ユーザーの海外生産拠点では金型の現地調達が進んでおり、今後さらなる加速も予測されます。とはいえ、全ての海外企業が日本ほどの技術を持っているかというとそうではない。ではどうなるか。高度な技術が無くても済むような製造方法や製品設計に変えてしまうのです。

そうなると、これまであった技術はいつか失われてしまいます。日本刀が良い例です。昔は優れた刀鍛冶がたくさんいたので、多くの名刀を生み出すことができましたが、今はそうした技術が残っていないため、かつてのような代物を作ることが難しくなっています。

こういう事例は現在の製造業でもたくさんあると思います。せっかく良い技術があるのに、それが無くなってしまうのは寂しいですし、もったいない。私はこうした事態をなんとかして防ぎたいのです。中小製造業のグループ化は、そのための一つの形です。今後は、これまでの取り組みで確立した「YUKI Method(ユキメソッド)」をさらに広げていきたいと考えています。

金型新聞 2021年3月10日

関連記事

キャステム 微細ワークを肉盛溶接【金型応援隊】

コネクタメーカーを始め、全国の金型ユーザーから補修の依頼が舞い込む。50μmという微細な肉盛り溶接ができるからだ。あまりに微細なため、溶加棒も自社製というこだわりを持つ。 また微細溶接だけではなく、ダイカスト金型等のボリ…

倉敷機械 1台で複数加工がこなせる機械、金型加工の効率化を実現

工作機械メーカーの倉敷機械は、金型加工の効率化を実現する機械の提案を強化している。 今年1月には5軸マシニングセンタ(MC)に横中ぐり機能を搭載した「KTR‐1200」を発売。この新型は中ぐり主軸を繰り出すことで、特殊工…

ユーザーとの距離近づけ 高付加価値化を提案
岡本工作機械製作所 石井常路社長

 研削盤メーカーの岡本工作機械製作所(群馬県安中市、027-385-5800)は今年5月、新たに3カ年の中期経営計画を発表した。新中期経営計画の達成に向けた基本戦略の一つとして「顧客付加価値強化」を挙げる。「今まで以上に…

日本発条がササヤマと資本提携する理由【ササヤマ challenge!Next50】

自動車のシートなどを手掛ける日本発条は2015年、ササヤマと資本提携した。日本発条にとって技術連携のパートナーであるササヤマはどんな存在なのか。魅力、期待すること、今後取り組みたいことは。シート生産部の岡井広行氏と安田雅…

成形不良を出さない生産システムの確立
岐阜大学 王志剛副学長に聞く、スマート金型開発の行方

 岐阜大学が2018年に3カ年の研究開発である「スマート金型開発拠点事業」を始めた。労働人口減少時代を想定し、従来にはない高効率な生産システムの確立を目指し、金型を使った量産システムの不良率ゼロを目標に掲げる。同事業は文…

トピックス

関連サイト