天性の細やかさ数値で語る力が必要 経済産業省の工業統計によると、2018年の日本の金型生産額は1兆4752億円。生産量こそ中国に抜かれて久しいが、新素材の登場や部品の複合化、微細化が進み、依然として日本の高度な金型技術…
【この人に聞く】ニチダイ・伊藤直紀社長「技術営業の強化に力 」
今年4月、冷間鍛造金型メーカーのニチダイは伊藤直紀氏が新社長に就任し、新たな体制で臨む。昨年、米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの影響で金型受注が低迷したが、足元の景気は回復傾向にあり、事業の成長に向けて動き始めた。そこで、同社の強みである冷間鍛造金型の技術開発や新市場開拓など、同社の将来ビジョンについて同氏に聞いた。

いとう・なおき
2006年大阪大学経済学部卒、16年同社入社。17年執行役員兼経営企画室長、19年取締役副社長執行役員兼経営企画室長、20年取締役副社長執行役員兼管理統括本部長兼経営企画室長。1982年生まれ、大阪府出身。
IoTなど開発を推進
価値提供できる企業へ
昨年を振り返って。
自動車産業の停滞で金型を含むネットシェイプ事業は厳しい状況だったが、前年度の下半期から自動車生産の回復に伴い、金型の受注も戻ってきた。この流れは継続するとみている。
今期の取り組みは。
コロナ禍は当社の強み、弱みを見つめ直す機会になり、改めて、技術力で顧客の課題解決に取り組むことが当社の使命。今年は昨年より強化している技術営業に力を入れ、顧客との信頼関係を強固にしたい。EV化など自動車部品の変化に伴い、冷間鍛造金型に要求される精度や形状の難易度も高度になっており、これまで以上に顧客と密に連携し開発することが重要。それには技術営業を強化し、営業の判断力を高め、早いレスポンスで顧客の信頼を獲得したいと思っている。営業社員の技術提案のスキルアップにも取り組んでいく。
技術開発では。
これからは、間違いなく様々な現場でセンシング技術が求められ、金型からもデータが取得できるのが当たり前になると思う。だが、センシング技術はすぐに実用化できるものではなく、金型の予知保全やエラー検知につながるなど本当に価値のあるデータを、どのように取得するべきかといった長期展望が必要だ。そこで、新事業開発部を立ち上げ、センシング技術を含む将来の柱となる事業の開発を進めている。完成すれば、従来のダイセットから置き換えるだけで、最新プレス機並みのセンシング機能を持つことができ、新たな価値を顧客に提供できる。今は試行錯誤の段階だが、タイミングを見ながら発表していく予定だ。
新市場の開拓は。
やはりEV向けの部品に注目している。その1つがバッテリーケースで、鍛造技術と圧延技術を応用し、深絞りではできない特殊な形状にすることができるなど、従来工法では不可能な工法の開発を進め、ケースの付加価値向上につなげたい。ハードルは高いが、挑戦する価値はある。
将来の企業像は。
最終的にどんな価値を顧客に提供できるか、そこに企業価値がある。我々は技術で価値を提供し続ける企業でありたい。顧客である自動車メーカーや部品メーカーがあってこそ当社があり、絶えず技術を磨き続けることがニチダイのあるべき姿だと思っている。
金型新聞 2021年7月10日
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