三井精機工業(埼玉県川島町、049-297-5555)が、金型分野に注力している。今春、新型の微細加工機と、ジグ研削盤を発売。今後需要の拡大が期待される電気自動車(EV)や電子部品関連の金型加工向けを中心に売り込んでいく…
【この人に聞く】トーヨーエイテック 表面処理開発担当役員・山中 敏雄氏「アルミの凝着抑える新被膜 」
トーヨーエイテック(広島県南区、082-252-5212)が今年2月に発表したアルミのプレス金型用DLCコーティング「TOYO Arc‐DLC」。高硬度で強固に密着するため、軟質で融点の低いアルミをプレス加工しても金型に凝着しにくい。マルチマテリアルでアルミの採用が進む自動車のボディや骨格をはじめ、家電や建材など幅広い分野の金型に需要を見込む。開発の狙い、新被膜の特長、そして今後の展開は—。表面処理開発担当役員の山中敏雄氏に聞いた。
車のマルチマテリアルに応える

やまなか・としお
1964年生まれ、広島県出身。87年芝浦工業大学工学部電子工学科卒、マツダ入社。2004年トーヨーエイテック工機管理部生産計画管理課マネージャー、12年執行役員工機製造部長兼品質保証部長、19年執行役員表面処理製造部担当兼表面処理開発担当。
高硬度、強固に密着
開発の狙いは。
複数の素材を組み合わせるマルチマテリアル。その素材の一つとして注目されているのがアルミだ。欧米、そして日本の自動車でボディや骨格への採用が進む。しかし難点は柔らかく融点が低いこと。プレス加工を繰り返すと金型との摩擦や熱で表面に凝着する。この課題を解決するため、新たに炉をつくり開発した。
その特長は。
大きく4つ。1つ目は「硬度が高い」こと。DLCはダイヤモンドとグラファイトの成分を含む硬質炭素被膜。特殊な製法で水素の含有を少なくし、ダイヤモンドに近い性質にした。それにより極めて高い硬度(50GPa)を実現した。
2つ目は「金型に強固に密着する」こと。照射するイオンを調整し、被膜と金型の界面に混ざり合った分厚い層をつくった。いわば被膜が金型に根を張っているような状態で、衝撃を受けても簡単に剥がれない。
金属と金属が摩擦すると凝着するが、金属とDLCは凝着しない。DLCを被膜処理した金型に凝着するのは、DLCが劣化し剥がれるから。「高硬度」と「高い密着性」。新被膜はこの特長によりハードなプレス加工を数万、数十万と重ねても、その性能を保ち続けて凝着を抑える。
あと2つの特長は。
3つ目は「金型が変形、寸法変化しない」。被膜の高温処理の温度は480度以下。焼き戻しの温度よりも低く、変形や変寸を防げる。4つ目は「除膜できる」。金型を傷つけずに除膜できる独自の方法を開発。これにより何度でも再被膜し金型を使い続けることができる。
今後の展開は。
アルミは自動車を軽量化する素材として採用が広がっている。ボディや骨格に加え、駆動系部品などにも使われており、プレス加工の生産性や品質向上はさらに課題となっていくだろう。
一方、家電や建築部材など様々なものにアルミはかねてから使われている。それらのプレス加工の現場では「金型に凝着する」という固定概念が深く根を下ろしている。新被膜はそうした課題を解決するために開発した。新たに生まれるニーズ、そして潜在するニーズに応えていきたい。
金型新聞 2021年10月10日
関連記事
取引適正化の活動継続 今年の通常総会で、日本金型工業会が山中体制になって2年目を迎える。就任以来「稼ぐ力」の強化を訴えてきた山中会長はこのほど、稼ぐ力を鍛えるために4つの軸を設定した。「価格決定力」、「市場拡大の施策の推…
超精密金型部品や機能性金型部品、金型製作(プレス・モールド)を手掛ける新日本テックは設備や配管内に溜まった水垢(スケール)を除去する金型用水あか防止洗浄液を開発した。射出成形金型の温調水を流す配管のスケール除去などに有効…
「CASE」による自動車業界の大変革は金型メーカーに大きな変化を迫ってきた。そして昨年から続くコロナ禍。リモート環境への対応やデジタルツールの活用など、変化せざるを得ない状況はさらに加速している。こうした混迷の時代に合…
独EOS社の金属3Dプリンタの日本代理店を務めるNTTデータ ザムテクノロジーズ(XAM)。昨夏に、大阪市内に金属3Dプリンタ15台のほか、多様な検査装置を備えた「デジタルマニファクチャリングセンター(DMC)」を開設し…


