金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

03

新聞購読のお申込み

次世代の匠の技を考える 記者の目

PART1:金型メーカーアンケート「次世代に必要な匠の技は?」
PART2:「自動化の匠」 アイジーエヴァース
PART3:「5軸加工の匠」 エフアンドエム
PART4:「金属3Dプリンタの匠」 三光合成
PART5:「現代の名工に聞く、次世代の匠に必要なもの」三井ハイテック

記者の目

匠とは高度な技術を持つ人のことを指す。「特集:次世代の匠の技を考える」のアンケートや取材で感じたのは、匠自身がその優れた技能を持つことそのものにそれほど頓着が無いことだ。

金型の性能や品質、生産効率、コスト競争力を高めるために知恵を絞り、腕を磨く。金型づくりは難しく、だからこそ面白く、やりがいを感じ、四六時中考え、挑戦してしまう。

そうするうちにノウハウを蓄積し、感覚が磨かれ、いつしか周りの人に匠を意味する愛称で呼ばれるようになった。匠になろうとしてなったわけではなく匠はその結果、という感じだ。

それより匠の関心はそのプロセスの中で何を身につけてきたかということにあるのではないか。失敗と成功の中で何を学び、感性を養い、技能を自らのものにしてきたか。

次世代の匠の技術として注目される「デジタル技術や自動化」。これらもそうした長年の間に培った金型づくりの知恵や経験、ノウハウが乏しければ使いこなせない。

匠が次代の技術者に求めるのは金型づくりの根源的な技能である「五感による能力や感性を磨くこと」。基礎の技能習得を怠らないこと、そして基礎の技能から多くの技術が発展することは時代を越えて変わらないというメッセージだ。

ただ、案じていたのが技能を身につける環境。スマートワークや効率化の動きが広がる中、以前のように「背中を見て、時間をかけて」指導を受けることができない。分業でそのセクションしか経験できない。生産材の技術革新が早すぎる。

企業が生産性向上や働き方改革を推進する中で今の指導環境は変わりそうにない。となると、次世代には時間や組織に制限がある中で指導できる「教育の匠」が必要かもしれない(中)。

金型新聞 2022年2月10日

関連記事

リーダーの条件Part3
いま活躍するリーダーの心得

 新型コロナで需要が減速し、自動車の電動化で産業構造が変わるかもしれない。先の見通しにくい混沌とする時代に、リーダーはどういったことを心掛け、自らの指針としているのか。時代をリードに考えを聞いた。 伊藤製作所 伊藤 澄夫…

多様化するニーズに応えるプレス加工機5選[プレス加工技術最前線]

自動車の電動化に伴い、モータやバッテリーといった電動化部品の加工需要が増加している。また、プレス加工時の状況をリアルタイムに把握して、生産性の向上や品質の安定化につなげる技術を開発する動きも進む。プレス加工機メーカー各社…

金型経営者アンケート 次の10年を勝ち残るために取り組むこととは?【特集:次の10年を勝ち残る4つの道】

自動車の電動化などによる金型需要の変化、少子高齢化による人手不足、アディティブ・マニファクチャリング(AM=付加製造)を始めとした新たな製造技術や技術革新―。金型産業を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化している。金型…

【特集】どうする、金型人材の確保と育成

目次PART1:日本工業大学専門職大学院専任教授 小田恭市氏インタビューPART2:人材確保編PART3:人材確保編PART4:金型経営者に10の質問PART5:あの指導が成長につながったPART6:記者の目 PART1…

【新春特別インタビュー】時代をリードする8人

 「CASE」による自動車業界の大変革は金型メーカーに大きな変化を迫ってきた。そして昨年から続くコロナ禍。リモート環境への対応やデジタルツールの活用など、変化せざるを得ない状況はさらに加速している。こうした混迷の時代に合…

トピックス

関連サイト