PART3 狭山金型製作所 社長・大場治氏に聞く「事業承継」 60歳で「引退宣言」経営以外にやりたいことを「朝活」で考え方を伝える 55歳の時に60歳で社長を退くと社内外に「引退宣言」をしました。今59歳なので、あと1年…
水素エンジン車に生かされる型づくり技術とは?【変わるトヨタの型づくり】
PART3:新たなクルマづくり
若手の挑戦と育成両立



新たなモビリティの一つである、水素エンジン車でも新たなモノづくり技術が生かされている。昨年7月に大分県のオートポリスで行われたスーパー耐久シリーズ。ここに出走したカローラベースの水素エンジン車には、外板パネルに炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使われており、それには、モビリティ—ツーリング部の新たな技術が採用されている。
水素エンジン車には水素タンクが必要だが「100㎏程度重くなる」(モビリティーツーリング部新価値創造課の嶋方克好課長)ため、レースで走るには、車体を軽くしなければならない。軽量化の方策として、フードのインナー、アウター、フロントドアインナー、アウターなど外板部品の一部をCFRP化した。
「レース車という一品モノ」(嶋方氏)のため、オートクレープ方式で成形。一般的な型とケミカルウッド型など部品ごとに3種類の型を製作した。嶋方氏は「カーボンではヘミング曲げができないため端末の処理や、ルーフは全周アンダーカットの閉じ断面になるため、成形方法をどうするかなどの課題に直面した。また、成形時の温度による製品寸法の精度変化も苦労した」と振り返る。こうした課題を解決し、水素タンク分の3割程度軽くすることに貢献した。
今回のCFRPはレース用の水素エンジン車への適用だが、すでにプリウスPHVやGRブランド車などの一部の部位で採用されている。量産となると「まだまだサイクルタイムと材料コストが課題」(嶋方氏)というが、マルチマテリアル化の一つとして、CFRPは広がる可能性を秘めている。
また、今回の取り組みが特徴的だったのは「若手の挑戦と育成を両立させた」ことだ。プロジェクトにはあえて、入社3年目までの若手をリーダーとして抜擢。とはいえ、いきなり若手だけでは難しいため、若手と匠をうまく協業してもらうようにした。
まず、選抜したリーダーたちはプロジェクト全体の日程を設定。「自らの部署だけでは全体を俯瞰(ふかん)した日程を組むことは難しい。成形、塗装、組立に強い部署や匠にヒアリングしながら設定してもらった」(嶋方氏)。その後も、自らに足りない知見は匠に聞くなどして、パネルは成形、塗装、組立、サブアセンブリーまで7週間で完成させたという。
他部署と交流仕事の幅広げる
嶋方氏は若手に挑戦させた狙いについて「視野を広げるため」と話す。「若手は自分の仕事で精一杯。これはこれで重要だが、他部署の人と交流すれば仕事の幅が広がり、視野も広がる」。
同社では、こうした交流も育成の重要な手段と考えており、他のプロジェクトでも頻繁に行われているという。「我々の部署は、金型づくりは得意。しかし、成形以降の組付けなどの課題は理解しづらかった。今回、他部署の考えを学ぶことで、車づくりへの理解をより深めることにもつながった」(嶋方氏)。
金型新聞 2022年6月9日
関連記事
噴流制御と細穴加工機活用、ノージャンプ加工で「倍速放電」 牧野フライス製作所は電極内部に設けた細穴からオイルを供給し、加工液内に噴流を発生させ、スラッジを効率的に排出することで、形彫放電の加工時間を大幅に短縮する「倍速放…
EV化などによる金型需要の変化やAMをはじめとする新たな製造技術の登場など金型産業を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化している。金型メーカーには今後も事業を継続、成長させていくため未来を見据えた取り組みが求められてい…
金型産業 発展へ 日本金型工業会 5つの施策 出席者 エムエス製作所社長 迫田 幸博氏 小出製作所社長 小出 悟氏 長津製作所会長 牧野 俊清氏 日進精機相談役 加藤 忠郎氏 野田金型社長 堀口 展男氏 2月号で…
EV化などによる金型需要の変化やAMをはじめとする新たな製造技術の登場など金型産業を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化している。金型メーカーには今後も事業を継続、成長させていくため未来を見据えた取り組みが求められてい…


