金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

OCTOBER

11

新聞購読のお申込み

コアコンセプトテクノロジー CTO 田口紀成氏に聞く
〜DXがなぜ必要か〜

 あらゆる業界で叫ばれているDX(デジタルトランスフォーメーション)。各企業には、デジタル技術を使い、ビジネスモデルや組織、働き方など会社そのものの構造を大きく変えていくことが求められている。金型業界も例外ではない。次代を勝ち抜くためには、DXを実現し、競争力を高める必要がある。では、そもそも金型におけるDXとは何か。そして、どうすればDXを実現できるのか。「DXリーディングカンパニー」を掲げ、システム開発やITコンサルを手掛けるコアコンセプトテクノロジーのCTOである田口紀成氏に聞いた。

・田口紀成氏
 1977年生まれ、茨城県出身。2002年明治大学大学院卒業後、インクス入社。製造業向け三次元CAD/CAMシステムの開発に従事。09年コアコンセプトテクノロジーの設立メンバーとして参画し、15年取締役CTOに就任。14年からは理化学研究所客員研究員も兼務する。

暗黙知を定量化

貴社について。

 2009年創業で、業務・ITコンサルティング、システム開発、構造解析や熱解析などの解析サービス、IoTソリューションなどを手掛けてきた。現在はこれらを個別に提供するだけでなく、顧客のあらゆる課題に対して、DXをキーワードに総合的なサポートを行っている。

DXへの関心は高い。

 当社への引き合いも年々増加傾向にある。おそらく多くの人が期待されているのは、コスト削減だろう。ただ、それではこれまでのコスト削減策と変わらない。DXで重要なのは、定性的なものを定量化すること。熟練技能者の勘やコツといった暗黙知を形式知化したり、データを駆使した「データドリブン」での営業活動を展開したり。こうした取り組みがDXにつながる。

なぜ今、必要か。

 例えば、人に依存した活動が中心だと、今回のコロナ禍で既存の受注が減少し、新規受注の獲得に動こうとしても難しい。インターネットを活用したマーケティング活動ができれば、新しいニーズを掘り起こすことができ、海外市場も見えてくる。これまでの業種、分野、エリアから大きく商機が広がる。また、人手不足という課題も解消できる。デジタル技術を取り入れることで、あらゆる可能性が広がる。

DXを実現するには。

 まずは、どういう製造工程で、どのくらいのコストで作れるのかを「見える化」することが大事。見積もりは人への依存度が高く、DX実現のボトルネック。この「入り口」を変えれば、仕事を大きく変えられるはずだ。

データ分析し加工や営業に

どう「見える化」を。

 加工形状をパターン化して整理する。加工形状を分類すれば、その分類ごとに使う機械や工程など加工の流れが決まり、原価も分かる。これは一品一様の金型でも可能だ。ただ、それには製造工程の整備、工具やCAMの標準化などが必要になる。これが実現できれば、見積りにかかる工数の削減、人材の問題などが解消でき、今よりも多くの仕事をとれるようになる。一方でデジタル化にも課題はある。

どんな課題か。

 デジタルデータは完璧ではなく、CAD/CAM間のデータ受け渡し誤差やコンピュータの演算精度などによってばらつく。開発から設計、製造まで、デジタルデータによる一気通貫のエンジニアリングチェーンを構築するのは難しい。これを解決するために、全く新しいコンセプトのCAMシステムの開発に挑んでいるが、課題も多い。現状は人の力が必要。人は設計などの上流工程か磨きなどの最終工程で、中間の工程はコンピュータに任せ、自動化もしくは半自動化という形で進めていくのが現実的だろう。

金型メーカーが目指すべきところは。

 DXでより高精度を目指し、今までにない新しいものをつくってほしい。デジタル技術を駆使することで、これまで人の手に頼っていた鏡面加工や微細加工もより簡単に実現できるようになる。既存の機械でも一桁上の精度の世界が見えてくる。新しい世界をつくるためのツールとして取り入れてほしい。

金型新聞 2020年8月10日

関連記事

【ひと】七宝金型工業営業部・松岡咲希さん(25) 女性が活躍する職場へ

女性が活躍する職場へ 「友達に金型を知っている人はいなかった」と話すのは七宝金型工業の松岡咲希さん。同社社長を務める父の影響で入社し、現在入社4年目。仕上げやCAM課を経て、昨年から営業部に所属し、訪問から見積もり依頼、…

「現場で活躍できる人材育て、学生の未来を後押しする」 大分県立工科短期大学校校長・䑓博治氏[鳥瞰蟻瞰]

入社したその日から金型づくりや保全の現場で活躍できる。当校の機械システム系金型エンジニアコースはそんな人材を育てています。アカデミックな指導はしません。指導するのはあくまで金型をつくり、使う実践の現場で必要な技術や知識で…

牧野フライス製作所 執行役員 高山幸久営業本部長に聞く【特集:進む設備の大型化】

大型機組立工場新設の理由 牧野フライス製作所は昨年末、山梨県富士吉田市に大型加工機の組み立て工場を新設すると発表した。12年ぶりの新工場で、総額210億円を投資し、大型加工向けを強化する。2026年初めに本格稼働する予定…

「新たな壁に挑み突破できる組織作り」 大垣精工・松尾幸雄社長[この人に聞く]

プレス金型及び量産を手掛ける大垣精工(岐阜県大垣市、0584-89-5811)は今年3月、松尾幸雄氏が社長に就任し、新たな船出に乗り出した。同社は独自の技術で世界シェア№1を誇るハードディスクドライブ(HDD)部品をはじ…

【インタビュー】名古屋精密金型 ・坂元 正孝社長「工場間の連携強化へ 」

プラスチック金型を手掛ける名古屋精密金型(愛知県知多郡東浦町、0562-84-7600)は7月、坂元正孝氏が社長に就任した。同社の工場は本社、熊本、宮崎とベトナム、インドネシアの5工場で金型を製作している。金型業界を取り…

トピックス

関連サイト