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【新春特別インタビュー②】大垣精工会長・上田 勝弘氏「他社よりも一歩先へ、好循環生まれる体制を」
勝負は中身だ 他社よりも一歩先へ 好循環生まれる体制を 〜技術開発の必要性〜
1939年生まれ、滋賀県出身。立命館大学法学部卒、61年に大垣市内にある会社に就職したのち、68年に同社(大垣精工)を創業。超精密プレス金型を武器に、国内のみならずグローバルに展開。84年にセイコーハイテックを設立。また、日本金型工業会・名誉会長や国立ソウル科学技術大学・金型工学科・名誉工学博士教授など、金型業界の発展に尽力。

1939年生まれ、滋賀県出身。立命館大学法学部卒、61年に大垣市内にある会社に就職したのち、68年に同社(大垣精工)を創業。超精密プレス金型を武器に、国内のみならずグローバルに展開。84年にセイコーハイテックを設立。また、日本金型工業会・名誉会長や国立ソウル科学技術大学・金型工学科・名誉工学博士教授など、金型業界の発展に尽力。
技術開発がなぜ重要か、それは自社の優位性を高めるからに他ならない。当社はプレス分野の超精密を目標に開発を重ね、他社より一歩先の技術的な差別化を図ったことで、世界から受注することができた。それが技術力に対する評価だと思う。
技術力の差を表すものは何か。それには金型が深く関わっている。金型の出来次第で量産が上手く進められるかが決まり、金型技術の向上は避けて通れない。当社の多くは量産部品を受注しているが、技術の根底に金型があり、外販金型を続けている理由になっている。
外販金型をやっていると様々な注文や情報が入ってくる。外販先は自動車、日用雑貨品、ガス器具と幅広く、その中でユーザーのニーズに応えながら金型技術を磨くと、量産ノウハウも得ることができる。多くの人は気づいていないが、内製型やプレス専業になると、とんでもない金型に出会うことが少なくなる。金型を外販していると、そうした金型と出会い、挑戦することでノウハウの習得につながる。もちろん失敗もあるが、積み重ねが大事。金型部門だけなら赤字でも、得たノウハウが量産に活かされ、利益につながっている。だから、儲けの元になるのが金型で、量産で稼ぎ、設備投資して、次の技術開発に進むという好循環を作ることが大切だ。
もう1つ重要なことは技術者を育てること。一般的に育成するといっても簡単ではない。それには会社の体制、労務管理が必要で、人を育てるには働きやすい雰囲気や職場環境、給料や福利厚生など待遇面の充実がないと人材採用や継続性の点でも難しい。だから、しっかり儲けて、労働分配率を高める必要がある。おかげで当社は30年前に採用した人材が現場から育ち、高度な金型設計ができるまでに成長した。
今年から当社も次に向けて動き出す。直近、ハードディスク部品は好調で、ハニカム金型も自動車の環境規制強化で、さらに高精度化が求められるようになった。自動車は今後、電動化への勢いが増すだろう。そこで新たに取り組んでいるのがモータコアの金型。従来のカシメではなく、接着積層技術に取り組んだ。モータの振動が少なく、静粛性に優れており、今年から本格的に動き出す。
金型の目的は部品にするための道具。ユーザーも最終的に部品がほしい。だからこそ、金型だけでなく、材料選定から機電、ケミカルと周辺技術までこだわり、技術の優位性を高めてきた。現在、金型業界ではDXやIoTといったデジタル技術が脚光を浴びているが、生産の合理化や効率化に役立つもので真の技術ではない。本質は他社より優位性のある金型や製品かどうかで、勝負は中身だ。経営者にはアイデア力、技術の潮流を読む力、決断力が求められる。
金型新聞 2021年1月10日
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