金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

FEBRUARY

01

新聞購読のお申込み

【特集】日本の金型業界に必要な4つの課題 -取引適正化-

PART4 日本金型工業会 専務理事・中里栄氏に聞く「取引適正化」

取引ガイドラインを改定
 イコールパートナーに
  ユーザーの意識にも変化

現在、春先に公表予定の「金型取引ガイドライン」の改定版の策定に取り組んでいます。十数年ぶりになりますが、このタイミングで改定するのは、当時と比べ、今は大きく環境が変わろうとしている時だからです。

昨今、SDGs(持続可能な開発目標)に象徴されるように、フェアトレードを推進する動きが加速しています。今やSDGsを意識しない企業はなく、「自社さえ良ければいい」という考え方が減り、取引環境の改善を訴える好機ともいえます。

今回のガイドラインは、こうした社会的背景を反映させたものにする予定です。前回は下請取引支払遅延等防止法(下請法)をベースに「同法に抵触の恐れがあります」という法律を意識した文言が多くありました。今回は金型業界も製造業の重要なサプライチェーンの一員であり、それを強固にするため、一緒に取り組む「イコールパートナーになりましょう」とスタンスで提案したいと思っています。

目指すべきイメージは「正しい金型の発注マニュアル」的なもので、次のようなことを盛り込みたいと考えています。一つは過度な寸法精度の提示の是正です。会員企業からは「不要と思われるほどの精度の提示を求められることがある」という話をよく聞きます。これの是正を促すことは金型メーカーが大変だからということだけではありません。「過度な」品質はコストアップや長い納期にもつながり、ユーザーにとってもマイナスになります。

他にも、図面提出の問題は継続して提示する予定です。「図面は渡したくない」ことが基本です。金型図面はノウハウの塊で、時には金型以上の価値があるからです。もし図面を売らなくてはならない場合「金型本体と同等か、それ以上の費用」を頂けるケースをお伝えしたいと思います。

回収についても言及する予定で、三分割の前金制度を訴えていきたいと思います。世界の取引では、契約時、着手時、納品時にそれぞれ3分の1の支払いが主流です。造船や建築など「一品モノ」の世界も同様の取引が普通です。これを金型でも一般化できるようにしていきたいと思います。

SDGsやカーボンニュートラル、サイバーセキュリティーなど昨今のトレンドを見ていると、個社や一業界だけで取り組むのが難しい問題ばかりです。ユーザーもそれを認識し始めていると思います。ガイドラインの改定が製造業全体がイコールパートナーなって、サプライチェーンを強化する契機になればいいと考えています。

個人的にはユーザーの意識の変化も感じています。発注者側(特にコミュニケーション能力に長けた担当者)から「一方通行的な取引は今の世の中では通用しない」、「フェアトレードな意識でコミュニケーション方法を変えないとものづくりが上手く回らない」という声も聞こえています。

新たなガイドラインによって、さらにこうした意識の変化をユーザー業界に促していきたいと思っています。また、自動車や電機などユーザー業界に広く周知することで、先に述べた施策を実行してもらえるよう働きかけていきます。

※特集のトップページはこちらから

金型新聞 2022年1月10日

関連記事

KOEI TOOL SKD61相当材の冷却水管【特集:金型づくりで広がる金属AM活用】

ダイカスト市場に参入 「始まりはプラスチック成形向けの3D冷却水管だった」と話すのはKOEI TOOL(旧ケイプラスモールドジャパン、今年4月に社名変更)のAM課の石井陽部長。同社は日本、シンガポール、マレーシア、ベトナ…

試作回数を半分に削減 大阪銘板【特集:シミュレーションの使い方再発見!!】

自社商品の生産性アップ 大阪銘板は自動車などのプラスチック内外装製品などを中心に金型から成形、二次加工までを手掛ける。グループ全体で4つの生産拠点を持ち、型締め力100~2000tクラスのプラスチック製品を生産している。…

マツダが金型を作る理由【特集:自動車メーカーの金型づくり】

魂動デザインなど独自の哲学で「走る歓び」を追求するクルマづくりに取り組むマツダ。金型はそれを実現するための極めて重要なマザーツールだ。なぜ社内で金型を作り続けるのか。金型づくりを進化させるため取り組むこと、これから目指す…

【特集:新春金型座談会】広がる世界市場をどう開拓する(Part3)

日本の価値はどこにある 量産支える金型や知見 松岡 先ほど松野さんが安く作ると話されましたが、私は金型を安くしたくないですね。金型は本来高くなきゃいけないのに、どんどん下がっています。持続的に経営をしていくためにも、値段…

金型ニューフロンティア 記者の目

新分野の開拓に挑む金型メーカーを取材した。各社、これまで金型で培ってきた技術を生かし、既存の顧客分野から新しい分野に進出したり、自社で独自商品を開発し、製品メーカーに転身を図ろうとしたり、その挑戦は様々だった。 その中で…

トピックス

関連サイト