金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

03

新聞購読のお申込み

ササヤマ 本社に機械加工棟増設

本社工場と増築する機械加工棟

自動車部品などのプレス金型を手掛けるササヤマ(鳥取県鳥取市、0858-85-3380)は、本社工場の敷地内に機械加工棟を増設する。真空熱処理炉や3次元レーザー加工機などを新たに導入するほか、古海工場の設備を集約する。デジタル技術による生産管理やマテハン設備の見直しにより中期経営計画の最終年度(2027年7月末)に金型製作期間の半減を目指す。EV化などで自動車とその金型を取り巻く経営環境が大きく変化する中、生産体制を改善し競争力を高める。

効率高め、金型製作期間半減へ

ササヤマは自動車のシートやボディ骨格などのプレス金型を本社工場と古海工場で工程を分担し製作している。しかし高機能化などにより金型が大型化する中、2拠点間の搬送の時間や手間が負担になっていた。

真空熱処理炉
3次元レーザー加工機

本社工場の敷地(約1万2800㎡)に増築(同約2260㎡)することで機械加工棟は現状の約2・2倍の広さに拡大(同約4110㎡)。ここに古海工場を集約することで搬送のロスやトラックの手配などの手間を削減する。

新たに導入する真空熱処理炉は、内製する金型部品の約70%の熱処理を内製化する。3次元レーザー加工機はテストプレス用板材の抜き加工を社内で手掛ける。これらにより外注する熱処理やレーザー加工の時間とコストを削減する。

このほかマシニングセンタ(MC)なども購入するほか、古海工場からMCや研削盤などを移設し、老朽化した設備と入れ替える。増設した機械加工棟に金型加工工程の全ての工程を集めて、生産効率を高める。

ササヤマはこのほど、来年度(2022年8~23年7月)からスタートする新中期経営計画「SAIM(SASAYAMA Autonomy and Independence Manufacturing)を策定した。来年度で設立50周年を迎え、外部環境が目まぐるしく変化する中、次の50年を勝ち抜くことを目指すものだ。

機械加工棟の増築はこの新中計の一貫。今後はデジタル技術による生産管理を高度化するほか、マテハン設備の見直し、ロボット加工設備の改造などにより、最終年度に金型の製作期間を半分に短縮する。それによりコストや納期などの競争力を高め、年間売上高1・5倍を目指す。

機械加工棟は今年1月、建設をスタート。6月に完成し8月にも古海工場から移設、本格稼働を始める予定。古海工場は閉鎖する。またササヤマは本社工場に隣接する土地約4520㎡も購入した。機械加工棟増築と土地購入の総投資額は7億円。

笹山勝社長に聞く 〜次の50年を見据えて〜

ササヤマは来年度、次の50年を見据えた新中期経営計画をスタートする。どういったことに取り組むのか、笹山勝社長に聞いた。

ウルトラハイテンなど金型技術磨く

EV化やカーボンニュートラルなど自動車とその金型を取り巻く環境はこれから大きく変わる。次の50年を勝ち抜くために何をするべきか。まずいま最も強みを持つ金型事業の再強化だ。

ただ、資本力の巨大な海外企業と設備力の競争は簡単ではない。そこでウルトラハイテン向けやハイサイクルの金型など高度な金型の技術力をさらに磨き上げる。

さらに、これまでに培ったノウハウを詰め込んだデジタル技術を活かし、他社が追随できない金型の品質、時間、コストを実現する技術を構築し、海外企業との競争に打ち勝っていきたい。

その一方で、金型以外の新たな事業にも挑戦したい。金型一本足打法から脱却し活躍のフィールドを広げたい。

金型新聞 2022年2月10日

関連記事

冨士ダイス 2021年4‐12月期連結決算

半導体の需要拡大受け超硬金型が好調 冨士ダイスの2021年4‐12月期連結決算は、売上高が125億5400万円(前年同期比22.7%増)、当期純利益が8億1900万円(前年同期比244.9%増)と増収増益となった。 超硬…

豊実精工 完全クロムフリーの薄膜【金型応援隊】

豊実精工が開発した完全クロムフリーの「ERIN被膜」が注目を集めている。防錆・耐摩耗セラミックコーティングで、空隙のない緻密な薄膜(2μm±1μm)だ。 被膜硬度はHv1000~1200で、耐摩耗性はDLCの2倍、硬質ク…

関連異業種5社で連携し、ダイカスト金型部品を金属3Dで造形

ダイカストメ—カーのエーケーダイカスト工業所(埼玉県比企郡)、樹脂型メーカーのエービー(川崎市高津区)ら5社が連携し、ダイカスト金型向けの入れ子や部品を製作した。3Dプリンタによる冷却水管の造形だけでなく、離型剤を通すた…

三井ハイテック 人事

4月22日付 (敬称略、カッコ内旧職) 常務取締役経営企画本部長兼管理本部長(常務取締役管理本部長)三井宏蔵 取締役常勤監査等委員(常勤監査役)白川裕之 取締役常勤監査等委員(常勤監査役)久保田千秋 社外取締役監査等委員…

大同特殊鋼 工具鋼2~5%値上げ

9月契約分から 生産能力上回る需要 大同特殊鋼は9月契約分から、全ての工具鋼製品で2~5%の値上げを実施する。今年1月契約分からも値上げを実施したが、それに続く2回目となる。 スクラップの高騰が続いていることに加え、自動…

関連サイト