魂動デザインなど独自の哲学で「走る歓び」を追求するクルマづくりに取り組むマツダ。金型はそれを実現するための極めて重要なマザーツールだ。なぜ社内で金型を作り続けるのか。金型づくりを進化させるため取り組むこと、これから目指す…
「ガスの知見を武器に金属AMをトータルでサポート」大陽日酸・中田竜課長[この人に聞く]
産業用ガスメーカーの大陽日酸はガスの高い知見を武器に金属AMによる金型づくりを提案している。海外製の金属AM装置販売のほか、粉末の管理、シールドガスによる水分や酸素濃度の管理、造形ノウハウまでトータルでサポートするのが特長だ。山梨にある「AMアドバンスドルーム」では、複数の金属AM装置を所有し、造形のデモや、技術開発、ガスの差異化技術を含めた最適な造形条件の運用や相談にも応じている。同社のAM事業について、AM営業課の中田竜課長に聞いた。
ガスの知見を武器にトータルでサポート
なかた・りゅう
1976年生まれ、青森県出身。秋田大学鉱山学部卒業。1999年大陽日酸入社。
AMに参入した経緯は。
金属AMはガスを含めた溶接技術が重要。いずれの技術も当社が元々強みとする領域で、トータルでソリューションを提供できると判断した。2017年に海外メーカーの装置販売を開始し本格的に参入した。また当社のガス制御技術を活かし、金属AMをトータルでサポートする「3DPro」も提供している。
「3DPro」とは。
ガス供給に関して、トータルでサポートする仕組みだ。機内のシールドガスを一定に保つ「循環精製システム」、最適な供給ラインでガスを届ける「ドライガスチューブ」、「金属材料乾燥保管キャビネット」、99.999%の窒素を発生する「高純度PSA」で構成する。
金属AMで見落とされがちなのが酸素と水分濃度の管理。適切に制御することで、造形の安定化に寄与できる。3DProなら、要求に応じた水分、酸素濃度の高レベルな制御が可能だ。造形ノウハウの提供も特長だ。
そのノウハウとは。
30台以上AM装置を持つアメリカの受託加工メーカー、シンタビアと提携している。応力や熱を考慮した設計方法、造形後の熱処理を含めた後工程をトータルで提案しており、共同での開発なども実施している。
扱う装置の種類も豊富。
ゼロからの開発だと時間がかかりすぎるため、4社の海外メーカーと提携した。提携で様々な方式に対応できるのが強みだ。パウダーベッド方式(PBF)、指向性エネルギー堆積法(DED)、ワイヤアーク溶接方式(WAAM)、レーザー溶接方式(LWAM)など、様々な装置を扱っている。
金型向けでは。
PBF方式のVELO3D社(米)を提案している。サポートレスが大きな特長で、45度以下の鋭角なワークの造形でもサポートが少なくて済む。また、装置の水分や酸素濃度もppmレベルで管理できるのが特長だ。
「AMアドバンスドルーム」も設けています。
AM関連の開発に特化した中核拠点で、取り扱う全種類を含め6台の装置を所有している。研究のほか、3DProや設備の検証ができる。新規で設備を導入する企業や、造形でお困りの方の相談に応じるので、課題があるなら声をかけて欲しい。
金型新聞 2022年7月1日
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