金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

05

新聞購読のお申込み

JIMTOF総集編 PART1:カーボンニュートラル CO2排出量の削減につながる技術多数

JIMTOF2022で注目を集めたテーマの一つが、カーボンニュートラルや環境対応だ。工作機械メーカーを始め、多くの出展企業がCO2排出量の削減や環境負荷低減につながる製品や技術を紹介した。世界的にカーボンニュートラルが求められる中、製造現場でも今後さらに環境に配慮した機械や工具の導入が進みそうだ。

環境対応機種、工程改善を提案

ヤマザキマザック

環境対応機種を披露

ヤマザキマザックは、環境対応機種として「NEO(ネオ)シリーズ」を披露。同機種はアキュムレータ式油圧ユニットやインバータチラーユニットなどの省エネ機器を搭載し、消費電力を削減できる。また、切削量に応じてクーラント吐出量を最適制御する機能やグラフィカルに電力表示する機能なども搭載する。同社は2030年までに素材からユーザーまでのCO2排出量を2010年比で50%削減することを目標に掲げている。

オークマ

脱炭素化に向けた取り組みアピール

オークマは、展示機全てに「Green‐Smart Machine(グリーンスマートマシン)」のエンブレムを取り付け、脱炭素化に向けた取り組みをアピールした。同エンブレムを取り付けた機種は、周辺機器の最適化や電力モニタなどの省エネ技術を搭載し、消費エネルギーの削減と加工の高精度化を両立。製造現場の脱炭素化を支援する。

ソディック

オイルポンプをインバータ制御

ソディックは、オイルポンプをインバータ制御にしたワイヤ放電加工機「AL600G”ⅰ Groove Edition”」を発表した。エネルギー消費の大きいオイルポンプをインバータ化することで、20%程度の省エネにつながるという。同機種は、ワイヤが回転しながら加工する機構を搭載した機種で加工面を均一に仕上げることができる。

シチズンマシナリー

機械の電動化、エア消費の削減

シチズンマシナリーは、ユーザーのCO2排出量を削減する取り組みを紹介。機械の電動化の他、パルス放出によるエアの消費削減、アイドリングストップ機能、消費電力表示機能など、さまざまな技術、機能によって、従来に比べてCO2排出量を46%削減した。

ナガセインテグレックス

独自設計で省スペース化

機械の省スペース化や工程集約を図り、生産性を向上させることで、CO2排出量の削減につなげる提案も紹介された。ナガセインテグレックスは、独自の設計手法「イグタープデザイン」を採用し設置面積を2分の1~10分の1に削減した新機種を展示した。前回展(18年)はブースに5台展示したのに対し、今回は同じ面積に7台を展示し、加工面積は8倍まで拡大。「イグタープデザイン」を採用した平面研削盤「SGXシリーズ」は、従来のシングルコラム機に比べ、50%の省エネ化が図れる。

DMG森精機

5軸や複合機で工程集約

DMG森精機は、複数台運用していた機械を5軸加工機や複合加工機などで1台に集約する提案を披露した。ユーザーのGX(グリーントランスフォーメーション)の達成をサポートする。

エンシュウ

スペース、エネルギーを削減

エンシュウは、設置スペースや使用エネルギーを削減した新型マシニングセンタ「Saving Center(セービングセンタ)」を発表した。主軸テーパ30番と15番の2機種を揃え、“Saving(節約、省力、倹約)”をコンセプトに、提案していく考え。

エヌティーツール

加工から洗浄までをMC1台で

エヌティーツールは、マシニングセンタ用高圧洗浄ツール「Boost Master」を展示。ATC搭載可能で、加工から洗浄までをマシニングセンタ1台に集約できる。機外高圧ポンプや冷却装置が不要なため省エネルギー化や省スペース化を実現する。

MOLDINO

最新工具、工法で工程改善

切削工具メーカーでは、MOLDINO(モルディノ)が最新工具や工法の導入による工程改善で、CO2排出量の削減につなげるコンセプトを披露。そのコンセプトを具現化する一つとして高能率側面切削用エンドミル「ER5HS」を展示。5枚刃不等分割で防振性に優れ、負荷制御ツールパスを活用することで、刃長をフルに使う側面加工が可能。加工時間の短縮や工具寿命の向上、工具の集約、ダウンサイジングなどさまざまな効果を生むことができる。

タンガロイ

工具交換短縮や刃先交換式への置き換え提案

タンガロイは、4つの脱炭素化提案を紹介した。①工具交換短縮によるダウンタイムの削減②加工時間の短縮③刃先交換式工具への置き換え④包装資材の削減—。①ではシャンクを機械に取り付けたまま刃先交換ができる自動旋盤向け工具「MODUMTURN」を提案。また、③ではソリッド工具を刃先交換式工具に置き換えることで工具生産時の使用材料を削減し、CO2排出量を抑制できることをアピールした。

オーエスジー

新製品の転造タップを披露

オーエスジーは、新製品の転造タップ「A‐XPF」を展示。切りくずを排出しないため、切りくず除去のための機械停止時間を削減し、安定した加工が可能。切りくず処理も不要なため、廃棄物削減にもつながる。

エムーゲ・フランケン

高速タップ加工が可能

エムーゲ・フランケンは、新製品のタップホルダー「スピードシンクロミニ」を展示。BT30番主軸のマシニングセンタに搭載でき、最大約1万2000回転のタップ加工が可能。加工時間の短縮や消費電力削減にもつながる。

その他、使用材料を減らす取り組みやオイルフリー製品の開発など、さまざまな展示がみられた。製造現場に導入される機械や工具は今後、これまで以上に環境への影響度などが重視される。さらなる進化に注目だ。

金型新聞 WEB限定

関連記事

新中期経営計画「SAIMS247」スタート【ササヤマ challenge!Next50】

自動車部品などのプレス金型を手掛けるササヤマは設立50周年を迎えた昨年度、新たな中期経営計画をスタートした。その3カ年のプロジェクトは金型製作期間を半減するなど競争力の再強化を目指す。EV化が加速するなど取り巻く経営環境…

インターモールド ウェブでプレ企画3月23〜26日

最新放電加工技術フェア インターモールド2021(主催:日本金型工業会)のプレ企画の第2弾として「最新放電加工技術フェア」が3月23~26日、同展ウェブサイトで開催される。 4月14~17日に東京ビッグサイト青海展示棟で…

現代の名工・三井ハイテック 木下 易之氏に聞く「次世代の匠に必要なもの」

デジタル技術や自動化技術の進化によって金型づくりはここ数年、大きく変化している。これから金型技術者にはどのような技能や能力が求められるのだろうか。それとは逆に、時代を越えても変わらず求められることは何だろうか。高度な研削…

進化する超硬加工ー特集ー

進化する超硬加工ー特集ー

切削は高速、研削は高効率  超硬合金を金型材料として使う動きが広がりつつある。これまでは長寿命化などのメリットはあるが、加工しづらいことがボトルネックとなり、一部の金型でしか利用されていなかった。しかし近年、切削加工がで…

2月24〜26日 東京ビッグサイトに315社が最新技術
2021東京 国際包装展

来場事前ウェブ登録開始  2021東京国際包装展(主催:日本包装技術協会、矢嶋進会長、03-3543-1189)は、2月24日㈬~26日㈮の3日間、東京ビッグサイト西館1~4、南1~2ホールで、315社・1525小間(1…

関連サイト