粗形材改革の〝要〟 孫の代まで続く金型産業 「金型は、常に進化させながら孫の代まで延々と続く重要産業」――トヨタ自動車ユニット生技領域長、常務理事高見達朗氏はこのほど、日本の金型産業について熱く語った。日本産機新聞の自動…
次代の人材確保するため、地域を巻き込んで金型の魅力感じてもらう 上田幸司氏(明星金属工業 代表取締役社長)【鳥瞰蟻瞰】

日本の金型の未来を担う人材。それは今、危機的状況を迎えています。少子化が進み、就職する学生の数が減り続けている。当社のある大阪府でも特に公立工業高校で定員割れが相次ぎ、数年後にも数校が廃校します。もの作りに興味を持つ高卒者を一人も採用できなくなる状況が遠くない未来に迫っています。
そんな状況で当社のような中小企業の金型メーカーがどうすれば学生を採用し働き続けてもらえるか。その一つの方法が地域の行政や教育機関、企業と連携し、その地域に様々な業種の企業があること、そしてその仕事の魅力を学生に伝えていくことだと感じています。
その大きなきっかけとなったのが2018年に地元大東市のものづくり企業と協力して作った「企業マップ」でした。これは学生の工場見学や職場体験を歓迎している市内の製造業28社を市の地図に収録したもので、これが教育委にとても喜ばれました。
先生方は地元の企業とのつながりが薄く、学生の工場見学や職場体験先を探すのに苦労していました。しかし企業マップはその架け橋となり学生に多彩なものづくりの現場を体感させてあげられる。その後、市にも認められ全業種56社のマップへと発展しました。
このとき感じたのが連携の大切さでした。学生に当社や金型を売り込もうと単独で工場見学を開いていてもできることは限られている。けれど市や教育委、そして採用で悩む企業と協力して取り組む方が活動の幅が広がり効果も大きくなる。
雇用は採用と教育の両輪がなくてはなりません。会社に興味を持ってもらい採用できてもやりがいを感じてもらえなければ続かない。教育の本質はそのやりがいを伝えること。技能やマネジメント研修を通じて、能力が高まる嬉しさや社会における仕事の尊さを感じてもらうことが大切です。
それまでにも当社独自のカリキュラムを作り金型技能者の教育をしたり、市内のものづくり企業とIoTの基礎講座を開いたりしてきました。ですが企業マップをきっかけに思ったのです。教育も地域で連携すればどうかと。
採用と教育の地域連携のイメージが頭に浮かびました。別々に活動していた工場見学や研修講座を市の子供や市内の企業で働く人のための育成事業として体系化。子供も社会人も仕事の魅力を知りスキルアップしていくプランです。
このプランを2019年、市や商工会議所、教育委に提案したところ地域連携の事業として認められました。そして21年、その一つの活動として市内の企業に入社した新入社員を一堂に会する「合同入社式」をスタートとし育成していく「DAITO DOUKI(同期・動機) CAMPAS」がスタートしました。
この研修は新入社員として必要な社会人基礎研修と、製造業向けの安全講習や基礎技術・技能研修があり、1年を通じて研修し参加者同士の同期・仲間作りも目的の一つです。その後、10年のスパンでキャリアUP研修を行い、まさに地域企業による地域企業のための育成活動です。
今、日本の殆どの企業が人材の採用と育成で悩んでいます。世の中の多くの人にその職種を知られておらず、仕事の魅力を実感するまで時間がかかる。当社も含めてそんな構造的な課題を抱える金型メーカーはなおさらです。
であれば連携するのはどうでしょうか。地域全体とまでいかなくても企業や学校と連携する。当社はこの一連の地域連携で、工場見学をした学生や事業活動を通じて当社を知った学生が入社してくれるようになりました。
連携は手間と時間がかかり、直接メリットにならないと思うことも多い。人材の採用や育成でずいぶん遠回りな方法だと思ってしまうかもしれませんが、実は最も近道だと感じています。
金型新聞 2023年3月10日
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