魂動デザインなど独自の哲学で「走る歓び」を追求するクルマづくりに取り組むマツダ。金型はそれを実現するための極めて重要なマザーツールだ。なぜ社内で金型を作り続けるのか。金型づくりを進化させるため取り組むこと、これから目指す…
山崎 達博さん 玉成と保全の技能を次代に教える【ひと】
鉄の板を金型でプレスすると起こる想定外の歪みや割れ。その原因を見極め、溶接と研磨で補正し、目指す品質に導いていく。解析が進化した今も、自動車のドアや骨格部品の金型は人による玉成がカギを握る。その技能を次代に教えている。
鹿児島・奄美黄島出身。ものづくりが好きで、自らの腕で作り上げる金型に熱中した。30代で韓国や台湾など海外取引先の量産立ち上げ支援を経験。工場長を務め、ダイハツ九州の金型工場開設にも携わった。金型づくりの高度な技能が認められ『なにわの名工』に選ばれた。
10年前に定年を迎えた。これまで培った熟練技能を活かし、社内でメンテナンスの技術者に玉成を、社外では大分県内の自動車部品メーカーの技術者を対象とする『金型保全技術者育成講座』で保全の技能を指導する。
重んじるのは自主性。玉成も保全も大切なのは自ら考え、一生懸命取り組むこと。「知恵を絞り試行錯誤することが経験となり糧となる。そして一生懸命集中して励んだら良い金型ができる」。だから余計に口を出さない。聞かれた時だけ丁寧にそっと教える。
趣味は家庭菜園。毎日、出勤前と帰宅後、畑で30種類の野菜の成長を確かめ世話をする。「野菜も金型と同じ。工夫し、手間をかけて育てると美味しい野菜ができる。何ごとも、考えることと一生懸命が大事です」。
金型新聞 2023年6月10日
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