「CASE」(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に代表されるように、「百年に一度の変革期」と言われる自動車業界。金型にとってもその影響は大きく、舵取り次第では将来の成長を左右しかねない。特に、金型へのインパ…
新需要獲得に向け技術開発強化【特集:プレス加工の未来】
日本でのプレス加工の歴史が始まって約150年。日本の製造業の発展とともに、プレス加工は進化を続けてきた。近年では最大の需要先である自動車産業でEVシフトが活発化していることから、新しい需要獲得に向けた開発や事業に取り組む動きが広がっている。また、労働人口の減少による人手不足や技能伝承なども課題だ。プレス加工はどこに向かうのか。プレス加工の未来を探る。
EV化、人手不足対応
日本におけるプレス加工の始まりは諸説あるものの、明治時代に貨幣と薬きょうという2つの量産成形品の製造に用いられたとされる。その後、民間に波及し、玩具や日用品、自動車、電気機器、精密機器などへと広がっていった。金属加工の中でも安価に製品形状を作り上げることができる工法で、特に1950年代の大量生産・大量消費時代から日本経済の発展を支えてきた。
現在、プレス加工品の8~9割は自動車産業が占めている。この最大の需要先で目下起こっているのが100年に一度と言われる大変革だ。脱炭素社会の実現に向けて、電気モータを動力源とするEVへの転換を目指す動きが広がっており、プレス加工に求められるニーズも変化している。

モータやバッテリーなどといった新たな部品の需要が増加し、多くのプレス加工メーカーはこうした電動化部品への参入を目指している。今後、EVシフトが進展し、必要な電動化部品の数が増えれば、量産性に優れるプレス加工の需要は今後さらに拡大する可能性が高い。
また、こうした電動化部品に加え、需要が高まっている分野の一つに高張力鋼板(ハイテン材)プレスがある。電動化に伴い車体の軽量化が求められる中、通常の鋼材よりも硬く、強度を維持したまま薄肉化ができるハイテン材は需要が高く、技術開発に取り組む加工メーカーは少なくない。特に最近はこれまで熱間プレスで加工していたような超ハイテン材を冷間プレスで加工し、生産性の向上や環境負荷の低減を提案する事例が目立っている。
新しい動きが広がる一方で、プレス加工現場では労働人口の減少に伴い、人手不足や技能伝承が深刻な課題となっている。プレス機・周辺機器メーカー各社はロボットやセンシングなどを活用した自動化技術や、AIを始めとしたデジタル技術を活用し、人手に頼らない生産システムの開発を進める。今後も競争力を維持、向上させていくためには、こうした技術をいかに生産現場に導入していくかが重要となる。
加工メーカー、プレス機・周辺機器メーカーがさまざまな開発を進めた結果、プレス加工でこれまで実現できなかった加工が可能になっている。今後、プレス加工が目指すのは、他工法からプレス加工への置き換え、EVシフトに伴う新しい需要の取り込み、そして、次代を据えた加工現場の改革だ。プレス加工の未来は動き始めている。
金型新聞 2024年10月10日
関連記事
アルミ、樹脂など軽量化の流れ加速 次世代型自動車の登場が金型業界に及ぼす影響を懸念する声は少なくない。「電気自動車(EV)でエンジンはどれほど減るのか」、「アルミや樹脂は増えるのか」などの疑問は尽きない。そこで本年の新…
DXの本質は利益を生み出すことにある。以降では、DXによって「売上げを上げて利益を生み出す」方法と「コストを下げて利益を生み出す」企業のそれぞれの取り組みを取材した。 電極の測定プログラム自動作成 精密プラスチック金型を…
PART1:電動化というチャンス、新たな需要が生まれるPART2:この10年を振り返るPART3:新潮流に挑むチャレンジャーたちPART4:記者の目 PART1 電動化というチャンス、新たな需要が生まれる 電子部品、モ…
金型産業 発展へ 日本金型工業会 5つの施策 出席者 エムエス製作所社長 迫田 幸博氏 小出製作所社長 小出 悟氏 長津製作所会長 牧野 俊清氏 日進精機相談役 加藤 忠郎氏 野田金型社長 堀口 展男氏 2月号で…