薄肉の低圧鋳造技術を強みとするドイツのグルネバルド社と提携し、砂型鋳造で、アルミの試作部品を手掛ける木村鋳造所。同社の木村崇専務は「アルミの大型試作部品は急増している」と話す。試作はいずれ量産に移行するため、金型の動向を…
金型補修の技術伝承を支援 岩倉義典氏(岩倉溶接工業所社長)【この人に聞く】
ステンレスを主体にアルミ、チタンなどの金属の溶接加工を手掛ける岩倉溶接工業所(静岡県島田市、0547・37・4585)は今年8月から、金型溶接の受託加工事業と金型溶接・仕上げの技術支援事業を開始した。金型補修における人手不足、技術伝承が課題となる中、受託加工から技術支援までを一貫して提供する考え。新規事業に挑む同社の狙いや今後の展開などを聞いた。
受託加工、教育事業を開始
貴社について。
創業は1973年。精密洗浄機部品や医療器具、食品機械部品、航空機部品などの精度や外観品質が要求される精密溶接加工を手掛けている。特に板厚0・05㎜以下の薄物溶接が得意。アルゴン溶接、ファイバーレーザー溶接の他、レーザーカットやレーザーマーキングなどの周辺技術も含めて提供できる。
なぜ、金型補修事業に取り組むのか。
金型補修現場では人手不足による技術伝承が大きな課題となっている。熟練作業者が減り、これまで社内でこなせていた加工ができなくなったり、若手人材への技術伝承が思うように進まなかったり、こうした悩みを抱える企業は少なくない。当社がこれまでに培ってきた溶接加工の技術とノウハウを生かせば、金型補修における課題解決に貢献できるのではないかと考え、事業化を決めた。
受託加工の特長は。
当社のサービスは金型溶接だけでなく、仕上げまで提供できるのが特長。金型溶接・仕上げに長けた専門人材と、最大出力3・0kWのファイバーレーザー溶接機によって、高品質な金型溶接から仕上げまでの提供を可能にしている。今後、需要に応じて設備を増設し、人材も拡充していこうと考えている。
技術支援事業とは。
当社の技術者を派遣し、金型の溶接から仕上げまでを指導し、その後の電話サポートも提供する。教育カリキュラムはお客さまに合わせて作成する。例えば、金型溶接に特化したカリキュラムを提供することも可能だ。基礎知識から細かい技術やノウハウまで丁寧に指導する。
技術やノウハウが流出してしまうのでは。
そうしたことよりも技術支援を通じて、相互に情報や仕事をやり取りできる協力関係の構築につなげたいと考えている。金型補修だけでなく、当社の既存事業でもお手伝いできることがあるはず。レーザーマーキングでは金型に刻印を施すといった実績もある。双方にとってメリットのある事業にしていくつもりだ。
今後の展開、目標は。
まずは東海、関東といった当社近辺エリアから展開を始めていく。今後、技術支援事業は海外展開なども検討している。数年のうちに受託加工と技術支援事業を当社事業の柱の一つにしていきたいと考えている。
金型新聞 2024年11月10日
関連記事
旧態依然の手法通用せず 今こそ変わるべき時 〜金型産業ビジョン〜 1955年静岡県生まれ。78年に工学院大学機械工学科を卒業後、名古屋の金型メーカー高橋精機工業所に入社し、金型づくりを学ぶ。81年にアルミダイカスト金型…
経験による予測が不可欠若い人は好奇心旺盛であれ新しいことに挑戦して 日本の金型はますます難易度が高くなる一方、若手が基礎を学び、簡単なことから経験し、成長していく土壌が失われつつあります。だからこそ、過去の経験や技術を伝…
「技術等情報の管理認証制度」設立 IoT化やグローバル化などによって、情報流出のリスクが高まる昨今、製造業には技術などの情報の適切な管理が求められている。金型業界も例外ではなく、「顧客情報がしっかり管理、保護できている…
精密金型部品 キャビティやコア、スライドコアなどの金型部品を専門に手掛ける会社がある。富山県南砺市のリバン・イシカワ。金型づくりで培った経験を生かし、独自の工夫や細やかな心配りで自動車関連メーカーの金型部門や金型メーカー…