デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスを変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)。金型でもその重要性は誰もが認めるところ。しかし、金型づくりでは、人が介在する部分が多かったり、デジタル化を進めづらかっ…
ポートフォリオを再構築 畠山英之氏(キヤノンモールド社長)【この人に聞く】
「金型づくりへのパッションが強い」—。今年4月、キヤノンモールドの社長に就いた畠山英之氏が抱いた同社への第一印象だ。その情熱を武器に、超精密金型など同社でしかできない型づくりを進める一方、海外拡大や外販強化など「事業ポートフォリオの再構築」を進めるという。同時に「業務フローを見直し、リードタイムを短くすることにも取り組む」と話す畠山新社長に強みや課題、目指すべき企業像などを聞いた。

パッションの高さ強み
キヤノンモールドの第一印象は。
金型づくりにかけるパッションが非常に強いと感じた。現在幹部を中心に面談しているが「金型づくりが楽しい」と言う社員が本当に多い。50年以上金型づくりを積み重ねてきたことに加え、この情熱は強みだと思う。
ほかの強みは。
キヤノングループということもそうだろう。キヤノンのさまざまな資産を活用できるうえ、金型ユーザーであるキヤノンと「こんな機能の金型を作りたい」という情報を共有できるメリットは大きい。この強みを生かしながら、型内組み立てやダイスライドインジェクション(DSI)など、当社にしかできない「超」のつく型づくりに注力する。一方で課題やすべきこともある。
どういう点でしょう。
規模(従業員476人)は強みでもあるが、弱みにもなっている。規模のおかげで、業種の幅を広げたり、開発に注力できたりする。一方、規模が大きいがゆえに情報の伝達が難しい。加工データなどの伝達だけでなく、「この加工終わったよ」とか、「この機械空いてるよ」といった工程間のやり取りもスムーズに進まなかったりする。また、規模に応じた仕事量確保のため、営業の強化も必要だ。
業務フロー見直しリードタイム短縮
どう改善するか。
情報の伝達については、まずは業務フローを見直しているところだ。情報を見える化し、情報の流れを整流化することで、リードタイムを短くしようと声をかけている。
営業は、国内だけでなく海外展開、キヤノン以外の外販強化、業種の幅を広げようと指示している。70台以上あるマシニングセンタを活用して、部品加工したっていいと思う。とにかく幅を広げることで、ポートフォリオの再構築を急ぐ。
目指す企業像は。
社長就任に際し「金型づくりに誇りを持ち、精密加工技術の進化と革新により、お客様に価値を提供し続けよう」とビジョンを設定した。
これを実現するために、まず自らの金型づくりに「自信を持とうよ」と。立ち止まらず、技術を進化させ、新しい技術と融合し続けようと呼びかけている。そして、変化や環境に敏感でいることで、お客様に価値を提供し続ける会社にしたい。
金型しんぶん2025年7月10日号
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