金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

AUGUST

05

新聞購読のお申込み

加速する高硬度直彫り

工程短縮、精度安定に利点

 超高張力鋼板やガラス繊維など成形材料が高度化していることから、HRC60を超える焼入れ鋼や超硬材を使うなど金型の高硬度化が進んでいる。こうしたニーズに合わせて、高硬度材料を効率よく高精度に加工できる方法の一つとして、直彫りする動きが加速している。最近では、工具メーカーや機械メーカーの技術革新も進み、超硬を切削したり、鏡面加工できたりとその領域もますます広がっている。

直彫りで磨きレス


 高硬度材を直彫りするメリットには「工程短縮」、「複雑化・高度化する金型への対応」、「最終精度の安定化」の大きく3つが挙げられる。これらの利点は、直彫りで磨きが不要になる「磨きレス」によるところが大きい。

 まず「工程短縮」では、磨き工程が省けるため、単純に1工程少なくて済む。特に人の手が不可欠で、手間やコストが多くかかる磨き工程を削減できれば、全体の生産性向上につながるのは当然だ。

 2つ目の「複雑化・高度化する金型への対応」は、手仕上げが難しい複雑な金型や、手磨きでは不可能な金型など、技術的に機械化せざるを得ない金型が増えてきたことが背景にある。最近では自動車のヘッドライトのような面粗度の高い金型のほか、長寿命化、離型性の向上のために「鏡面ピカピカ」に加工するニーズも高い。

 最後の「最終精度の安定化」では、切削することで手仕上げによる加工精度のバラつきを抑えることができ、安定した精度が得られる。実際にこうした利点を活かして、金型づくりに取り組む企業も増えている。

 ある電機メーカーの金型内製部門では、手磨きで不可能なナノオーダーの金型を要求され、直彫り化に着手。超精密加工を実現したのに加え「切削一発で鏡面に加工できるため、大幅な工程短縮、生産コストの低減につながった」と話す。

 また、ある自動車部品メーカーの金型部門は、手磨きによる加工精度のバラつきをなくすために、直彫り化を進めている。技能差に加え、電極の加工誤差も反映されないため、より安定した精度での高品質な金型づくりを実現している。

 こうした高硬度材の直彫りが可能となったのは、機械や工具メーカーの研究開発の賜物といえる。フレや振動の少ない高速加工機、PCD(多結晶焼結ダイヤモンド)やCBN(単結晶ダイヤモンド)工具、刃数を増やした工具など、高硬度材切削を支える加工技術も日々進化し続けている。

金型新聞 平成28年(2016年)7月4日号

関連記事

米由来のバイオプラ 関東製作所が確立した金型・成形技術とは

脱炭素社会に向けた取り組みがものづくりで加速し、金型業界でもその動きが広がりつつある。先手を打つ金型メーカーの対応には大きくは2つの方向性がある。一つは、太陽光パネルの設置や設備の省エネ化などによる自社の生産活動でCO2…

サンワ金型 様々な仲間が集まる工場に【特集:かっこいい工場】

金型メーカーからエンジニアリング企業へ 「金型メーカー単体では生きるのが難しい時代だからこそ、新しいモノを作りたい人や企業がシーズを持ち寄り、一緒に花を咲かせられるガーデンとしての開発工場を目指す」と鈴木大輔社長は202…

匠の技を自動化し、技能を伝承【特集:自動車メーカーの金型づくり】

自動化と人材育成—。自動車産業に関わらず、あらゆる製造現場において共通の課題となっている。人手不足は深刻化しており、課題解消に自動化、省力化は欠かせない。いかに若手に技能を伝承していくかも喫緊の課題となっている。一方で、…

ウエブサイトやSNS活用し、見込み顧客発掘 【特集:営業ってどうする?】

金型メーカーの新規顧客の開拓方法が変わりつつある。これまでの直接訪問やテレアポといった手法から、インターネットやスマホの普及、コロナ禍で急速に進展した非対面活動の拡大によって、ウエブサイトやSNSなどを使って情報を発信し…

自動車メーカーに聞く ギガキャストに取り組む理由 トヨタ自動車門野英彦氏【特集:ギガキャストの現在地】

トヨタ自動車は昨年、2026年に投入を予定している次世代EVの生産工場にギガキャストを取り入れると発表した。従来数十点の板金部品で作っていたものをアルミダイカストで一体成形することで、部品点数を大幅に削減し、生産工程を半…

トピックス

関連サイト