金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

27

新聞購読のお申込み

加速する高硬度直彫り

工程短縮、精度安定に利点

 超高張力鋼板やガラス繊維など成形材料が高度化していることから、HRC60を超える焼入れ鋼や超硬材を使うなど金型の高硬度化が進んでいる。こうしたニーズに合わせて、高硬度材料を効率よく高精度に加工できる方法の一つとして、直彫りする動きが加速している。最近では、工具メーカーや機械メーカーの技術革新も進み、超硬を切削したり、鏡面加工できたりとその領域もますます広がっている。

直彫りで磨きレス


 高硬度材を直彫りするメリットには「工程短縮」、「複雑化・高度化する金型への対応」、「最終精度の安定化」の大きく3つが挙げられる。これらの利点は、直彫りで磨きが不要になる「磨きレス」によるところが大きい。

 まず「工程短縮」では、磨き工程が省けるため、単純に1工程少なくて済む。特に人の手が不可欠で、手間やコストが多くかかる磨き工程を削減できれば、全体の生産性向上につながるのは当然だ。

 2つ目の「複雑化・高度化する金型への対応」は、手仕上げが難しい複雑な金型や、手磨きでは不可能な金型など、技術的に機械化せざるを得ない金型が増えてきたことが背景にある。最近では自動車のヘッドライトのような面粗度の高い金型のほか、長寿命化、離型性の向上のために「鏡面ピカピカ」に加工するニーズも高い。

 最後の「最終精度の安定化」では、切削することで手仕上げによる加工精度のバラつきを抑えることができ、安定した精度が得られる。実際にこうした利点を活かして、金型づくりに取り組む企業も増えている。

 ある電機メーカーの金型内製部門では、手磨きで不可能なナノオーダーの金型を要求され、直彫り化に着手。超精密加工を実現したのに加え「切削一発で鏡面に加工できるため、大幅な工程短縮、生産コストの低減につながった」と話す。

 また、ある自動車部品メーカーの金型部門は、手磨きによる加工精度のバラつきをなくすために、直彫り化を進めている。技能差に加え、電極の加工誤差も反映されないため、より安定した精度での高品質な金型づくりを実現している。

 こうした高硬度材の直彫りが可能となったのは、機械や工具メーカーの研究開発の賜物といえる。フレや振動の少ない高速加工機、PCD(多結晶焼結ダイヤモンド)やCBN(単結晶ダイヤモンド)工具、刃数を増やした工具など、高硬度材切削を支える加工技術も日々進化し続けている。

金型新聞 平成28年(2016年)7月4日号

関連記事

寿原テクノス ガス抜きや冷却技術開発【特集:ダイカスト最前線】

エンジンやステアリング部品など鋳造800~1250tクラス(最大2500tまで)を得意とするダイカスト金型メーカーの寿原テクノスはダイカストの課題を解決する新たな金型技術を次々に発表し、ダイカスト製品の高品質化やサイクル…

【特集】どうする、金型人材の確保と育成

目次PART1:日本工業大学専門職大学院専任教授 小田恭市氏インタビューPART2:人材確保編PART3:人材確保編PART4:金型経営者に10の質問PART5:あの指導が成長につながったPART6:記者の目 PART1…

【特集】日本の金型業界に必要な4つの課題 -連携-

PART1 共和工業 相談役・岩渕学氏(日本金型工業会副会長)に聞く「連携」 連携強化は時代の必然 個社が自律した  新たな協業のカタチを 金型メーカーの本質を突き詰めると「連携」が不可欠なのは明らかです。では、そもそも…

自動車金型、2024年秋に需要回復か【特集:自動車金型の未来】

自動車の金型が試練の時を迎えている。半導体不足に端を発する新車開発の相次ぐ延期で受注が減少している。一方、電気自動車(EV)シフトが技術と産業構造に変革を迫る。生き残るカギは変化のうねりを見極め培ったノウハウや強みを生か…

精工技研 UV硬化樹脂で大口径レンズ【特集:ものづくりを変えるレンズ金型】

独自の成形、金型技術で実現 樹脂レンズの光学設計から金型、成形、組立までを手がける精工技研は、紫外線(UV)硬化樹脂を用いた大口径レンズを開発した。独自の成形技術や金型技術によって実現。熱可塑性樹脂やガラスでは要求が満た…

トピックス

関連サイト