金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

21

新聞購読のお申込み

トップインタビュー 立松モールド工業 立松 宏樹社長
全ては人材育成のため

冶具、成形、部品…
ポートフォリオ構築

 今年6月に創業60周年を迎えた大型プラスチック金型を手掛ける立松モールド工業。60年を機に、事業部制を採用し、成形の強化、冶具や部品の販売など金型をコアに事業ポートフォリオを構築。金型を核とした企業グループに進化しようとしている。「全ては人材育成」と話す、立松宏樹社長にその狙いや今後の方向性などを聞いた。

立松社長

 1988年立松モールド工業北米子会社のMidwest Mold&Texture Corp入社、2003年立松モールド工業本社、09年執行役員購買部と海外事業担当、11年常務取締役、14年取締役副社長、16年代表取締役社長。

ー60周年を機に事業改革を進めています。その骨子を教えてください。
 「年初に5つの事業部制を採用しました。一つは祖業の金型事業部。成形事業部はトライ中心でしたが、小ロットの成形のニーズも増えてきたので成形機の活用を再考しています。3つ目がモールドサービス事業。中小型の金型の外製管理などを行う事業を別会社でやっていたのを社内に取り込みました。4つめがHR事業でバルブゲートなどホットランナーの販売を手掛けています。そしてMF事業部を新設しました」。

ーMF事業とは。
 「マシンフィクスチャーの略で、イタリアのFCS社の機械用段取冶具と周辺自動機器を販売します。効果は知っていましたが、使ってみると凄まじい。段取り時間が最大で75%低減できる。FCSが当社をモデル工場としても使いたいという意図もあって、総代理店として6月から販売していきます」。

ーなぜ事業部制を採用したのでしょう。
 「結論から言えば全て人材育成のためです。事業領域を拡大していくためには、社員みんなが挑戦できる仕組みが必要です。その方法の一つが事業部制ということです。金型事業を分解すれば、成形や部品、冶具の販売などのビジネスチャンスが広がっている。しかし、金型だけでみていては、その広がりに気づかない。例えば、冶具を扱うことで機械加工全般に視野が広がる。成形することで、アクセスできなかったお客様との接点も増えるし、刺激も受ける。そうした広い視野を持てれば人も成長する」。

ー金型事業の強化は。
 「金型をプロジェクトと見立てチーム制にしました。設計は設計で終わりではなくプロジェクトの責任を持たなくてはならない。おかげで社内コミュニケーションも増えました。多能工でなく一人で金型を作りきれる人材を育てたいですね」。

ーグローバルネットワークも強みです。
 「世界最大の金型ネットワークではないかと自負しています。協業先のネットワークを含めると世界53か国でサポートできる体制です。国内でも加飾加工技術を広げるため、IBUKIと技術協業を始めました。今後も、サポートと技術コラボネットワークを拡げていきます」。

ー事業部制もネットワークも金型メーカーとしての立松モールド工業ではなく、立松グループといった感じがしますが目指す会社像は?
 「社員みんなが自らの望むことにチャレンジして、楽しいと思える会社にしたい。そのためには、金型だけ見ていてはダメ。いわゆる金型技術だけを売りにしていてはそうはなれない。視野を広げ、色んなことを提案できる、将来はインテグラルのその先へ『なくてはならない会社』を目指します」。

金型新聞 平成30年(2018年)6月8日号

関連記事

久野功雄氏

【プレス型特集】
久野金属工業 久野 功雄専務に聞く
飽き性を夢中にさせたプレス金型の魅力

自動車を中心に高精度かつ複雑形状な部品の開発、金型製造、量産まで手掛ける久野金属工業。EVなど次世代自動車の部品を生産する一方、ITを活用した改善活動など社内改革も積極的に行っている。その改革を推進してきたのが入社19年…

金型の異常をAIで検知するカメラシステム【金型応援隊】

AI・ロボット開発のベンチャー企業a‐roboは2023年2月、プラスチック成形中の異常を検知し、成形機を制御するカメラシステム「GROW‐V」を発売した。 カメラの画像情報をもとにAIが金型の異常を検知する。既存のシス…

【インタビュー】テラスレーザー常務・齋藤祐司氏「高品質・低価格で金型補修」

 テラスレーザー(静岡市駿河区、054-270-7798)は、2019年に設立された金型補修用レーザー溶接機メーカー。高品質でありながら低価格を実現し、独自技術を活かしたユーザビリティの高い製品を提供する。「『直す』とい…

平和電機 工業用ヒーターの技術集団[金型応援隊]

射出成形機や押出成形機、各種金型に欠かせないもの、それは工業用ヒーターだ。バンドヒーターやマイクロシーズヒーター、カートリッジヒーターなど工業用ヒーターを手掛ける平和電機は長年培ってきたノウハウを活かし、顧客の課題解決に…

日本鍛圧機械工業会 長利啓正会長(コマツ産機社長)インタビュー【特集:プレス加工の未来】

電動車による部品の変化や脱炭素対応などさまざまな変化に迫られている金型業界。見てきたように、こうした変化に対応すべく、プレス金型の製造現場ではいろんな取り組みを進めている。一方で、環境変化によってプレス機のニーズは変わる…

トピックス

AD

FARO 樹脂成型品や自動車シートの測定での3次元測定アームの活用と新製品Qua...

樹脂成型品の工程管理・不具合解析 樹脂成型品の工程管理や不具合解析の現場では、実際の製品や試作品と設計図との差異把握や、製品や金型の工程ごとの変化量把握、不具合解析や要因分... 続きを読む

関連サイト