金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JUNE

01

新聞購読のお申込み

IoT、AI 活用広がる JIMTOF総集編

11月1日から6日間、東京ビッグサイト開かれた「日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」。最新の加工技術に加え、IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)の活用など、ものづくりの未来を提示した。こうした最新のツールは金型づくりにどのように活用できるのか。自動化や複合加工技術はどこまで進化しているのか。JIMTOF2018で金型に関する加工技術の進化を取材した。

IoT、AI 活用広がる 変わる金型づくり

出展機の稼働状況を一括表示


   JIMTOF2018の「主役」の一つは、機械や機器をインターネットでつなぐ「IoT」。企画展示では会場を一つの工場に見立て、73社の展示機器約300台を接続。プラットフォームを介し大型モニタで稼働状況を一括表示した。
   日本工作機械工業会の稲葉善治技術委員長(ファナック会長)は「つなぐことはできる。大事なのは何をするかだ」と課題を強調。今回は実用的な新たなIoT活用法が登場した。

機械の稼働状況を監視

   一つが保守監視サービス。ヤマザキマザックの「MazakiCONNECT」は機械をクラウドにつなぎウェブで稼働状況を把握。保守や加工プログラムのバックアップを支援する。
   保守監視や稼働状況の確認は稼働率向上につながる。稼働監視を活用する金型メーカーは「見えなかったものを数値化するだけで2割ほど稼働率が上がった」という。

機器でもIoT化が進む


   AIの活用法も披露された。オークマは主軸に振動センサを搭載。異常をグラフ化することで補修時期を予測する。碌々産業は機械の監視に加え、集積したデータをAIで分析。熱変位補正などの自動化につなげる。三菱電機もAI搭載の形彫放電加工機を発表。ノウハウが必要な放電の条件設定を最適化する。

工作機械のメンテナンス時期を予測

  機器や工具でもIoTの活用が広がっている。THKはリニアガイドにセンサを内蔵し、損傷具合などのデータをオンラインで管理・分析できるサービスを展示。工具ではサンドビックが独自のIoTプラットフォームと機器にセンシング機能を持たせた製品を披露。
 データを有効に活用できるアプリケーションの開発も進む。ファナックが提供するプラットフォーム「フィールドシステム」では28個のアプリが提供可能になり、同様の「Edgecross」では年内にも10個以上に増える予定だ。

  一方で、ある機械メーカーは「各社ともまだ模索段階」と話す。セキュリティ面の不安や、ネットワーク化が未整備という企業も多く、導入までのハードルは依然として高いからだ。今後はこうした課題をいかに解決していくかが鍵となる。「全ての企業がメリットを享受できるような仕組みを構築したい」(稲葉技術委員長)。

金型新聞 平成30年(2018年)12月10日号

関連記事

金型テクノラボ
熊本精研工業「金型製作の現場が生んだ、カメラによる機上測定」

 ワークの形状を測定するため加工機から取り外し、再び同じ状態に戻すのは極めて難しい。しかしその課題を解決する技術の一つとして近年、注目されているのが機上測定だ。今回の金型テクノラボは、金型メーカーが測定時間の短縮や加工ミ…

【Breakthrough!】熱間材&コーティング

熱間材の新技術 熱間材に関連する新たな技術開発が進んでいる。ホットスタンプやダイカストのように、過酷な条件での成形が増えているためだ。材料では、高温な金型を効率よく冷やすために、高い熱伝導性や靭性を持った新素材が登場。ま…

MEISEI、協立化成 植物由来のプラ製品

プラスチック金型メーカーのMEISEI(旧名古屋精密金型、愛知県知多郡東浦町、0562・84・7600)は10月30日~11月1日の3日間、ポートメッセなごやで開催された「メッセナゴヤ2024」のサーキュラーエコノミーあ…

米社製治具の3Dモデル製作
NKワークス

無料ツールをウェブで公開  NKワークス(東京都千代田区、03-3864-5411)はこのほど、5thAXIS社(米)の製品選定に役立つ3Dモデル製作ツール「3D COMPATIBILITY TOOL」の日本語版操作方法…

カメラ内蔵金型による±5μm位置決めプレス サンコー技研【金型テクノラボ】

電子回路を組み込んだフィルム基板やICカードなどの精密打ち抜きで、大きな課題となるのが板材の位置決め。しかしプレス加工を手掛けるサンコー技研は、金型に内蔵したカメラとロボットにより±5μmの精度で位置決めしてプレス加工す…

トピックス

関連サイト