金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

26

新聞購読のお申込み

DXの本質は生産性の向上と人材育成 佐藤声喜氏(KMC社長)【特集:利益を生むDX】

多くの製造現場がDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性を認識する一方で、DX導入に苦労している企業や製造現場も少なくない。そうした中、「製造DXソリューションカンパニー」を掲げるKMC(川崎市高津区)は、工作機械や金型に取り付けるセンサや、そこで取得したデータを活用するソフトウエア、コンサルティングを手掛け、製造現場のDX支援に力を注ぐ。DXの本質とは何か。同社を創業し、200社以上の技術コンサルで製造現場改革を支援してきた佐藤声喜氏に話を聞いた。

利益向上、新領域への挑戦可能に

KMC 代表取締役 工学博士 佐藤声喜(さとう・せいき)氏。
1956年生まれ、秋田県出身。1980年芝浦工業大学博士修士課程を修了後、三井金属鉱業に入社。90年に金型ベンチャー企業のインクスを設立した。2010年にKMCを創業し、製造業の技術コンサルやIoT・M2M関連機器・ソフトウエアを手掛ける。

DXの本質とは。

職人依存、経験、勘、五感の属人的製造から脱却し、身近なデジタル職場・職人を作ること。要は効率化による生産性向上と人材育成だ。工作機械や金型に取り付けたセンサで、現場のデータを取って、そのデータを見て分析し、改善につなげる。このサイクルを実践する現場と人材こそDXだと考えている。

金型を始めとした製造業によるDXの現状は。

すでに多くの企業がセンサなどを活用し、現場のデータを集め始めている。ただ、その生かし方が分からないという企業が少なくない。単なるDX導入は失敗を生み出し、多くの現場が苦労している。

課題は何か。

一つは人材だ。製造現場のDXで必要なのは、データ分析や解析が得意な人材ではなく、現場を良く知り、何のためにどのデータを取るのかを理解している人材だ。現場のスマート化を進めることができる“デジタル職人”こそ、これから必要な人材だろう。ただ、こうした人材はまだ少ない。

育てるためには。

道具を上手く活用すること。機械や金型の状態を把握できるセンサやセンシング技術は進化している。金型や設備IoTも同じ。こうしたツールやシステムをいち早く導入し、人材育成に活用することが重要となる。

投資に踏み切れない企業も多いのでは。

現在、少子高齢化によって、ノウハウを持った職人が減っており、このままでは現場が成り立たなくなるという危機を迎えている。生き残れるかどうかの中で費用対効果の話をしている場合だろうか。判断の遅さも課題の一つ。一刻も早く現場導入を検討すべきだ。

DXは利益向上につながるか。

利益を上げるためには、受注を増やすか、原価を下げるか。DXはこの2つに大きく貢献する。例えば、帳票をデジタル化することで集計工数を削減できるし、設備の予兆保全に活用することで実稼働率・べき動率の向上も可能になる。

また、より付加価値の高い製品やサービスの提供にもつながる。特に金型ノウハウや型保全サービスには高い付加価値があると考えていい。DXによって、こうした新たなビジネス領域への挑戦も可能になるだろう。

金型新聞 2023年2月10日

関連記事

寿原テクノス ガス抜きや冷却技術開発【特集:ダイカスト最前線】

エンジンやステアリング部品など鋳造800~1250tクラス(最大2500tまで)を得意とするダイカスト金型メーカーの寿原テクノスはダイカストの課題を解決する新たな金型技術を次々に発表し、ダイカスト製品の高品質化やサイクル…

keg 圧倒的に少ない揮発ロス【特集:放電加工〜最新技術はこう使え〜】

独オイルヘルド社製「Iono Plus IME‐MH」、2年間無給油の事例も 独オイルヘルド社製の「Iono Plus IME‐MH」は世界各国で使用されているグローバルスタンダードな放電加工油。高精度な化学合成油がベー…

【特集】日本の金型業界に必要な4つの課題 -デジタル化-

PART2 打田製作所 社長・打田尚道氏に聞く「デジタル化」 トップの判断が必要不可欠 業務フローを簡素化し、  現場が楽になること目指す なぜ金型企業がデジタル化を進める必要があるか。ここでいうデジタル化を「人に依存し…

Hexagon MI AM造形品の品質保証【特集:金型づくりのAM活用最前線】

Ⅹ線CT解析ソフト活用 採用が増えつつある金属AMによる金型の入れ子部品。しかし、造形したワークの内部にできた巣の有無や造形密度などは切断するしか把握できないため、品質保証の難しさがAM入れ子部品の採用の壁の一つになって…

自動化で年4400万円のコスト減 月平均600時間稼働【自動化で変わる金型メーカー】

生産性の向上、人手不足への対応、人を介さないことによる品質向上—。目的や狙いは様々だが、金型メーカーにとって自動化は待ったなしだ。しかし、自動化には様々な変化が伴う。機械設備の内容もこれまでとは異なるし、自動化を進めるた…

トピックス

関連サイト