金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MARCH

25

新聞購読のお申込み

DXの本質は生産性の向上と人材育成 佐藤声喜氏(KMC社長)【特集:利益を生むDX】

多くの製造現場がDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性を認識する一方で、DX導入に苦労している企業や製造現場も少なくない。そうした中、「製造DXソリューションカンパニー」を掲げるKMC(川崎市高津区)は、工作機械や金型に取り付けるセンサや、そこで取得したデータを活用するソフトウエア、コンサルティングを手掛け、製造現場のDX支援に力を注ぐ。DXの本質とは何か。同社を創業し、200社以上の技術コンサルで製造現場改革を支援してきた佐藤声喜氏に話を聞いた。

利益向上、新領域への挑戦可能に

KMC 代表取締役 工学博士 佐藤声喜(さとう・せいき)氏。
1956年生まれ、秋田県出身。1980年芝浦工業大学博士修士課程を修了後、三井金属鉱業に入社。90年に金型ベンチャー企業のインクスを設立した。2010年にKMCを創業し、製造業の技術コンサルやIoT・M2M関連機器・ソフトウエアを手掛ける。

DXの本質とは。

職人依存、経験、勘、五感の属人的製造から脱却し、身近なデジタル職場・職人を作ること。要は効率化による生産性向上と人材育成だ。工作機械や金型に取り付けたセンサで、現場のデータを取って、そのデータを見て分析し、改善につなげる。このサイクルを実践する現場と人材こそDXだと考えている。

金型を始めとした製造業によるDXの現状は。

すでに多くの企業がセンサなどを活用し、現場のデータを集め始めている。ただ、その生かし方が分からないという企業が少なくない。単なるDX導入は失敗を生み出し、多くの現場が苦労している。

課題は何か。

一つは人材だ。製造現場のDXで必要なのは、データ分析や解析が得意な人材ではなく、現場を良く知り、何のためにどのデータを取るのかを理解している人材だ。現場のスマート化を進めることができる“デジタル職人”こそ、これから必要な人材だろう。ただ、こうした人材はまだ少ない。

育てるためには。

道具を上手く活用すること。機械や金型の状態を把握できるセンサやセンシング技術は進化している。金型や設備IoTも同じ。こうしたツールやシステムをいち早く導入し、人材育成に活用することが重要となる。

投資に踏み切れない企業も多いのでは。

現在、少子高齢化によって、ノウハウを持った職人が減っており、このままでは現場が成り立たなくなるという危機を迎えている。生き残れるかどうかの中で費用対効果の話をしている場合だろうか。判断の遅さも課題の一つ。一刻も早く現場導入を検討すべきだ。

DXは利益向上につながるか。

利益を上げるためには、受注を増やすか、原価を下げるか。DXはこの2つに大きく貢献する。例えば、帳票をデジタル化することで集計工数を削減できるし、設備の予兆保全に活用することで実稼働率・べき動率の向上も可能になる。

また、より付加価値の高い製品やサービスの提供にもつながる。特に金型ノウハウや型保全サービスには高い付加価値があると考えていい。DXによって、こうした新たなビジネス領域への挑戦も可能になるだろう。

金型新聞 2023年2月10日

関連記事

【特集:2023年金型加工技術5大ニュース】4.AM活用の広がり

多様な活用方法や機器の進化 金属AMによる金型づくりが徐々に広がりを見せており、活用事例が増えている。金属AMの活用は、従来の金型づくりに付加価値をつけ、他社との差別化を図るための手段として有効。今後ギガキャストで、金属…

昭芝製作所 自社開発したシステム活用し、金型の棚卸や探索時間を削減【特集:デジタル活用術】

プレス金型から加工までを手掛ける昭芝製作所は「金型スマート棚卸・探索システム」を自社で開発し、2019年に導入。同システムは、無線自動識別(RFID)を活用し、簡単に金型の探索や棚卸ができる。 同社では約4000型を管理…

【検証】変わる金型基金 新たな船出3<br>年金有期化で安定運用

【検証】変わる金型基金 新たな船出3
年金有期化で安定運用

 前号では、日本金型工業厚生年金基金(上田勝弘理事長、以下金型基金)の現行制度の「定額加算」と「高い予定利率」の2つの課題とその解決策を紹介した。本号では、3つ目で最大の課題でもある「終身年金」の課題と、新制度ではどのよ…

平岡工業 精密部品加工・調達代行【特集:金型メーカーのコト売り戦略】

調達の効率化サポート 自動車のウェザーストリップのゴム金型や切断折曲機などを手掛ける平岡工業のもう一つの事業が、精密部品加工・調達代行サービスだ。金型や切断折曲機で培った技術や協力企業とのネットワークを活かし様々なニーズ…

ナガセインテグレックス 超精密加工を自動で、軽く強い機械だから可能に【特集:金型づくりを自動化する】

スマートシステム ナガセインテグレックスは、超精密化・省人化を実現する各種加工ソフト「スマートシステム」をオプションで提供している。「IGTARP DESIGN(イグタープデザイン)」をコンセプトに製作したSGDシリーズ…

トピックス

関連サイト