輸入強化や印市場開拓 松野金型製作所(佐賀県基山町、0942・81・7000)はこのほど、インドの成形企業と業務提携した。金型や金型技術を提供する一方、インドで成形した部品の輸入や、インドで成形を検討する日系ユーザーの支…
がんばれ!日本の金型産業特集
エムアイ精巧 宮田 和久社長
目指すは金型総合メーカー
量産と切り離された開発部門
「とにかくやってみることが大事。ときには背水の陣で臨むくらいでないと新しいものは生まれない」と話すのは、金型開発からプレス加工までを手掛けるエムアイ精巧の宮田和久社長。今までに金型やプレス加工の新技術を生み出し、ユーザーからの信頼を勝ち得てきた。そうした挑戦を成功に結びつけてきたのが、同社の持つ高い研究開発力だ。
もともとはプレス加工メーカーだったが、父親から会社を引き継いだときに金型製造まで拡大し、デジタルカメラの筐体など弱電関連を得意としていた。しかし、電機メーカーが生産拠点を海外に移管したのを機に、仕事が激減。受注が全くない時期も経験したという。
ただ、そうした厳しい状況でも、難しい仕事を引き受け、「自費で研究開発した」と新たな道を模索し続けた。その結果、板厚の6分の1の異形穴をあけるものや、70μmのリブに加工するもの、従来は2部品を溶接して1部品にしていたのを一体加工できるもの、プレス圧力を大幅に下げる新工法など、他ではできない高難度の金型や工法を開発し、新規受注に繋げることができた。
だからこそ、同社では量産とは完全に切り離した開発部門を設置する。「日本の金型は常に最先端でなければならない。生産性ではなく独自性を追求し、付加価値の高い金型づくりが必要」と今後も研究開発に注力する。将来的には、樹脂型、ゴム型にも挑戦し、「総合金型メーカー」を目指す。
とにかく経験がモットー
同社では、20代の従業員が多く働いており、若手人材を積極的に活用している。「若い人には“こうあるべき”という業界特有の固定観念がなく、今までにない柔軟な発想が出やすい」という考えは開発を重視するからこそ。教育は、特別な育成システムなどは用意せず、とにかく経験させることをモットーとしている。金型加工未経験者でも、いきなり金型を作らせることもあり、実際に現場を経験させて技術力の向上を図っている。とくに、「普段から機械を丁寧に扱うなど気配りができる人は、細部にまで配慮した質の高い金型づくりができる」という。
また、採用面にも力を入れる。今年から大学や高校に積極的に働きかけて新卒採用を始めたほか、将来的には海外人材の採用にも取り組もうとしている。「日本だけでは人材の確保に限界がある」と海外に拠点を設け、現地から優秀な人材を集める考えだ。採用した人材を日本に招いて教育したり、日本人を海外拠点に派遣し、金型づくりのノウハウを浸透させ、グローバル規模で日本と同水準の生産体制を整えていく。
「技術は人についている。従業員が志を持って気持ち良く仕事をしてもらえる環境を作れば、企業力の底上げにつながる」と全員が活躍できる魅力的な職場づくりを目指す。「夢は、工場の横に保育所や介護施設、病院など設置し、従業員やその家族全員が安心して暮らせる環境を作ること」と大きな目標に向け、今後も挑戦を続ける。
会社メモ
代表者=代表取締役 宮田 和久氏
創業=1967年
所在地=埼玉県草加市松江6-9-12
資本金=1,000万円
TEL=048・936・2010
FAX=048・931・2479
URL=http://www.mi-seiko.com
従業員数=35人
事業内容=自動車用及び精密金属用プレス加工部品の製造、プレス金型の設計・開発及び製造
主な設備=マシニングセンタ(ヤマザキマザック、ソディックなど)3台、ワイヤー放電加工機(ファナックなど)3台、型彫り放電加工機(三菱電機など)2台、平面研削盤(ナガセインテグレックスなど)3台、成形研削盤(ニッコーなど)4台、サーボプレス機(アイダエンジニアリング、コマツ産機)2台、各種プレス機(アマダなど)約22台、CAD/CAMシステム(C&Gシステム、VISIなど)8台、3次元座標測定機(カールツァイス)1台、3次元画像測定機(ニコン)1台、真円度測定機(ミツトヨ)1台、そのほか多数。
金型新聞 平成28年(2016年)4月18日号
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