金型はこれまで、金型職人の頭の中で製品形状や金型設計を描き、経験やノウハウで調整し、製造してきた。そして金型の「匠」の技は「背中」を見て学ぶもので、習熟への時間はとても長かった。しかし近年では、工作機械やCAD/CAMと…
がんばれ!日本の金型産業特集
ヤマナカゴーキン 山中 雅仁社長
一歩先へ進む2つの「力」
「金型」を軸に事業拡大と営業強化
「競合の多い世界ではなく、ブルーオーシャンの世界へ行かねばならない」と山中雅仁社長は将来ビジョンに2つの「力」を挙げる。自動車向け超精密鍛造金型を軸に解析シミュレーションなど塑性加工のトータル技術を生かしたモノづくり改革のフロンティア企業を目指す同社では、新たなビジネスの仕組み作りを進める。それは金型を含む「付加価値」を高める方法を見つけることだ。それには「顧客ニーズを把握する」ことが大前提。1つ目の「力」は営業力強化だ。
営業所は国内7か所。以前は情報交流などなかったというが、顧客から「型費が高い」と言われた場合、どのように返答するかは共通する課題。成功例を共有し、ロールプレイングしながら考え、協力する体制を構築。「営業からまだ顕在化していない顧客ニーズを掴み、技術を高めていく好循環を作り出したい」。そのために担当者とその上司や技術部など幅広い情報収集を行っている。
もう一つの「力」がIoTだ。今年2月からドイツのダルムスダット工科大学が開発した「ピエゾボルト」というボルト型センサーの販売を開始。東南アジアから中国など東アジア圏までの総販売代理店となり、次世代モノづくりを視野に入れる。同製品はボルト内にセンサーがあり、プレスや工作機械などに取りつけ、荷重負荷などを計測する。同社工場でも活用し、最適な活用方法、正常か異常かを見分けるノウハウなどのIoT技術の確立を目指す。
「縁」を大切にしながら企業成長
同社を訪れると、すれ違う社員の方々が帽子を取り、挨拶してくれる。気持ちの良い会社だ。
人づくりについて山中社長は「褒めて伸ばす」を推奨する。「OJTを基本としながらも、これまでの職人は教えてもらうことや褒めてもらった経験がなかった。だから、今の若い人を教育していくには、まずできたことを褒めていこうとベテランの職人たちに言っている。それが若い人に成長を促す糧になると思っている」。技能の見える化にも力を注ぐ。技能を数字化し見える化を行うことで、社員が自身のレベルを把握でき、先輩も適切に指導できる。もちろん、多能工にもつながる。
それだけでない。技能を上げるもう一つの方法は、「3人でやっていた仕事を2人にすれば、当然1人あたりの負荷が大きくなるが、慣れれば技能は上がる。このような仕組みも作っている。今の営業部長は元々総務部長だった。最初は苦労したと思うが、リスクを取って成長を促す仕組みを作っていきたい」。
同社には「縁」を大切にする社風がある。海外は中国、シンガポール、タイに進出。金型や部品などを製造するには「優秀な人材」が不可欠だ。山中社長は先日、ベトナムで人材を探していたという。「20年前から海外の優秀な人材を採用してきた。彼らが成長して、開発部長やグループ会社の社長を務めてもらっている。当社を辞めた人とも交流は続いており、人とのつながりから企業は発展していく」と、人を基本とする企業精神だ。
会社メモ
代表者=山中 雅仁社長
創業=1961年
資本金=8,500万円
本社住所=大阪府東大阪市加納4-4-24
電話=072・962・0676
従業員数=230人
取扱品目=精密冷間鍛造金型、温・熱間鍛造金型、粉末焼結金型、複合成型金型、解析シミュレーションソフト販売など
国内工場=大阪、東京(千葉)、広島
国内営業所=栃木、海外SE(千葉)、浜松、名古屋、大阪、西日本(岡山)、西日本(広島)
海外拠点=中国、タイ、シンガポール
主な設備=NC旋盤(DMG森精機、オークマ、ヤマザキマザック)、マシニングセンタ(DMG森精機、牧野フライス製作所、安田工業など)、円筒・平面研削盤(岡本工作機械製作所、ナガセインテグレックス、カールユング、ジェイテクトなど)、放電加工機(ソディックなど)、3次元測定機(ミツトヨ、東京精密など)、CAD/CAM(富士通、オイクリッド・ジャパンなど)。
金型新聞 平成28年(2016年)4月18日号
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