需要戻り、社数減少 金型業界に激震が走ったリーマン・ショック(2008年)から約8年半経ち、金型メーカーの業績が回復している。自動車や半導体向けの需要が回復した一方で社数が減り、勝ち残った会社に仕事が集まっている。ただ…
エクセディ 3Dで金型設計


金型の開発から製造までの工程を3D技術で繋ぎ、開発期間を2分の1に短縮し、コストを30分の1に低減した自動車部品メーカーがある。自動車のオートマチックトランスミッション(以下AT)のトルクコンバータ(同トルコン)とマニュアルトランスミッション(同MT)のマニュアルクラッチなどを生産するエクセディ(本社:大阪府寝屋川市)は、昨年末、3D CAD(設計)―3Dプリンタ(造形)―3D測定の一気通貫で工法の短縮に成功した。日本でものづくりをする企業やマザー工場を目指す企業にとってエクセディの強さは、注目される。
同社は、日本の四輪車メーカー12社の全てと主要ユニットメーカー、海外の四輪車メーカーにトルコンとクラッチを納入している。13年度のトルクコンバータ生産量は854万台。過去最大を記録した。世界シェアは、トルコン生産が24%(同社調べ)、クラッチ生産が11%(同)を占め、トルコンは世界№1の生産量を誇る。
連結中期経営計画の中期目標「チャレンジ活動」によると、13年度の連結売上高は2342億円、営業利益は194億円で、2015年度の連結売上高は2500億円を計画している。その骨格は、①勝てる開発、②売上拡大、③収益拡大、④組織構造改革、⑤勝てる生産技術 から成っている。
同社は、技術の中核に金型を置いている。現在、国内外23カ国、41社(国内12社、海外29社)でトルコンとクラッチを生産販売しているが、多くの顧客から「日本と同等の品質」(小島義弘取締役執行役員生産技術本部長)が求められており、同社にとって金型の開発・生産は重要な技術になっている。
金型は技術の生命線
12年1月1日、同社は基幹システムを一新した。「20年以上使い込んできたシステムが陳腐化し、高速でグローバルに対応できるシステムに切り換えた」(鹿崎良裕管理本部副本部長兼情報システム部長)。
IT技術を活用し開発から製造までの工程を3Dで繋ぎ、設計のスピードアップを図った。
目的は「勝てる生産技術」。
例えば、3D‐CADを導入するまでは構想設計‐詳細設計‐金型設計と個別に開発をしていたが、3D設計で1本に束ねた。「これで試作修正FBが不要になり、開発期間を約半分に短縮することができた」(浦川佳寿彦生産技術本部生産設計部標準化チーム長)。小島本部長は、「3Dプリンタで形を造り、それを見て生産検討を同時に行うことを日常茶飯事にしている」(同)と言う。
金型1面あたりの設計が大幅に短縮する。従来は、30時間ほど掛かっていた金型設計作業は、一気に「1、2時間で完成」(浦川チーム長)する早業をやって退けた。
図面より〝これ〟
さらに同社は、3Dプリンタをいち早く導入し、トルコンの造形を始めた。これまでお客様との仕様打ち合わせは、平面図やCADデータで行っていたが、3Dプリンタを導入し、実物に近い3次元形状にすることができた。「トルコンの実寸造形にすることで、その場でデジタルに確認することができ、お客様に喜ばれている」(浦川チーム長)。
また、小島取締役執行役員は、「我々、スタッフだけでなく、現場の人たちも図面でどうこう言うより“これ”と、見せた方が早く、簡単。不具合が出そうなところを事前に潰しておくこともできるようになった」メリットを上げる。開発から3D設計、3D測定、3Dプリンタと繋ぐことで、一気に設計を短縮することができた。
これにより月約60面、多い時は70面にのぼる金型生産は、金型の手直し、出戻りなどと言ったマイナス面は皆無になる。「近年、トルコンは、部品点数が増え、複雑形状のものが多くなった。一方で、ダウンサイジングが進み小さくなる、軽量になる、材料が変わっている。われわれは、これらお客様の要望にスピーディに応え、しかも高精度に仕上げるところで差別化を図っている」。小島取締役執行役員はさらにその先を目指している。
【会社概要】
本社:大阪府寝屋川市木田元宮1-1-1▽設立:1950年7月、▽社長:清水春生氏▽資本金:82億8,400万円▽従業員数:1万7,404人(14年3月、連結)▽主要事業セグメント:MT(クラッチディスク、クラッチカバー、2マスフライホイール)、AT(トルクコンバータ、オートマチックトランスミッション用部品)、その他(パワーシフトトランスミッション、リターダ、2輪車用クラッチ)。
金型新聞 平成26年(2014年)12月10日号
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