金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

APRIL

02

新聞購読のお申込み

「金型台帳」を データベース化
打田製作所

 「金型メーカーが情報管理をするのは、自社の知的財産を守るためと顧客情報を守るための2つの意味で重要だ」と話すのは、飲料や化粧品などのプラスチック金型を手掛ける打田製作所の打田尚道社長。同社は15年ほど前に社内で情報システムを独自開発。自社で持つ顧客や技術などの情報を管理、保護するためにIT化を進めてきた。

顧客情報守り、自社の強み確認

同社がまず取り組んだのは、「金型台帳」と呼ばれる金型の受注情報のデータベース(DB)化だ。それまでこうした情報は紙で管理していたため、過去の履歴を調べるのに手間が掛かったり、分からないことも多くあったという。DB化によって、格段に検索しやすくなり、業務効率が飛躍的に向上。「間接人員は3分の1ほどに減らすことができた」(打田社長)。

 さらに、このDBを基軸に、指示書や部品発注、図面、工程管理などあらゆる情報を紐づけ。オープンソースを活用し、金型づくりに必要なあらゆる情報を全て社内で共有できるウエブシステムを構築した。「社内の業務効率が向上しただけでなく、見積精度の向上や問い合わせへのレスポンスが良くなるなど、顧客へのサービス向上にも効果があった」(打田社長)。

 ウエブシステムでは、日々の引き合いや受注、生産状況がリアルタイムで表示される。また、完成予定や製造コストの内訳、工程進捗のほか、勤怠管理なども行うことができ、「このシステムを見れば、会社の状況が一目で分かる」(打田社長)。セキュリティも万全で、役職によってアクセス制限をかけるなど情報漏えい対策をとっている。

 また、こうしたデータは、営業や製造の担当者がその都度入力している。運用面で最も苦労したのが、この従業員一人ひとりに入力させる習慣を付けさせることだったという。「とにかく地道に忍耐強く定着するまで従業員に必要性を訴え続けた」(打田社長)。その結果、現在では全従業員が「このシステム無しでは仕事ができない」と言うほど、同社の業務に無くてはならないものへと発展した。

 「まずどんな情報が重要か。自社の持つ強みを棚卸しする良いきっかけになった」(打田社長)。情報管理を徹底することは、顧客へのサービスや信頼性を向上させるだけでなく、自社の競争力の源泉を再認識するためにも不可欠な取り組みと言える。

 同社では現状、あらゆる情報を入力し、管理している。ただ、「今後は必要な情報とそうでない情報を見直す必要がある」(打田社長)。より従業員が活用しやすい形へと改良していく考えだ。「情報管理は決して『道具論』ではない。重要な情報が何かを見直し、どう管理するかを考えてから、道具の選定に入ることが上手く運用していく上では重要だろう」(打田社長)。

金型しんぶん 2019年6月7日

関連記事

棚澤八光社 岩手工場新設、東北でシボ加工を提供【金型応援隊】

シボ加工などを手掛ける棚澤八光社は今年4月、岩手県一関市に国内10拠点目となる岩手工場を設立した。集積が進む自動車産業を中心に東北地区の顧客に対し、より迅速かつ充実したサービスを提供していく。 岩手工場には10t/10t…

山口製作所 アモルファス箔のモータコアの量産に挑む【特集:自動車金型の未来】

特殊な型内積層技術を開発 電動車を始め次世代車で採用が増えるモータ。脱炭素の観点からも、その効率化は欠かせない。その一つとして注目を集めるのが、磁気特性の高いアモルファス箔を採用したモータコア。金型からプレスまで一貫して…

自動で空間誤差を補正
三菱重工工作機械

金型クリアランス 調整が不要に  三菱重工工作機械が大形高精度加工機「MVR・Fx」に搭載できる「空間誤差補正システム」が注目を集めている。経年変化や環境温度変化で生じるXYZ位置の空間誤差を自動的に検知し校正するもので…

【金型テクノラボ】安田工業 LabonosとMold Lock 高精度RPシステム

3Dプリンターの手軽さと切削加工機の具現化精度を兼ね備える3D造形ソリューション「Labonos(ラボノス)」。9月10日号で、その特徴を生かし試作樹脂型を自動造形することで試作品製作の様々な課題を解決する方法を紹介した…

デジタル技術駆使し、金型製作期間半減目指す【ササヤマ challenge!Next50】

ササヤマが今期スタートした新中期経営計画「SAIMS247」。その中核事業となるのが金型製作期間の半減だ。デジタル技術や経験を駆使し金型づくりの大改革が進む。 全ての部品をQRで管理 材料に書かれたシリアルナンバー。入力…

トピックス

関連サイト