金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

SEPTEMBER

27

新聞購読のお申込み

「金型台帳」を データベース化
打田製作所

 「金型メーカーが情報管理をするのは、自社の知的財産を守るためと顧客情報を守るための2つの意味で重要だ」と話すのは、飲料や化粧品などのプラスチック金型を手掛ける打田製作所の打田尚道社長。同社は15年ほど前に社内で情報システムを独自開発。自社で持つ顧客や技術などの情報を管理、保護するためにIT化を進めてきた。

顧客情報守り、自社の強み確認

同社がまず取り組んだのは、「金型台帳」と呼ばれる金型の受注情報のデータベース(DB)化だ。それまでこうした情報は紙で管理していたため、過去の履歴を調べるのに手間が掛かったり、分からないことも多くあったという。DB化によって、格段に検索しやすくなり、業務効率が飛躍的に向上。「間接人員は3分の1ほどに減らすことができた」(打田社長)。

 さらに、このDBを基軸に、指示書や部品発注、図面、工程管理などあらゆる情報を紐づけ。オープンソースを活用し、金型づくりに必要なあらゆる情報を全て社内で共有できるウエブシステムを構築した。「社内の業務効率が向上しただけでなく、見積精度の向上や問い合わせへのレスポンスが良くなるなど、顧客へのサービス向上にも効果があった」(打田社長)。

 ウエブシステムでは、日々の引き合いや受注、生産状況がリアルタイムで表示される。また、完成予定や製造コストの内訳、工程進捗のほか、勤怠管理なども行うことができ、「このシステムを見れば、会社の状況が一目で分かる」(打田社長)。セキュリティも万全で、役職によってアクセス制限をかけるなど情報漏えい対策をとっている。

 また、こうしたデータは、営業や製造の担当者がその都度入力している。運用面で最も苦労したのが、この従業員一人ひとりに入力させる習慣を付けさせることだったという。「とにかく地道に忍耐強く定着するまで従業員に必要性を訴え続けた」(打田社長)。その結果、現在では全従業員が「このシステム無しでは仕事ができない」と言うほど、同社の業務に無くてはならないものへと発展した。

 「まずどんな情報が重要か。自社の持つ強みを棚卸しする良いきっかけになった」(打田社長)。情報管理を徹底することは、顧客へのサービスや信頼性を向上させるだけでなく、自社の競争力の源泉を再認識するためにも不可欠な取り組みと言える。

 同社では現状、あらゆる情報を入力し、管理している。ただ、「今後は必要な情報とそうでない情報を見直す必要がある」(打田社長)。より従業員が活用しやすい形へと改良していく考えだ。「情報管理は決して『道具論』ではない。重要な情報が何かを見直し、どう管理するかを考えてから、道具の選定に入ることが上手く運用していく上では重要だろう」(打田社長)。

金型しんぶん 2019年6月7日

関連記事

【インタビュー】日本金型工業会会長(小出製作所社長)・小出悟氏「日本の金型の強みは細やかさと対応力」

天性の細やかさ数値で語る力が必要  経済産業省の工業統計によると、2018年の日本の金型生産額は1兆4752億円。生産量こそ中国に抜かれて久しいが、新素材の登場や部品の複合化、微細化が進み、依然として日本の高度な金型技術…

山口製作所 アモルファス箔のモータコアの量産に挑む【特集:自動車金型の未来】

特殊な型内積層技術を開発 電動車を始め次世代車で採用が増えるモータ。脱炭素の観点からも、その効率化は欠かせない。その一つとして注目を集めるのが、磁気特性の高いアモルファス箔を採用したモータコア。金型からプレスまで一貫して…

牧野フライス製作所 執行役員 高山幸久営業本部長に聞く【特集:進む設備の大型化】

大型機組立工場新設の理由 牧野フライス製作所は昨年末、山梨県富士吉田市に大型加工機の組み立て工場を新設すると発表した。12年ぶりの新工場で、総額210億円を投資し、大型加工向けを強化する。2026年初めに本格稼働する予定…

リーダーの条件Part3
いま活躍するリーダーの心得

 新型コロナで需要が減速し、自動車の電動化で産業構造が変わるかもしれない。先の見通しにくい混沌とする時代に、リーダーはどういったことを心掛け、自らの指針としているのか。時代をリードに考えを聞いた。 伊藤製作所 伊藤 澄夫…

ソディック 未消耗の面で加工、高品位に

ワイヤ回転機構を搭載  ソディックは、世界で初めてワイヤ回転機構を搭載したワイヤ放電加工機「ALアイグルーブエディション」を開発した。  ワイヤを回転させながら加工することで、高精度で高品位な面が得られる。段差加工を簡単…

トピックス

AD

「安かろう悪かろう」を覆す「Autodesk® Fusion®」の実力 応用技術(株)がウ...

応用技術株式会社(大阪市北区、06・6373・0440)は7月8日、ウェビナーイベント「Fusion DAY」を開催した。 応用技術はオートデスク代理店の最上位資格である「... 続きを読む

関連サイト