金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

04

新聞購読のお申込み

つながる、運ぶ、測る
広がる金型づくりのスマート化

 新しい技術を活用して製造プロセスを効率化する、金型づくりのスマート化が広まっている。IoT(モノのインターネット)技術で機械の稼働状況を監視・分析したり、様々なサービスを提供したり、無人搬送車(AGV・AIV)でワークの搬送を自動化したり。こうした動きの背景にあるのは人手不足の深刻化だ。採用や育成が課題となる中、いかにして技能者を付加価値の高い業務に集中させられる環境を作れるか。金型づくりのスマート化がより重要になっている。

新技術の開発進む

 「従来のやり方だけでは生産性の向上は限界かもしれない」。あるプラスチック金型メーカーの社長は最近そう感じているという。人材の育成や、設備投資はこれまで同様続けていく考えだが、「加工の高度化だけでなく、設計、段取り替えなど、これまでにはないやり方や、抜本的に金型づくりを変えないと将来が厳しい」と危機感を募らせる。無人搬送車を活用する、三豊機工の舟橋佳孝社長も「人の労働時間外を有効に活用して、いかに生産効率を上げるかが重要」と話すなど、新たな金型づくりを模索する動き出始めている。こうしたニーズに対して、新技術を活用し、スマート化する動きが広がっている。

 最も進化している分野の一つが、IoT技術を駆使した「つながる」ことによるスマート化だ。工場内の機械や機器全体をつなげ、工場全体を効率的に運営する大規模なものだけなく、機械や機器メーカーなどが個別で提供するサービスも増加しており、機能面も進化している。

 これまでは稼働状況を監視することで機械を止めない予防保全の機能が多かった。しかし、最近では、稼働状況や各種データを収集し、分析することで、機械の稼働率向上につなげる提案も増えている。クラウド技術を活用することで、CL計算を素早くできたり、荒加工や5軸のCAMデータをクラウドから提供できたりするサービスも開発されている。

 「運ぶ」のスマート化も進む。無人搬送車(AGV)がその主役の一つだ。従来のように磁気テープなどガイドが不要で、自由に動き回ることができる製品が増えてきたことが、活用の幅を広げている。「量産工場などある程度決まったルートを走行するだけでなく、柔軟性が増したことで、多品種少量部品が多い中小の工場でも使いやすくなっている」(あるAGVメーカー)という。

 人工知能(AI)の活用で、人をよけたり、物にぶつからなくなったりなるなど、機能も向上している。さらに、AGVとロボットを組み合わせて、ワークや工具の搬送ができるなど、金型づくりの無人化に役立つAGV活用の技術の開発が進んでいる。

 スマート化に「測る」ことは不可欠で、この分野でも技術は進んでいる。機上計測の性能を向上させ、機外に不良品を出さなくしたり、回転中の工具を測定することで、工具測定時の位置決め時間を軽減できたり。ツールプリセッタの測定データを蓄積し、工作機械に転送し活用できたりするなど、ITツールを駆使した効率的な管理手法も多く発表されている。

 また、「つながる」、「運ぶ」、「測る」だけでなく、人工知能を活用し、常に最適な条件で加工できるようになる放電加工機など、金型づくりのスマート化は進んでいる。

このように金型づくりのスマート化が広がっているのは、これまでにない生産性向上が必要になっていることに加え、技能者不足の深刻化しているためだ。あるプラスチック金型メーカー経営者は「人はいるが、高い技術を有する技能者が減っているのも大きな課題」と指摘する。鋳造型メーカーの経営者はこうした状況をふまえたうえで、「だからこそ、技術者が本来すべきことに集中できる仕組みを構築する必要がある」。

 人不足が懸念される中で、技術者しかできない付加価値の高い業務に専念させる環境をいかに作ることができるのか—。金型づくりをスマート化する目的はここにある。

 今後も技能者の育成が重要なのは当然だが、それと同時に、金型づくりをスマート化していくことも重要になっている。

金型新聞 2019年8月10日

関連記事

2017年10月の金型生産実績

2017年10月の金型生産実績

前年同月比 5.9%増の335億400万円 鋳造型が29.8%増、粉末冶金型は29.4%増   日本金型工業会(会長牧野俊清氏)は、経済産業省機械統計(従業員30人以上)による2017年10月の金型生産実績をまとめた。そ…

5月の金型生産実績

5月の金型生産実績

前年同月比 0.7%増の288億5,600万円 プレス型は11.1%減、プラ型は14.1%増 日本金型工業会(会長牧野俊清氏)は、経済産業省機械統計(従業員20人以上)による2016年5月の金型生産実績をまとめた。それに…

【金型生産実績】2021年6月 9.7%減の283億8,000万円

プレス型は14.0%減、プラ型は15.0%減 2021年6月の金型生産は、前年同月比9.7%減の283億8,000万円となったものの、前月比では25.5%増と大きく回復した。数量は前年同月比23.4%増と大幅に増加したが…

丸順 22年3月期第3四半期決算

コロナや半導体不足 逆風下で売上増加 丸順の2022年3月期第3四半期の連結売上高は、前年同期比2.1%増の316億1300万円となった。営業利益は同34.4%減の19億6800万円、経常利益は同31.6%減の19億80…

研削盤3機種を発表 長島精工 

研削盤3機種を発表 長島精工 

省スペース設計・自動化も対応  研削盤メーカーである長島精工(京都府宇治市、0774・45・3611)は先日開かれたJIMTOF2018で新製品の精密小型ネジ研削盤2機種(内径ネジ及び外径ネジ)と、超精密高効率円筒研削盤…

関連サイト