2020年2月28日(金)

つながる、運ぶ、測る
広がる金型づくりのスマート化

 新しい技術を活用して製造プロセスを効率化する、金型づくりのスマート化が広まっている。IoT(モノのインターネット)技術で機械の稼働状況を監視・分析したり、様々なサービスを提供したり、無人搬送車(AGV・AIV)でワークの搬送を自動化したり。こうした動きの背景にあるのは人手不足の深刻化だ。採用や育成が課題となる中、いかにして技能者を付加価値の高い業務に集中させられる環境を作れるか。金型づくりのスマート化がより重要になっている。

新技術の開発進む

 「従来のやり方だけでは生産性の向上は限界かもしれない」。あるプラスチック金型メーカーの社長は最近そう感じているという。人材の育成や、設備投資はこれまで同様続けていく考えだが、「加工の高度化だけでなく、設計、段取り替えなど、これまでにはないやり方や、抜本的に金型づくりを変えないと将来が厳しい」と危機感を募らせる。無人搬送車を活用する、三豊機工の舟橋佳孝社長も「人の労働時間外を有効に活用して、いかに生産効率を上げるかが重要」と話すなど、新たな金型づくりを模索する動き出始めている。こうしたニーズに対して、新技術を活用し、スマート化する動きが広がっている。

 最も進化している分野の一つが、IoT技術を駆使した「つながる」ことによるスマート化だ。工場内の機械や機器全体をつなげ、工場全体を効率的に運営する大規模なものだけなく、機械や機器メーカーなどが個別で提供するサービスも増加しており、機能面も進化している。

 これまでは稼働状況を監視することで機械を止めない予防保全の機能が多かった。しかし、最近では、稼働状況や各種データを収集し、分析することで、機械の稼働率向上につなげる提案も増えている。クラウド技術を活用することで、CL計算を素早くできたり、荒加工や5軸のCAMデータをクラウドから提供できたりするサービスも開発されている。

 「運ぶ」のスマート化も進む。無人搬送車(AGV)がその主役の一つだ。従来のように磁気テープなどガイドが不要で、自由に動き回ることができる製品が増えてきたことが、活用の幅を広げている。「量産工場などある程度決まったルートを走行するだけでなく、柔軟性が増したことで、多品種少量部品が多い中小の工場でも使いやすくなっている」(あるAGVメーカー)という。

 人工知能(AI)の活用で、人をよけたり、物にぶつからなくなったりなるなど、機能も向上している。さらに、AGVとロボットを組み合わせて、ワークや工具の搬送ができるなど、金型づくりの無人化に役立つAGV活用の技術の開発が進んでいる。

 スマート化に「測る」ことは不可欠で、この分野でも技術は進んでいる。機上計測の性能を向上させ、機外に不良品を出さなくしたり、回転中の工具を測定することで、工具測定時の位置決め時間を軽減できたり。ツールプリセッタの測定データを蓄積し、工作機械に転送し活用できたりするなど、ITツールを駆使した効率的な管理手法も多く発表されている。

 また、「つながる」、「運ぶ」、「測る」だけでなく、人工知能を活用し、常に最適な条件で加工できるようになる放電加工機など、金型づくりのスマート化は進んでいる。

このように金型づくりのスマート化が広がっているのは、これまでにない生産性向上が必要になっていることに加え、技能者不足の深刻化しているためだ。あるプラスチック金型メーカー経営者は「人はいるが、高い技術を有する技能者が減っているのも大きな課題」と指摘する。鋳造型メーカーの経営者はこうした状況をふまえたうえで、「だからこそ、技術者が本来すべきことに集中できる仕組みを構築する必要がある」。

 人不足が懸念される中で、技術者しかできない付加価値の高い業務に専念させる環境をいかに作ることができるのか—。金型づくりをスマート化する目的はここにある。

 今後も技能者の育成が重要なのは当然だが、それと同時に、金型づくりをスマート化していくことも重要になっている。

金型新聞 2019年8月10日

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