金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JUNE

04

新聞購読のお申込み

コアコンセプトテクノロジー CTO 田口紀成氏に聞く
〜DXがなぜ必要か〜

 あらゆる業界で叫ばれているDX(デジタルトランスフォーメーション)。各企業には、デジタル技術を使い、ビジネスモデルや組織、働き方など会社そのものの構造を大きく変えていくことが求められている。金型業界も例外ではない。次代を勝ち抜くためには、DXを実現し、競争力を高める必要がある。では、そもそも金型におけるDXとは何か。そして、どうすればDXを実現できるのか。「DXリーディングカンパニー」を掲げ、システム開発やITコンサルを手掛けるコアコンセプトテクノロジーのCTOである田口紀成氏に聞いた。

・田口紀成氏
 1977年生まれ、茨城県出身。2002年明治大学大学院卒業後、インクス入社。製造業向け三次元CAD/CAMシステムの開発に従事。09年コアコンセプトテクノロジーの設立メンバーとして参画し、15年取締役CTOに就任。14年からは理化学研究所客員研究員も兼務する。

暗黙知を定量化

貴社について。

 2009年創業で、業務・ITコンサルティング、システム開発、構造解析や熱解析などの解析サービス、IoTソリューションなどを手掛けてきた。現在はこれらを個別に提供するだけでなく、顧客のあらゆる課題に対して、DXをキーワードに総合的なサポートを行っている。

DXへの関心は高い。

 当社への引き合いも年々増加傾向にある。おそらく多くの人が期待されているのは、コスト削減だろう。ただ、それではこれまでのコスト削減策と変わらない。DXで重要なのは、定性的なものを定量化すること。熟練技能者の勘やコツといった暗黙知を形式知化したり、データを駆使した「データドリブン」での営業活動を展開したり。こうした取り組みがDXにつながる。

なぜ今、必要か。

 例えば、人に依存した活動が中心だと、今回のコロナ禍で既存の受注が減少し、新規受注の獲得に動こうとしても難しい。インターネットを活用したマーケティング活動ができれば、新しいニーズを掘り起こすことができ、海外市場も見えてくる。これまでの業種、分野、エリアから大きく商機が広がる。また、人手不足という課題も解消できる。デジタル技術を取り入れることで、あらゆる可能性が広がる。

DXを実現するには。

 まずは、どういう製造工程で、どのくらいのコストで作れるのかを「見える化」することが大事。見積もりは人への依存度が高く、DX実現のボトルネック。この「入り口」を変えれば、仕事を大きく変えられるはずだ。

データ分析し加工や営業に

どう「見える化」を。

 加工形状をパターン化して整理する。加工形状を分類すれば、その分類ごとに使う機械や工程など加工の流れが決まり、原価も分かる。これは一品一様の金型でも可能だ。ただ、それには製造工程の整備、工具やCAMの標準化などが必要になる。これが実現できれば、見積りにかかる工数の削減、人材の問題などが解消でき、今よりも多くの仕事をとれるようになる。一方でデジタル化にも課題はある。

どんな課題か。

 デジタルデータは完璧ではなく、CAD/CAM間のデータ受け渡し誤差やコンピュータの演算精度などによってばらつく。開発から設計、製造まで、デジタルデータによる一気通貫のエンジニアリングチェーンを構築するのは難しい。これを解決するために、全く新しいコンセプトのCAMシステムの開発に挑んでいるが、課題も多い。現状は人の力が必要。人は設計などの上流工程か磨きなどの最終工程で、中間の工程はコンピュータに任せ、自動化もしくは半自動化という形で進めていくのが現実的だろう。

金型メーカーが目指すべきところは。

 DXでより高精度を目指し、今までにない新しいものをつくってほしい。デジタル技術を駆使することで、これまで人の手に頼っていた鏡面加工や微細加工もより簡単に実現できるようになる。既存の機械でも一桁上の精度の世界が見えてくる。新しい世界をつくるためのツールとして取り入れてほしい。

金型新聞 2020年8月10日

関連記事

【金型の底力】キヤノンモールド世界に誇れる「見通せる工場」

世界一の金型メーカーへ 新本社工場が本格稼働 キヤノンモールドは移転を進めていた「本社・友部事業所」を7月から本格稼働させた。市内に分散していた工場を1か所に集約。自動化や人・モノの移動を減らすなどして、従来比で1.5倍…

【金型の底力】いがり産業 ユーザーが必要な金型を

ユーザー視点の型づくり樹脂とプレス技術の融合 成形メーカーだった、いがり産業が金型製作に着手したのは2004年。10年以上経て、今や金型の外販が売上の7割以上を占めるまでに成長した。成形メーカーという利点と生かし、ユーザ…

日本金型工業会 山中雅仁会長に聞く 4つの軸を推進する理由【特集:日本金型工業会第14回定時総会】

「業界連携」、「市場拡大」、「魅力度」、「商品企画」—。日本金型工業会は昨年、これら4つを金型産業の稼ぐ力向上の推進軸として打ち出した。それぞれにワーキンググループ(WG)を立ち上げ、施策検討や事業活動を進めている。4つ…

【新春特別インタビュー③】黒田製作所社長・黒田 昌彦氏「つくれる領域広げ、特異性のある会社作り」

つくれる領域を広げる 顧客ニーズに応えたい 特異性のある会社作り 〜金型の大型化に対応〜  1970年生まれ、岐阜県岐阜市出身。大阪経済法科大学法学部卒、金融機関に勤務後、1996年に黒田製作所に入社し、製造部仕上課に配…

オネストン・鈴木 良博社長「グループで金型強化」

パンチやダイ、強力ばねなどプレス金型部品を取り扱うオネストンは2021年に創業50周年を迎えた。プレス部品専門商社として基盤を築き、近年は「1個づくり」の特殊部品対応やリバースエンジニアリングほか、アメリカ・ケンタッキー…

トピックス

関連サイト