金型の製造コストが上昇している。金型の母材として多く使われる工具鋼や、各種金型部品などが相次いで値上げされたためだ。加えて、工場稼働に必要な電気料金も依然、上昇傾向にある。金型メーカー各社は、取引先への価格の引き上げ交渉…
三洋技研 ワンチャックで穴と形状加工【特集:尖った技術を使いこなせ】
工程集約で短納期化
自動車や家電、住宅設備向け精密プラスチック金型を手掛ける三洋技研(名古屋市西区)は1987年に設立し、顧客の開発案件から金型設計・製作、トライ(30~150t)までの体制を確立。熱可塑性樹脂から熱硬化性樹脂まで対応できるのも大きな特長で、「熱硬化性樹脂の開発案件は多い」と執行役員の田端泰裕氏は語る。PEEK材や液状シリコンなどバリの出やすい素材に対し、トランスファー・直圧・射出の3方式から最適な方法を選択。ミクロン台の精密金型を製作するほか、独自開発の精密ガスノズル(ストローク100分の5㎜)で成形時のガス抜き課題も解決するなど成形困難な樹脂部品の高品質化を実現。熱交換器用のパイプといった中空部品なども得意だ。

そんな同社の悩みの1つがエジェクターピンの穴加工。15年ほど前から「小型化」「軽量化」の流れと共に、「短納期化」のニーズが高まり、加工時間を短縮する方法を探していた。中でも、エジェクターピン穴加工は従来、細穴放電とワイヤカットを活用するため、加工時間が長く、段取り時間も大きな課題だった。
そんな時出会ったのがイワタツールのトグロンハードドリル。焼入れ鋼に穴加工ができる工具の開発を進めていた時で、『とぐろを巻く』を連想させる特殊形状な工具に、田端氏は「センタードリルメーカーのイメージが強かったが、いざテスト加工すると、折れると思っていた工具が折れずに直彫り加工ができた」と驚く。その後、共同で開発を進め、金型の穴加工に求められる深さなどアドバイスも送り、『トグロンハードドリル20D』が完成。焼入れ鋼への穴加工を可能にし、従来3工程必要だった金型加工を、マシニングセンタで穴加工から形状加工まで1工程に集約。加工時間も10分の1に短縮し、金型製作の短納期化を実現した。田端氏は「一般的な超硬ドリルより工具寿命が長く、使い勝手も良いので金型の短納期化に最適」と太鼓判を押す。

同社は各工程に専門性の高いスペシャリストが多く、人材育成面で多能工化より専門性を尊ぶ。田端氏は「各自専門性を高めることで高度な金型にも挑戦できる」と語り、今後は豊富なスペシャリスト人材を活かし、医療分野など新たな市場開拓へ突き進む。
会社概要
- 本社:名古屋市西区比良3-492
- 電話:052・502・2111
- 代表者:堀場友介社長
- 創業:1987年
- 従業員数:20人
- 事業内容:精密プラスチック金型の設計・製作
金型新聞 2025年2月10日
関連記事
VESTは、「プレスの何でも相談室」をテーマに、メカ式プレス機械や周辺機器の販売、買取、順送ラインの構築など幅広い事業を展開する。 高橋実代表はプレス機械メーカー出身で、業界歴は40年を数えるプレスのエキスパートだ。自ら…
デザインから量産まで新素材、自社製品の開発に力 デザインから試作、金型、量産まで、ものづくりの一連工程を一貫して請け負うことができるペッカー精工。金型にこだわらず事業領域を広げてきたことによって、他社にはない“総合力”…
半導体事業がけん引 TOWAが5月12日に発表した22年3月期の連結決算は売上高506億6600万円(前年同期比70.6%増)と過去最高を記録した。営業利益は115億500万円(同3.2倍)となり、全利益で過去最高を更新…
EV化などによる金型需要の変化やAMをはじめとする新たな製造技術の登場など金型産業を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化している。金型メーカーには今後も事業を継続、成長させていくため未来を見据えた取り組みが求められてい…


