金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

11

新聞購読のお申込み

【新春特別インタビュー③】黒田製作所社長・黒田 昌彦氏「つくれる領域広げ、特異性のある会社作り」

つくれる領域を広げる 顧客ニーズに応えたい 特異性のある会社作り 〜金型の大型化に対応〜

 1970年生まれ、岐阜県岐阜市出身。大阪経済法科大学法学部卒、金融機関に勤務後、1996年に黒田製作所に入社し、製造部仕上課に配属。2002年管理部部長、05年専務取締役を経て、07年代表取締役社長に就任し現在に至る。好きな言葉は「継続は力なり」。

 自動車は電動や自動化など、「100年に1度の大変革」と言われている。当然、自動車部品も変化している。例えば、スイッチ部品はタッチパネル化し、当社の得意なスピーカーグリルはドアトリムと一体化するなど、部品の大型化や一体化が進んでいる。さらに、ドアでも1枚取りからセット取りなど生産性向上へのニーズも強い。

 その中で当社は30tから1600tまでのプラスチック金型を製作する設備を持ち、自動車の機能部品から内外装部品まで、あらゆる自動車用の金型に対応してきた。唯一お客様のニーズに応えられなかったのが3000tの超大型の金型。当社の創業者である黒田隆会長のモットーは「お客様のニーズは断らない」であり、出来なかった領域に進もうと思った。

 金型の領域を広げることに強いこだわりがあり、4型より10型獲得できる体制をどう構築するか。そのために、九州や東北の企業とパートナーシップを組み、自社100%製作でなく、パートナーと協業して、型数やアフターフォローを協力し合う関係を構築した。中国工場などグローバルネットワーク強化も同じ。金型業界は10年前に比べると事業所数が減少し、後継者不足など厳しい環境が続いている。そうなると誰が日本の金型を担うのか。30tから3000tまで領域を広げることで競争力強化につながると思っている。

 だが、「挑戦しよう」と言っても簡単ではない。3000tの金型を作るにはトライ用大型成形機を含め多額投資が必要で、長期展望を持って取り組まないといけない。また、当社の平均年齢は34歳と若く、超大型の金型を製作するために必要な経験面で不安も残る。

 少し話を変えて、当社は異色な面を持っている。会長も私も金融機関出身で文系の大学卒と数字へのこだわりが強い。会長も「数字に弱いやつは経営できない」と日頃から厳しく、若い頃は数字への質問に即答できないと怒られることも多かった。それは他社にない長所で、経営者が経営に集中し、現場の技術者が伸び伸びと働ける環境を作ってきた。だから、徹夜した社員に対する差し入れなど気遣いも大切にしている。社員教育も充実させ、来年は教育の一環でファイナンシャルプランナーを交えたお金の授業やライフプランを考え、社員が安心して働けるようにバックアップしていく。

 2019年の令和元年と共に会社のロゴマークから制服まで刷新した。平成最終日、社員を前にCAD/CAM導入や3D設計、海外進出など、時代の変化で、当社が歩んできた道を説明した。今後も挑戦しながら変化する。目標は『Always Be A Challenger』。若い会社であることは将来の希望でもある。社員と共に、お客様が満足してくれる金型を作っていこう。

金型新聞 2021年1月20日

関連記事

山口製作所 アモルファス箔のモータコアの量産に挑む【特集:自動車金型の未来】

特殊な型内積層技術を開発 電動車を始め次世代車で採用が増えるモータ。脱炭素の観点からも、その効率化は欠かせない。その一つとして注目を集めるのが、磁気特性の高いアモルファス箔を採用したモータコア。金型からプレスまで一貫して…

【この人に聞く】三菱電機産業メカトロニクス事業部事業部長・清水則之氏「生産性高めるサービスを提供する」

 高精度、高性能な放電加工機で金型産業に貢献してきた三菱電機(東京都千代田区、03-3218-2111)。近年は、機械だけでなく、遠隔地からのメンテナンスサービスやAI技術の活用など金型づくりの高度化に対応するサービスや…

デジタル技術を活用し工法の最適化、人材育成、新製品開発に挑む熱間鍛造金型メーカー【金型の底力】

伊藤製作所(愛知県弥富市)は熱間鍛造金型やダイセットを主力とし、クランクシャフトなどの自動車向けや建機・重機、免振装置、航空機といった幅広い市場で活躍する。特に大型の金型やダイセットが得意で、ダイセットは500~6300…

この人に聞く
オークマ 家城 淳社長に聞く

 令和元年に新社長に就任したオークマ・家城淳社長。市場が不透明化している中、「機電情知一体」「日本で作って世界で勝つ」を掲げるオークマの今後について家城社長の思いを聞いた。  家城淳社長愛知県出身。85年大隈鉄工所(現オ…

伊藤清光さん 進取の精神で取り組む現代の名工【ひと】 

セラミックスや焼結機械部品、超硬合金の刃先交換用チップ。これらは粉末にした材料を金型に入れ、成形機で押し固めた後に焼結する「粉末冶金」によって出来上がる。 従来の粉末成形は、成形体の外周に凹凸がついた形状の成形が難しく、…

トピックス

関連サイト