金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

APRIL

05

新聞購読のお申込み

【Breakthrough!】熱間材&コーティング

熱間材の新技術

熱間材に関連する新たな技術開発が進んでいる。ホットスタンプやダイカストのように、過酷な条件での成形が増えているためだ。材料では、高温な金型を効率よく冷やすために、高い熱伝導性や靭性を持った新素材が登場。また、めっきの凝着を防止する10μm程度の膜厚を持ったコーティングが開発されるなど、熱間材に関する技術開発は加速している。

目次
PART1:アッサブジャパン「大型でも高い靭性を実現」
PART2:大同特殊鋼「1GP超のハイテンに対応」
PART3:日立金属「高い靭性と高温強度」
PART4:日本エリコンバルザース「高い密着性と耐摩耗性」
PART5:日本コーティングセンター「2~3倍の耐久性」
PART6:日立金属「耐凝着性に優れた被膜」

PART1

アッサブジャパン「大型でも高い靭性を実現」

熱間ダイス鋼「DIVER」

アッサブジャパンのDIVER(ダイバー)は大型の熱間金型に適した特殊溶解(ESR)処理された熱間ダイス鋼。靭性と焼入れ性に優れ、大型のホットスタンピングや高圧ダイカスト、熱間鍛造型など過酷な成形での金型に適している。

北米ダイカスト協会(NADCA)が定める試験方法ではシャルピー衝撃値(Vノッチ)は、これまで19J以上としていたが、製造プロセスの改善で、25J以上を実現。大断面の素材(600×1300、550×1550㎜など)でも、高い靭性値を可能にした。

製品スペック

  • 熱伝導率:31 W/m・k(200℃)
  • 硬度:52HRC(最大)
  • 靭性:25J以上
PART2

大同特殊鋼「1GP超のハイテンに対応」

ホットスタンプ専用材種「DHA-HS1」

大同特殊鋼の「DHA-HS1」は、近年車体の軽量化で採用が増加している、引張り強さが1GPa超を超えるハイテン材(超抗張力鋼板)のホットスタンプ工法に対応した専用の金型鋼。高温に加熱された鋼板を効率的に冷却できる高い熱伝導性を実現した。  

実用的な金型材料としては業界トップレベルの高熱伝導率「34~36w/m・K」(室温)を実現し、成形品の冷却時間の大幅な短縮を可能にした。また、金型の冷却を効率的に行えるので、超ハイテン鋼板のメッキの金型への付着を低減につながる。

製品スペック

  • 熱伝導率:34~36 W/m・K(室温)
  • 硬さ:53~55HRC
  • 靭性:17~23J/㎠(2㎜Uノッチ、室温)
PART3

日立金属「高い靭性と高温強度」

次世代標準ダイカスト金型用鋼「DAC i」

日立金属の「DAC i」は、次世代のスタンダードを意識したダイカスト金型用鋼。独自技術の「isotropy」で高い靭性を持つ「DAC」を、成分調整とプロセス革新によってさらに靭性と高温強度を高めた。

高温強度と靭性の向上によって、耐ヒートクラック性が向上し、金型寿命の改善に貢献する。また、靭性の向上により、金型の大割れや水冷穴からの水漏れの低減が期待できる。ダイカスト用金型の中でも特に重量・体積の大きな金型に適している。

製品スペック

  • 熱伝導率:25 W/m・k(常温)
  • 硬度:45~48HRC(中小物型)、43~46HRC(大物型)
PART4

日本エリコンバルザース「高い密着性と耐摩耗性」

金型用被膜「BALINIT FORMERA」

日本エリコンバルザースが初めて金型専用向けに開発したコーティング。近年増える過酷な金型環境に対応するため、密着性と耐摩耗性を大幅に向上させた。特にホットスタンピング(HS)のメッキ材の凝着対策から、ハイテンなど高面圧下における成形に最適だ。

CrAI系被膜は、Cr含有量が多く、HS成形でネックとなるメッキの凝着を抑制、低減することに成功した。また、密着性を向上させ、10μmを超える厚膜処理が可能で、金型のメンテナンス性の向上・高寿命・高耐磨耗を実現した。

製品スペック

  • 被膜色:シルバーライトグレー
  • 最高硬さ:2800HV
  • 平均膜厚:6~12μm
  • 最高使用温度:900+℃
  • 摩擦係数:0.35(対スチール)
PART5

日本コーティングセンター「2~3倍の耐久性」

ホットスタンプ向け被膜 「デラックス・ヴィーナス」

日本コーティングセンターの「デラックス・ヴィーナス」は、ハイテン材加工(冷間プレス、ホットスタンピング)に適したPVDコーティング。PVDコーティング「ヴィーナスシリーズ」が持つ機能(硬さ、耐熱性、滑り性)を維持しながら、従来3μmに対して、10μm程度の厚膜化に成功した。

高ハイテン材プレス試験では、従来のPVDコーティングに比べて耐久性が2~3倍に向上した。また、同社では窒化処理、DLCコーティングを組み合わせた複合処理も可能で、用途に応じた提案ができる。

製品スペック

  • 被膜色:黒灰色
  • 最高硬さ:3000~3500HV
  • 平均膜厚:10μm
  • 最高使用温度:1100℃
  • 摩擦係数:0.45(対スチール)
PART6

日立金属「耐凝着性に優れた被膜」

プレス金型用耐メッキ凝着性コーティング「Tribec炬V」

日立金属の「Tribec炬V」は、カジリ抑制をコンセプトとしたPVDコーティング「Tribec炬(かがり)」をベースに、最表層に耐凝着性に優れる耐熱性の高い炭素系皮膜を積層させた。

耐酸化性を高めたC 系耐凝着性皮膜を付与し、保護膜形成機能を持たせた。また、「Tribec炬」よりも低い摩擦係数により、金型角Rのスジキズや剥離対策が可能となった。

メッキ鋼板の凝着対策が可能な他、耐凝着性皮膜の損耗後も耐カジリ性によって長寿命化を実現。超ハイテン成形、ホットスタンプ成形に適する。

製品スペック

  • 被膜色:黒色(耐凝着性向上層)/ダークゴールド(炬)
  • 最高硬さ:2000HV(耐凝着性向上層)/2800HV(炬)
  • 平均膜厚:10μm以上
  • 最高使用温度:400℃(耐凝着性向上層)/700℃(炬)
  • 摩擦係数:0.3(耐凝着性向上層)/0.5(炬)(対スチール)

金型新聞 2021年4月10日

関連記事

金型取引改善分科会会長 渡辺隆範氏に聞く 金型業界で足並みそろえ、値上げを実現【特集:どうする値上げ】

業界の弱体化は顧客にマイナス ユーザーと金型メーカーはどちらかが欠けても成り立たない「イコールパートナー」だと訴えてきました。我々の事業を安定させるためにも、値上げは粘り強く要求していくべきで、そのためには足並みをそろえ…

MEISEI、協立化成 植物由来のプラ製品

プラスチック金型メーカーのMEISEI(旧名古屋精密金型、愛知県知多郡東浦町、0562・84・7600)は10月30日~11月1日の3日間、ポートメッセなごやで開催された「メッセナゴヤ2024」のサーキュラーエコノミーあ…

銅合金の拡販に注力
白銅

成形効率や品質向上を提案  非鉄金属や銅などを扱う専門商社の白銅(東京都千代田区、03-6212-2811)が金型向け銅合金の拡販に注力している。昨年からマテリオン社(米)の銅合金「モールドマックスHH」を国内で唯一在庫…

アイダエンジニアリング 金型寿命予測などプレス加工業のDX支援【金型テクノラボ】

人工知能(AI)を活用した技術が製造業でも実装され始めている。当社では、プレス機から得たさまざまなデータをAIで分析し、金型の寿命予測や加工相談などプレス加工業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するアプリケ…

刃先交換式工具を拡充
MOLDINO

荒、仕上げ用など3製品  MOLDINO(東京都墨田区、03-6890-5101)はこのほど、刃先交換式工具シリーズから高送りラジアスミルなど3製品を発売した。製品ラインアップを拡充し、金型加工の多様なニーズに対応する。…

トピックス

関連サイト