金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

06

新聞購読のお申込み

【金型の底力】キヤノンモールド世界に誇れる「見通せる工場」

世界一の金型メーカーへ 新本社工場が本格稼働

斎藤  憲久社長

キヤノンモールドは移転を進めていた「本社・友部事業所」を7月から本格稼働させた。市内に分散していた工場を1か所に集約。自動化や人・モノの移動を減らすなどして、従来比で1.5倍の生産能力を図る。さらに、強みとする人によるこだわりの金型づくりを強化し、金型の高付加価値化を進めることで「世界一のプラスチック金型メーカーを目指す」(斎藤憲久社長)。

荒加工工程を自動化したシステム
型内組立できるキューブシステムモック

同社は2007年、キヤノンの金型部門、キヤノン化成の金型部門、イガリモールドが統合して発足。以降、「友部事業所」(茨城県笠間市)と、「阿見事業所」(同県阿見町)」に分かれて運営してきた。阿見事業所は主にキヤノン向けの金型を、友部事業所は自動車や医療機器など幅広い精密プラスチック金型を手掛ける。

今回集約したのは友部事業所。笠間市内の6か所に分散していた工場を、敷地面積10万㎡、延べ床面積約1万8000㎡の新工場にまとめた。狙いは自動化に加え、人やモノの移動などを最小限に抑える物流効率の改善だ。「生産量含め、すべての指標で1.5倍を目指す」(斎藤社長)という。

そのために、こだわった一つが「見通せる工場」。工場内は60m×40mの4つのゾーンに分かれるが、ゾーン内に全く柱がない。「柔軟なレイアウトが可能。また、全体を見渡せることで金型づくりの見える化につなげる」。

新本社・友部事業所

さらに、その4つのゾーンをダイセット、駒加工・組立、成形、測定・検査など加工順に並べ、一気通貫で戻りのない機能的なレイアウトにした。「これまで1工場で完結しない金型が多かった。入口から出口まで戻りのない流れを作り、人とモノの移動を最小化する」。

さらに集約効果を出すために、荒加工の自動化ラインを導入した。2台の横型マシニングセンタに20パレットと搬送ロボットを持つ自動化システムを2ライン構築し、24時間フル稼働を可能にした。「各工場に分散していた荒加工を集めることで、自動化できる加工量を確保できた」。

新工場では生産性向上だけでなく、金型づくりのこだわりも継承する。新工場のコンセプトを「創業の理念と文化を残しつつ、時代を先取りした世界に誇れる工場」としたのがその表れだ。

斎藤社長は「現在の当社があるのは、イガリモールド時代の金型を作り込む匠の技術があったから。その部分はなくしてはいけない」と話す。そのために、新工場内に現代の名工に認定された「匠」らが人の育成を担う「名匠塾」を設けた。

人を重視するのは「金型は単なる道具ではなく、価値を生む高付加価値商品」(斎藤社長)だからだ。これまでも、型内で組立から接合までできるダイスライドインジェクション(DSI)金型などを多く手掛けてきた。最近では、独自の「型内組立」を開発し、様々なニーズに応えている。さらに「型内組立」に使用される小型射出成形装置の開発も進めている。

これだけの大規模な投資や、開発を強化するのは「国内外を含め、金型の市場は成長する」(斎藤社長)とみるからだ。そして、「今回の工場を契機にして日本一、ひいては世界一のプラスチック金型メーカーを目指す」。

会社概要

  • 本社   : 茨城県笠間市柏井812番2
  • 電話   : 0296-77-8171
  • 代表者  : 斎藤憲久社長
  • 創業   : 1972年
  • 従業員  : 520人
  • 事業内容 : 精密プラスチック金型の設計、製作。

会社の自己評価シート

加工の無人化・自動化を実現する設備力、型内組立などの設計技術が強みである。また、技能を伝承する教育機関を有するなど人材育成にも力を入れている。

金型新聞 2021年9月10日

関連記事

【この人に聞く】マーポス、マルコ・ゾーリ社長

 今年、日本法人設立50周年を迎えたマーポス(東京都大田区、03 -3772-7011)。精密計測機器を手掛け、特に金型分野ではタッチプローブやレーザーによる工具やワークの計測などで、日本の金型づくりを支えてきた。近年は…

新しい価値の金型を
キヤノンモールド 斎藤憲久社長に聞く

 キヤノンモールドが発足したのが2007年。前身のイガリモールドとキヤノンの金型部門で伝承されてきた技能や最新技術など互いの得意分野の融合を図ってきた。「新しい価値を生み出す金型メーカーを目指したい」と語る、昨年4月に同…

テラスレーザー 業務 広報チーム・稲葉  えいさん
女性技術者の魅力を発信する

レーザー溶接・金型補修機器メーカーのテラスレーザー(静岡県駿河区)に入社したのは2年前。企業の販路開拓支援などに携わっていた前職時代、製造業とも多く関わる中で「世の中は製造業がなければ成立しないということを肌で感じ、自分…

この人に聞く2015 <br>アカマツフォーシス 赤松 隆司社長

この人に聞く2015
アカマツフォーシス 赤松 隆司社長

生産性高める技術提案 シナジー生むプロ集団に  昨年10月、兄の憲一会長から経営のバトンを受け継いだ。歯車などの精密冷間鍛造金型を手掛けるアカマツフォーシスが取り引きするのは、自動車部品などのメーカー。「金型を通じて顧客…

棚澤八光社 岩手工場新設、東北でシボ加工を提供【金型応援隊】

シボ加工などを手掛ける棚澤八光社は今年4月、岩手県一関市に国内10拠点目となる岩手工場を設立した。集積が進む自動車産業を中心に東北地区の顧客に対し、より迅速かつ充実したサービスを提供していく。 岩手工場には10t/10t…

トピックス

関連サイト