工程集約で短納期化 自動車や家電、住宅設備向け精密プラスチック金型を手掛ける三洋技研(名古屋市西区)は1987年に設立し、顧客の開発案件から金型設計・製作、トライ(30~150t)までの体制を確立。熱可塑性樹脂から熱硬化…
【特集】日本の金型業界に必要な4つの課題
問われる自己変革力

左上:タブレットで工場を管理 右上:異業種と連携して作成した大型ワーク 左下:講習会で経営を学ぶ 右下:値上げに成功した金型部品
連携、デジタル化、事業承継、取引適正化
車の電動化、カーボンニュートラル、デジタルトランスフォーメーション(DX)、SDGs(持続可能な開発目標)—。金型業界を取り巻く環境の変化は加速度を増している。こうした変化にどう対応していくべきか。本紙では、今後取り組むべき課題の中でも、「デジタル化」、「連携」、「事業承継」、「取引の適正化」の4つを重要なテーマに設定した。新春特別号では、それぞれのテーマに基づき、有識者にインタビューした。
PART1:共和工業 相談役・岩渕学氏に聞く「連携」
PART2:打田製作所 社長・打田尚道氏に聞く「デジタル化」
PART3:狭山金型製作所 社長・大場治氏に聞く「事業承継」
PART4:日本金型工業会 専務理事・中里栄氏に聞く「取引適正化」
※タイトルをクリックすると、各インタビュー記事にリンクします
加速する業界の変化
金型づくりでもデジタル化への対応は不可欠だ。様々なデータがなければ自動化は進まないし、過去のデータや蓄積を活用しなければ業務スピードは上げられないからだ。ただ、そこではこれまで以上にトップの決断が重要になる。
20年以上前から、社内のデジタル化を進めてきた打田製作所の打田尚道社長もそうみる。「かつてのOAやFA、CAD/CAMなどのトレンドは全て部分最適で済んだ」。しかし、昨今のDXは「事業全体に関わるため、経営トップの決断・覚悟が必要」と指摘する。
かねてから言われる「連携」の重要性もさらに増している。その背景にあるのが自動車業界の再編の動きだ。大手自動車メーカーがCASEによ
って、事業領域が拡大していく中で、部品メーカーの役割が増し、合併などでメガサプライヤー化が進みつつある。
共和工業の岩渕学相談役は「自社に足りない技術を取りまとめて欲しいという要求は増える。それに応えるには、型種間で連携する必要がさらに増す」と分析する。
「事業承継」も大きな課題の一つだ。日本の中小企業約245万社のうち半数近くが、後継者が決まっていない。金型業界も同様だ。ある部品メーカーの金型発注の責任者は「技術や規模だけでなく、後継者の有無も発注理由の大きな一つ」という。
自ら60歳で引退宣言した狭山金型製作所の大場治社長は「経営者は会社にしがみついてはいけない。企業存続のために最善の道を選ぶべき」とし、模索しながら、事業承継を進めている。
支払い条件の見直しなど「取引環境の適正化」に向けても、機運が高まっている。政府が適正化に向けた諸施策を講じているほか、何より公正な取引をしなければ、永続しない空気が醸成されているからだ。
現在、「金型取引ガイドライン」の改訂版の策定に取り組んでいる、日本金型工業会の中里栄専務理事もそう指摘する。「ユーザーに意識の変化を感じる。改訂版では、こうした社会的背景を反映させ、サプライチェーンを構築する『イコールパートナー』というスタンスで訴えたい」とする。
いずれの課題もそれぞれ難しさがあり、一朝一夕で進まない。しかし、動かなければ何も変わらない。日本金型工業会の小出悟会長はこう指摘する。「『成功』の二文字は、できることから積極的に行動するか否かにかかっている」。積極的に自らを変化させていく自己変革力が問われている。
金型新聞 2021年1月10日
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