金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

09

新聞購読のお申込み

【特集】日本の金型業界に必要な4つの課題

問われる自己変革力


左上:タブレットで工場を管理 右上:異業種と連携して作成した大型ワーク 左下:講習会で経営を学ぶ 右下:値上げに成功した金型部品

連携、デジタル化、事業承継、取引適正化

車の電動化、カーボンニュートラル、デジタルトランスフォーメーション(DX)、SDGs(持続可能な開発目標)—。金型業界を取り巻く環境の変化は加速度を増している。こうした変化にどう対応していくべきか。本紙では、今後取り組むべき課題の中でも、「デジタル化」、「連携」、「事業承継」、「取引の適正化」の4つを重要なテーマに設定した。新春特別号では、それぞれのテーマに基づき、有識者にインタビューした。

PART1:共和工業 相談役・岩渕学氏に聞く「連携」
PART2:打田製作所 社長・打田尚道氏に聞く「デジタル化」
PART3:狭山金型製作所 社長・大場治氏に聞く「事業承継」
PART4:日本金型工業会 専務理事・中里栄氏に聞く「取引適正化」
※タイトルをクリックすると、各インタビュー記事にリンクします

加速する業界の変化

金型づくりでもデジタル化への対応は不可欠だ。様々なデータがなければ自動化は進まないし、過去のデータや蓄積を活用しなければ業務スピードは上げられないからだ。ただ、そこではこれまで以上にトップの決断が重要になる。

20年以上前から、社内のデジタル化を進めてきた打田製作所の打田尚道社長もそうみる。「かつてのOAやFA、CAD/CAMなどのトレンドは全て部分最適で済んだ」。しかし、昨今のDXは「事業全体に関わるため、経営トップの決断・覚悟が必要」と指摘する。

かねてから言われる「連携」の重要性もさらに増している。その背景にあるのが自動車業界の再編の動きだ。大手自動車メーカーがCASEによ
って、事業領域が拡大していく中で、部品メーカーの役割が増し、合併などでメガサプライヤー化が進みつつある。

共和工業の岩渕学相談役は「自社に足りない技術を取りまとめて欲しいという要求は増える。それに応えるには、型種間で連携する必要がさらに増す」と分析する。

「事業承継」も大きな課題の一つだ。日本の中小企業約245万社のうち半数近くが、後継者が決まっていない。金型業界も同様だ。ある部品メーカーの金型発注の責任者は「技術や規模だけでなく、後継者の有無も発注理由の大きな一つ」という。

自ら60歳で引退宣言した狭山金型製作所の大場治社長は「経営者は会社にしがみついてはいけない。企業存続のために最善の道を選ぶべき」とし、模索しながら、事業承継を進めている。

支払い条件の見直しなど「取引環境の適正化」に向けても、機運が高まっている。政府が適正化に向けた諸施策を講じているほか、何より公正な取引をしなければ、永続しない空気が醸成されているからだ。

現在、「金型取引ガイドライン」の改訂版の策定に取り組んでいる、日本金型工業会の中里栄専務理事もそう指摘する。「ユーザーに意識の変化を感じる。改訂版では、こうした社会的背景を反映させ、サプライチェーンを構築する『イコールパートナー』というスタンスで訴えたい」とする。

いずれの課題もそれぞれ難しさがあり、一朝一夕で進まない。しかし、動かなければ何も変わらない。日本金型工業会の小出悟会長はこう指摘する。「『成功』の二文字は、できることから積極的に行動するか否かにかかっている」。積極的に自らを変化させていく自己変革力が問われている。

金型新聞 2021年1月10日

関連記事

デジタル活用し設備全体をCAE解析する【変わるトヨタの型づくり】

PART1:デジタル活用 精密金型の生産性を向上 トヨタ自動車が型造りで注力する取り組みの一つがデジタル活用だ。精密部品向けの金型を手掛けるモノづくりエンジニアリング部では、デジタルデータを活用することによって、金型だけ…

【特集】金型企業年金新制度へ 3氏に聞く、新制度の背景とメリット〜「経営」と「社員の人生」支える仕組み〜

【特集】金型企業年金新制度へ 3氏に聞く、新制度の背景とメリット〜「経営」と「社員の人生」支える仕組み〜

掛け金率選択制に 税控除など利点大きく 社員の第2の人生豊かに 日本金型工業厚生年金基金は昨年11月2日、いったん解散し「日本金型工業企業年金基金」として生まれ変わった。高い予定利率などの旧制度の課題を解決するとともに、…

牧野フライス製作所 執行役員 高山幸久営業本部長に聞く【特集:進む設備の大型化】

大型機組立工場新設の理由 牧野フライス製作所は昨年末、山梨県富士吉田市に大型加工機の組み立て工場を新設すると発表した。12年ぶりの新工場で、総額210億円を投資し、大型加工向けを強化する。2026年初めに本格稼働する予定…

DXの本質は生産性の向上と人材育成 佐藤声喜氏(KMC社長)【特集:利益を生むDX】

多くの製造現場がDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性を認識する一方で、DX導入に苦労している企業や製造現場も少なくない。そうした中、「製造DXソリューションカンパニー」を掲げるKMC(川崎市高津区)は、工作機…

約40億円投じ新工場設立 超ハイテン技術を核に事業展開[プレス加工技術最前線]

自動車の電動化や軽量化ニーズの高まり、短納期化、熟練作業者の減少など、プレス加工を取り巻く環境は大きく変化している。プレス加工メーカーへの要求も高度化しており、これまで以上に技術革新を進め、変化するニーズに対応することが…

トピックス

関連サイト