金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

08

新聞購読のお申込み

進む自動化・見える化 複数の加工工程を集約する生産システムの構築【特集:2022年金型加工技術5大ニュース】

金型づくりの世界では、自動化やAM、脱炭素向けなどの最新技術が数多く登場し続けている。その進化は止まることがなく、4年ぶりに開催されたJIMTOF2022でも多数の最新技術が披露され、注目を集めた。今年最後となる本特集では、「AMによる金型づくりの拡大」、「微細加工への参入企業増加」、「プログラム効率化技術の進化」、「脱炭素対応技術の登場」、「多様化する自動化技術」の5つのテーマにフォーカスし、2022年の最新金型加工技術をまとめた。

複数の加工工程を集約

AMRとロボットを組み合わせた自動化システム

生産システムの構築

国内製造業は慢性的な人材不足により生産現場の自動化ニーズが高まっている。そうした自動化設備は量産工程の中でロボット活用やセル生産方式など変革が進んできたが、金型生産現場も5軸加工機や複合加工機を用いた工程集約、段取り時間の短縮など省人・省力化につながる機械・機器の提案が増えている。

これまでの金型加工は一品一様かつ高精度な加工が求められるため、マシニングセンタや放電加工、ラップ加工(磨き)、測定など複数工程を要していたが、同時5軸加工機や複合加工機などの高精度化や機上測定の技術が進化し、1台の機械に工程を集約することも可能になってきた。さらに、夜間や休日をフル活用するには多品種少量の自動化システムが求められ、AWC(オートワークチェンジャー)などを活用した生産システムの構築がノウハウの1つになり、サイズ・材質・形状の異なるワークに対応した自動化システムを構築した企業もある。工作機械メーカーも金型メーカーの自動化ニーズに応え、金型製造現場向けの自動搬送ロボットや協働ロボットを活用した自動化システムの開発を進めている。

こうした自動化システムは複雑化しており、予期せぬトラブルも多い。ある金型メーカーでは自動化システムのトラブルとしてワークに切粉が残るなど清掃の課題があると指摘する。そうしたトラブルを未然に防ぐ、あるいは迅速に対応するためにも、センサやカメラを使ったIoTによる可視化も重要になっている。

増加傾向にあるのが金型の可視化(見える化)だ。金型ユーザーの大きな課題は量産時における不良低減となるが、現場の技能や環境によって状況は異なるため、簡単に不良を減らせない。昨今は人手不足も深刻になっており、常に良品を生み出すシステムの構築が求められている。そこで期待されているのが金型内に圧力や温度などセンサを配置し、IoTの技術を活用して金型の状態を見える化し、予兆保全や自動で最適な加工条件を導き出せるシステムの開発を進める金型メーカーも出てきた。将来は量産時の不良ゼロを実現する新システムが生まれる可能性もある。

金型新聞 2022年12月10日

関連記事

【特集】日本の金型業界に必要な4つの課題

問われる自己変革力 連携、デジタル化、事業承継、取引適正化 車の電動化、カーボンニュートラル、デジタルトランスフォーメーション(DX)、SDGs(持続可能な開発目標)—。金型業界を取り巻く環境の変化は加速度を増している。…

価格の引き上げ急務 業界を挙げた取引環境是正へ【特集:どうする値上げ】

金型の製造コストが上昇している。金型の母材として多く使われる工具鋼や、各種金型部品などが相次いで値上げされたためだ。加えて、工場稼働に必要な電気料金も依然、上昇傾向にある。金型メーカー各社は、取引先への価格の引き上げ交渉…

リョービ、新田真部長インタビュー 解析駆使し開発期間短縮【特集:ダイカスト最前線】

金属3D積層で水管自在 リョービはダイカスト金型の開発で、ダイカストプロセス解析技術の向上や、金属3D積層埋め子(入れ子)の活用を進めている。金型の設計・製作期間を短縮し、またギガキャストなど次代の製品の金型を開発にも活…

日新精機が繁忙期対策のために進めることとは

協力企業との連携推進 時期によって業務の量に差が生じることは少なくない。特に金型業界では、製品のモデルチェンジや更新のタイミングなどに受注が集中するため、繁忙期と閑散期で現場の稼働状況は大きく異なる。繁忙期には残業や休日…

金型メーカー座談会<どうなる2014年 どうする今後の展開>

金型メーカー座談会<どうなる2014年 どうする今後の展開>

経営者が語る 視野広げ新規開拓 1月10日号のつづき 樫山 どんな方法で新規開拓しているんですか? 鈴木 インターネットで調べたり、展示会等に行き情報を集めたりします。ただ、プレス金型の納入先ですと顧客の幅が狭くなるので…

トピックス

関連サイト