独自の成形、金型技術で実現 樹脂レンズの光学設計から金型、成形、組立までを手がける精工技研は、紫外線(UV)硬化樹脂を用いた大口径レンズを開発した。独自の成形技術や金型技術によって実現。熱可塑性樹脂やガラスでは要求が満た…
低廉化金型を開発 魚岸成光氏(魚岸精機工業社長)【特集:次の10年を勝ち残る4つの道】
EV化などによる金型需要の変化やAMをはじめとする新たな製造技術の登場など金型産業を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化している。金型メーカーには今後も事業を継続、成長させていくため未来を見据えた取り組みが求められている。既存の事業を強化するのか、派生技術を伸ばすのか、あるいは新事業に手を伸ばすのか。さまざまな戦略が考えられる。金型メーカー経営者にインタビューし、次の10年を勝ち残るための戦略について聞いた。
金型を強化する
ダイカスト金型を手掛ける魚岸精機工業は独自の型構造や材料を採用し、成形ロット数に合わせて価格を安くする「低廉化金型」を開発した。足元では、低廉化金型などで使った部品のリサイクルから金型の廃棄までをサポートするサプライチェーンの構築も進めている。

低廉化金型を開発したのは、日本の金型業界を冷静に分析した結果です。電動車で部品の共通化が進み、生産数の増える部品もある。しかし、全体としては、大量生産は減り、少量生産が増えるのは確実です。
こうした変化にどう対応すべきか。共通化で増える部品は長寿命化などこれまでの金型技術を磨けばいい。少量生産でも利益を出すには「低廉化金型」は必要でした。品質を絞るので、金型の性能を担保する難しさはありますが、継続して開発に取り組んでいます。
今後は脱炭素など環境問題が加速すると「無駄を減らそう」という流れが強まるのは必至です。「少ロットだから安く」というだけでなく、サプライチェーン全体でどう無駄を減らすかが重要になると思います。
そこで販売した金型をお客様から買い取り、金型部品や材料を再利用できるネットワークの構築を進めています。まずは、最も金型で手間がかかる設計時間を減らすために、金型づくりの標準化などが欠かせません。
この仕組みが構築できれば、お客様も型保管の手間は省けるし、金型のコストダウン、部品の廃棄ロス、ひいては二酸化炭素削減にもつながります。設計から生産、廃棄までのサプライチェーン全体を一方通行ではなく、循環させることで、金型の価値を向上させていければと思います。
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金型新聞 2023年1月10日
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