金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

28

新聞購読のお申込み

電動系、車体系部品へ事業拡大【特集:自動車の電動化とダイカスト】

自動車の電動化が金型に及ぼす影響は大きい。エンジンなどの減少が懸念される一方、軽量化ニーズでアルミの採用が期待されるなどダイカスト金型は変化を迫られている。では電動化でダイカストはどう変わっていくのか。昨秋のダイカスト展での出展製品などから変化のトレンドを探るとともに、変革期に挑むダイカスター、ダイカスト金型メーカーを取材した。

ハイサイクル、大型化に対応

アーレスティ執行役員(アーレスティダイモールド浜松社長)浅井宏一(あさい・こういち)氏
1958年生まれ、山梨県出身。81年東北大学卒業。2015年アーレスティ入社。19年アーレスティメヒカーナ社長、21年執行役員、同年アーレスティダイモールド浜松社長に就任し、現在に至る。

電動化による影響は。

ハイブリッド車(HV)であれば、既存の自動車部品にモータやバッテリー、インバータなどの電動化部品が加わるため、部品点数は増える方向にあった。それが電動車(EV)になると、部品点数が極端に減る。すでに日本の自動車メーカーも新しいエンジンの開発はほぼストップしている状況で、出てくる仕事はEV関連部品が多い。

注力していることは。

電動車向け部品の受注。また、電動系部品と車体系部品への拡大だ。電動系部品はバッテリーケースやモータハウジングなどといった部品。電動化で必要となるアルミダイカスト製品の開拓を進めている。一方、車体系部品はこれまで板金加工で製造されていたショックタワーなどの構造部品。軽量化ニーズが高まる中、ダイカストへの置き換えを提案している。

既存部品との違いは。

電動系部品はハイサイクルが求められる。1つの部品が複数の車種で使用されるため、生産数が多くなり、いかにサイクルタイムを短くするかが課題となる。これまで1個当たり60秒程度だったのが、40秒切るほどまで短くすることが要求される。そうなると、金型には短時間で冷却するための機能や真空鋳造などより生産性の高い鋳造法への対応などが求められる。

車体系部品では。

大型化だ。例えばドアだと1・5m×1mほどの大きさで、鋳造機だとシリンダブロックなどを生産していた2500~3500tクラスが必要になる。ただ、金型は熱処理や冷却で少し課題はあるものの、もともと板金加工で製造していた部品なので、難度はそこまで高くなく、現状の技術で十分対応できる。

金型製造ではどんなことに取り組んでいるか。

直彫りと5軸加工を取り入れている。リードタイムの短縮が求められる中、いかに早く加工できるかが鍵となる。直彫りは以前から取り組んでいるが、L/Dの大きい加工など技術開発を進めている。また、5軸加工では立形と横形5軸マシニングセンタを保有し、効率化を進めている。

それほどリードタイムの短縮が求められるのか。

例えば、成長著しい中国のEVメーカーからは従来の半分以下の納期を要求される。いかに早く作るかが、競争力の源泉になると考えている。

今後の戦略は。

海外市場を開拓したい。特に中国や欧米は今後、EV市場の中心になる。浜松工場と同程度の製造能力を持つ中国工場を中心に、市場の需要を上手く取り込むための取り組みを進めていく。

金型新聞 2023年3月10日

関連記事

4年ぶりの工作機械見本市「JIMTOF2022」開幕 見どころをピックアップ

国内最大の工作機械展いよいよ開幕!! 世界最大級の工作機械見本市「JIMTOF2022(第31回日本国際工作機械見本市)」が11月8日から13日までの6日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開幕する。主催は東京ビッグサ…

久野金属工業 取締役副社長 久野 功雄氏 〜鳥瞰蟻瞰〜

我が社しか実現できないモノを 少し高くても選んで頂けるそれがブランド力         従来のお客様と金型メーカーには阿吽の呼吸のようにお互いを必要とする関係があり、スムーズに仕事を進める上で大切です。ですが、…

【ひと】誠武製造部・伊澤高雄さん(44)

天職の金型磨きでコンテストを優勝した  与えられた時間は3分。その限られた時間の中で、金属を磨き、表面の精密さを競う。鏡のように輝く仕上がりにするには卓越した技能とノウハウが要る。  昨年、インターモールド2019のジー…

ヒシヌママシナリー・菱沼慎介社長 世界から選ばれる会社へ【この人に聞く】

新しい市場ニーズに対応 ダイカストマシンメーカーのヒシヌママシナリー(埼玉県嵐山町、0493・62・3311)は昨年11月、菱沼慎介常務が社長に就任した。同社はマシンだけでなく、自動化装置や金型温調機などの周辺装置も含め…

日進精機 半導体部品分野に参入

培った技術活かす 自動車の電動化、医療関連や半導体関連需要の拡大などで、国内のものづくり産業に求められるものも大きく変化している。自動車の電動化ではモータやバッテリーなどの電動化部品や材料置換による軽量化部品などが増えて…

トピックス

関連サイト