金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

FEBRUARY

15

新聞購読のお申込み

電動系、車体系部品へ事業拡大【特集:自動車の電動化とダイカスト】

自動車の電動化が金型に及ぼす影響は大きい。エンジンなどの減少が懸念される一方、軽量化ニーズでアルミの採用が期待されるなどダイカスト金型は変化を迫られている。では電動化でダイカストはどう変わっていくのか。昨秋のダイカスト展での出展製品などから変化のトレンドを探るとともに、変革期に挑むダイカスター、ダイカスト金型メーカーを取材した。

ハイサイクル、大型化に対応

アーレスティ執行役員(アーレスティダイモールド浜松社長)浅井宏一(あさい・こういち)氏
1958年生まれ、山梨県出身。81年東北大学卒業。2015年アーレスティ入社。19年アーレスティメヒカーナ社長、21年執行役員、同年アーレスティダイモールド浜松社長に就任し、現在に至る。

電動化による影響は。

ハイブリッド車(HV)であれば、既存の自動車部品にモータやバッテリー、インバータなどの電動化部品が加わるため、部品点数は増える方向にあった。それが電動車(EV)になると、部品点数が極端に減る。すでに日本の自動車メーカーも新しいエンジンの開発はほぼストップしている状況で、出てくる仕事はEV関連部品が多い。

注力していることは。

電動車向け部品の受注。また、電動系部品と車体系部品への拡大だ。電動系部品はバッテリーケースやモータハウジングなどといった部品。電動化で必要となるアルミダイカスト製品の開拓を進めている。一方、車体系部品はこれまで板金加工で製造されていたショックタワーなどの構造部品。軽量化ニーズが高まる中、ダイカストへの置き換えを提案している。

既存部品との違いは。

電動系部品はハイサイクルが求められる。1つの部品が複数の車種で使用されるため、生産数が多くなり、いかにサイクルタイムを短くするかが課題となる。これまで1個当たり60秒程度だったのが、40秒切るほどまで短くすることが要求される。そうなると、金型には短時間で冷却するための機能や真空鋳造などより生産性の高い鋳造法への対応などが求められる。

車体系部品では。

大型化だ。例えばドアだと1・5m×1mほどの大きさで、鋳造機だとシリンダブロックなどを生産していた2500~3500tクラスが必要になる。ただ、金型は熱処理や冷却で少し課題はあるものの、もともと板金加工で製造していた部品なので、難度はそこまで高くなく、現状の技術で十分対応できる。

金型製造ではどんなことに取り組んでいるか。

直彫りと5軸加工を取り入れている。リードタイムの短縮が求められる中、いかに早く加工できるかが鍵となる。直彫りは以前から取り組んでいるが、L/Dの大きい加工など技術開発を進めている。また、5軸加工では立形と横形5軸マシニングセンタを保有し、効率化を進めている。

それほどリードタイムの短縮が求められるのか。

例えば、成長著しい中国のEVメーカーからは従来の半分以下の納期を要求される。いかに早く作るかが、競争力の源泉になると考えている。

今後の戦略は。

海外市場を開拓したい。特に中国や欧米は今後、EV市場の中心になる。浜松工場と同程度の製造能力を持つ中国工場を中心に、市場の需要を上手く取り込むための取り組みを進めていく。

金型新聞 2023年3月10日

関連記事

この人に聞く
MACHICOCO 戸屋加代 代表

 製造業のネット活用は新規顧客や新分野の開拓、知名度向上など様々な方面で大きな効果を上げている。金型メーカーにとっても例外ではない。ただ、その効果は限定的で、ホームページ(HP)を作っても大きな効果を得られていない企業も…

【鳥瞰蟻瞰】長野県南信工科短期大学校 准教授・中島 一雄氏「調べ、試し、失敗を繰り返しながら挑戦」

技術者の教育には考えさせることが重要DXで一層必要になる 分かっているものに取り組んでいても技術者としての成長はありません。自らで調べ、試し、失敗を繰り返しながら挑戦していくことこそが技術者の根幹であり、何よりも重要なこ…

堀江亜衣奈さん 醍醐味は職人技の瞬間【ひと】 

「六角パンチやピンの研削加工では多少寸法のズレが発生するため、補正するのが常ですが、狙い通りに寸法がハマッた瞬間はヨシッとガッツポーズします」と笑顔を見せるのは堀江亜衣奈さん(22)。精密鍛造金型や部品を手掛ける阪村エン…

笹山勝社長に聞く SAIMS247が目指すこと【ササヤマ challenge!Next50】

新中期経営計画「SAIMS247」。その狙い、そして目的は。笹山勝社長に聞いた。 「短納期」を強みに、海外での競争に打ち勝つ SAIMS247の3カ年の目標は金型の製作期間半減。その真の狙いは金型の競争力の再強化です。当…

【鍛造金型特集】<br>日本鍛造協会 八木議廣会長に聞く<br>熱間鍛造の動向

【鍛造金型特集】
日本鍛造協会 八木議廣会長に聞く
熱間鍛造の動向

 鍛造は大きく熱間と冷間に分かれるが、重量ベースでは圧倒的に熱間が多い。成形品が比較的大きいことも理由の一つだ。一方で、金型はコストや納期の問題から圧倒的に内製率が高いという。自らも熱間鍛造部品を手掛ける、日本鍛造協会の…

トピックス

関連サイト