金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

OCTOBER

24

新聞購読のお申込み

電動系、車体系部品へ事業拡大【特集:自動車の電動化とダイカスト】

自動車の電動化が金型に及ぼす影響は大きい。エンジンなどの減少が懸念される一方、軽量化ニーズでアルミの採用が期待されるなどダイカスト金型は変化を迫られている。では電動化でダイカストはどう変わっていくのか。昨秋のダイカスト展での出展製品などから変化のトレンドを探るとともに、変革期に挑むダイカスター、ダイカスト金型メーカーを取材した。

ハイサイクル、大型化に対応

アーレスティ執行役員(アーレスティダイモールド浜松社長)浅井宏一(あさい・こういち)氏
1958年生まれ、山梨県出身。81年東北大学卒業。2015年アーレスティ入社。19年アーレスティメヒカーナ社長、21年執行役員、同年アーレスティダイモールド浜松社長に就任し、現在に至る。

電動化による影響は。

ハイブリッド車(HV)であれば、既存の自動車部品にモータやバッテリー、インバータなどの電動化部品が加わるため、部品点数は増える方向にあった。それが電動車(EV)になると、部品点数が極端に減る。すでに日本の自動車メーカーも新しいエンジンの開発はほぼストップしている状況で、出てくる仕事はEV関連部品が多い。

注力していることは。

電動車向け部品の受注。また、電動系部品と車体系部品への拡大だ。電動系部品はバッテリーケースやモータハウジングなどといった部品。電動化で必要となるアルミダイカスト製品の開拓を進めている。一方、車体系部品はこれまで板金加工で製造されていたショックタワーなどの構造部品。軽量化ニーズが高まる中、ダイカストへの置き換えを提案している。

既存部品との違いは。

電動系部品はハイサイクルが求められる。1つの部品が複数の車種で使用されるため、生産数が多くなり、いかにサイクルタイムを短くするかが課題となる。これまで1個当たり60秒程度だったのが、40秒切るほどまで短くすることが要求される。そうなると、金型には短時間で冷却するための機能や真空鋳造などより生産性の高い鋳造法への対応などが求められる。

車体系部品では。

大型化だ。例えばドアだと1・5m×1mほどの大きさで、鋳造機だとシリンダブロックなどを生産していた2500~3500tクラスが必要になる。ただ、金型は熱処理や冷却で少し課題はあるものの、もともと板金加工で製造していた部品なので、難度はそこまで高くなく、現状の技術で十分対応できる。

金型製造ではどんなことに取り組んでいるか。

直彫りと5軸加工を取り入れている。リードタイムの短縮が求められる中、いかに早く加工できるかが鍵となる。直彫りは以前から取り組んでいるが、L/Dの大きい加工など技術開発を進めている。また、5軸加工では立形と横形5軸マシニングセンタを保有し、効率化を進めている。

それほどリードタイムの短縮が求められるのか。

例えば、成長著しい中国のEVメーカーからは従来の半分以下の納期を要求される。いかに早く作るかが、競争力の源泉になると考えている。

今後の戦略は。

海外市場を開拓したい。特に中国や欧米は今後、EV市場の中心になる。浜松工場と同程度の製造能力を持つ中国工場を中心に、市場の需要を上手く取り込むための取り組みを進めていく。

金型新聞 2023年3月10日

関連記事

三井化学、共和工業 M&Aで事業展開にシナジー【特集:連携・M&Aで乗り越える】

部品開発や共同研究 2014年に共和工業が三井化学グループに入ってから9年。グループ内で共同開発した部品が自動車メーカーに採用されたり、共同研究を進めたり、協業による相乗効果を高めている。近年は住宅設備部品開発でも手を組…

【特集:2023年金型加工技術5大ニュース】1.ギガキャスト

一体鋳造の流れ加速 「ギガキャスト」は今年最も注目を浴びたワードの一つ。定義は明確に決まっていないが、6000tを超える型締め力(1万6000tも発表されている)のダイカストマシンで複数の部品を一体成形する技術だ。 トヨ…

次世代3次元積層技術の研究会を発足、金型への実装を目指す 吉田 佳典氏(岐阜大学 工学部教授 )【鳥瞰蟻瞰】

4月に本学にある、地域連携スマート金型技術研究センター内に「次世代3次元積層技術研究会」を立ち上げました。活動は金属3Dに関連した研究会と勉強会ですが、岐阜大が目指すのは金属3D積層技術を生かした金型づくりを社会実装する…

この人に聞く2016 <br>C&Gシステムズ 塩田 聖一社長

この人に聞く2016
C&Gシステムズ 塩田 聖一社長

開発やサポートを強化 金型業界を支え続ける存在に  金型用CAD/CAMメーカー、C&Gシステムズの業績が回復を続けている。グラフィックプロダクツとコンピュータエンジニアリングが合併してから6年間の年平均成長率が9%を超…

【特集:技能レス5大テーマ】3.研削加工

誰でも高精度な研削 金型づくりで欠かせない研削加工。仕上げに近い工程のため、熟練技能を必要とする領域は多い。しかし近年、長年培った経験やノウハウを持っていなくても高精度の研削加工ができる機械や装置などが登場している。人手…

トピックス

関連サイト