樹脂部品の金型から成形、組み立てまでを手掛けるムトー精工は金属3Dプリンタによる金型づくりを進めている。成形サイクルを上げ、コストダウンや成形機の設備削減などを狙う。さらに、他の技術と組み合わせ、付加価値の向上にもつなげ…
【この人に聞く】三井精機工業社長・加藤欣一氏「”高精度”生かし、金型加工に適した機械を提供」
三井精機工業(埼玉県川島町、049-297-5555)が、金型分野に注力している。今春、新型の微細加工機と、ジグ研削盤を発売。今後需要の拡大が期待される電気自動車(EV)や電子部品関連の金型加工向けを中心に売り込んでいく。「当社最大の強みである“高精度”を活かして、これからの金型加工に適した機械を提供していくことが必要」と話す加藤欣一社長に、金型加工向け新機種の特長や注力する理由、今後の展開などについて聞いた。
かとう・きんいち
1956年生まれ、山梨県出身。79年慶應義塾大学工学部機械科卒業後、三井精機工業入社。精機(工作機械)部門の営業副本部長や生産本部長、事業企画本部長などを経て、19年社長に就任し、現在に至る。
この春、金型加工向け新機種を発売した。
2機種を発売した。一つは、プレシジョンセンタ「PJ303X」だ。いわゆる微細加工機と呼ばれる機種で、高い寸法精度、面精度が要求される加工に適している。5Gの普及やスマホの進化などで、これからさらに需要が増えそうな精密電子部品やカメラレンズなどの金型加工向けに開発した。
もう一つは。
高精度ジグ研削盤「J750G」だ。テーブル移動量1530㎜、サドル移動量1020㎜と、国内外のジグ研削盤で最大のストロークを誇る。自動車の電動化で市場が拡大しているモータコア用金型のプレート加工に適しており、近年の大型化ニーズに対応する。
なぜ金型分野に注力するのか。
当社の機械は航空機部品や試作部品など一品一葉で高い精度が要求される加工を得意としてきた。金型もその内の一つで、15年ほど前に市場投入した5軸制御立形マシニングセンタ「Vertex」シリーズなどは、多くの金型企業に導入してもらっている。一方で、今後EVや5Gなどによって、金型加工に要求されるニーズも変化していくことが考えられる。こうしたニーズに対して、当社の最大の強みである“高精度”を生かし、これからの金型加工に適した機械を提供していくことが必要だと考えた。
どのように変化するか。
例えば現在、加工の高精度化が進み、切削と研削の境目がなくなりつつある。マシニングセンタで研削盤の加工領域をカバーするなど、1台の機械に求められる領域が広がっている。鏡面や超精密加工が可能な「PJ303X」はそうしたニーズに対応できる機械と言える。
微細加工機は競合メーカーも多いが、今後どのように提案していくか。
「PJ303X」はX、Y、Zの各直線軸にリニアモータを採用している。当社は20年以上前からリニアモータを搭載した機械を開発、販売しており、機械の精度と品質には大きな自信がある。それだけでなく、機上測定やIoTなどのアプリケーションも含めて提供していきたいと考えている。自動化システムもその一つ。なるべく人が介在しなくても高精度な加工を可能にする提案を行っていきたい。
金型新聞 2021年6月10日
関連記事
勝負は中身だ 他社よりも一歩先へ 好循環生まれる体制を 〜技術開発の必要性〜 1939年生まれ、滋賀県出身。立命館大学法学部卒、61年に大垣市内にある会社に就職したのち、68年に同社(大垣精工)を創業。超精密プレス金型…
コネクタメーカーを始め、全国の金型ユーザーから補修の依頼が舞い込む。50μmという微細な肉盛り溶接ができるからだ。あまりに微細なため、溶加棒も自社製というこだわりを持つ。 また微細溶接だけではなく、ダイカスト金型等のボリ…
この人に聞く 2018 ソディックは今年1月、創業者の古川利彦氏が名誉会長に、金子雄二社長が会長に就く人事を発表。3月29日付で、古川名誉会長の子息でもある古川健一副社長が社長に就任した。「顧客の要望に『できない』と言…
トヨタ自動車は昨年、2026年に投入を予定している次世代EVの生産工場にギガキャストを取り入れると発表した。従来数十点の板金部品で作っていたものをアルミダイカストで一体成形することで、部品点数を大幅に削減し、生産工程を半…