金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

OCTOBER

28

新聞購読のお申込み

サブスク、クラウドで手軽にシミュレーション【特集:シミュレーションの使い方再発見!!】

インターネットなどのネットワークを経由してソフトを提供する「SaaS(サース)」。ファイル共有サービスやビジネスチャットツールなど、さまざまなソフトで普及が進む中、金型設計などで活用するシミュレーションソフトでもクラウドやサブスクリプション(定額課金)で手軽に利用できる製品が増加している。従来のパッケージ型とは異なり、目的に応じた柔軟な使い方が可能となるため、シミュレーションソフトのさらなる利用拡大が期待される。

NTTデータエンジニアリングシステムズ(東京都大田区、03・5711・5300)は2022年11月、クラウドを活用したシミュレーションサービス「Simulation‐Space」の提供を開始した。同社の共通プラットフォーム上で、Hexagonグループ(スウェーデン)が提供するシミュレーションソフトを利用することができる。

提供するソフトは、金属成形加工解析の「Simufact Forming」、熱流体解析の「CradleCFD」、汎用非線形有限要素解析の「Marc」、汎用構造解析の「MSC Nastran」の4つ。月々の基本使用料数万円と、1時間当たり5000円~1万円の従量課金でソフトの利用が可能。同社では従来からのパッケージ型での購入も可能とする。ユーザーは使い方に応じて柔軟に選択することができる。

16年に永久ライセンスからサブスクリプションライセンスに移行したオートデスク(東京都中央区)でも、樹脂流動解析ソフト「Moldflow」の柔軟な使い方を可能にするさまざまなオプションを増やし、利便性を向上させている。以前から提供しているクラウド上で計算を行うオプションに加えて、23年からは24時間ごとの従量課金制や、ローカル/ネットワーク上で1解析当たりの課金で利用できるオプションの提供を開始した。

また、22年からはライセンス契約方法をこれまでのシリアル番号単位から、個々のユーザーに専用アクセス権を割り当てる「シングルユーザーライセンス」に移行。これによって、ユーザーごとにソフトの使用状況が確認でき、使用頻度の少ないユーザーは1解析ごとの利用や従量課金制に切り替えるなど、より最適な運用につなげることができるようになった。

これまでシミュレーションソフトを導入するには、数百万~数千万円の投資が必要となるため、利用したくても高額な初期費用がネックとなるケースが少なくなかった。クラウドやサブスクリプションでのソフトの提供は、導入コストやアップデートにかかる運用管理コストを不要とし、導入へのハードルを大きく下げることができる。

また、インターネット環境があれば、どこでも利用が可能なほか、パソコンの性能に関係なく処理することもできる。これらのメリットによって、シミュレーションソフトを利用する頻度の高くない企業や、一時的に処理能力を上げたい企業、設備環境が整備されていない企業などでも利用しやすくなる。今後、シミュレーションソフトは利用が拡大するとともに、使い方の多様化も進みそうだ。

金型新聞 2023年5月10日

関連記事

ニチダイ 古屋氏が代表権のない会長に

ニチダイは4月1日付けで代表取締役会長の古屋元伸氏を代表権のない取締役会長とする人事を発表した。コーポレートガバナンスの強化を図るためとしている。 金型新聞 2022年4月10日

名古屋精密金型 植物由来の樹脂でタンブラー製作

自動車用ヘッドランプなどプラスチック金型を手掛ける名古屋精密金型(愛知県知多郡東浦町、0562・84・7600)は昨年、渡邊祐子氏が社長に就任し、金型メーカーの新たな可能性に挑戦。地元である東浦町の特産品であるぶどうを原…

日本製鉄 江尻室長に聞く 自動車用鋼板のトレンドや加工技術【特集:プレス加工最前線】

自動車業界の脱炭素化や、安全性向上に欠かせない高強度鋼板による軽量化。近年では980Mpa超のウルトラハイテン(超高張力鋼板)や、2・0GPa級のホットスタンプ材など高強度化が加速している。こうした鋼板の進化で、金型づく…

フタバ産業 超ハイテンを冷間で量産【特集:プレス加工最前線】

自動車のボデー部品や排気系部品など手掛けるフタバ産業は1470MPa超ハイテン材の冷間プレス部品の量産を確立、今年1月に発売した新型プリウスに採用された。先代プリウスはホットスタンプを用いた部品を採用していたが、冷間プレ…

日本精機 AM技術でギガに挑む【特集:ギガキャストの現在地】

ソディックと共同開発、大型3Dプリンタを導入 AM技術を武器にギガキャスト向け金型で需要開拓を狙うのが、ダイカスト金型メーカーの日本精機だ。まずは、高い熱交換機能が求められるギガ向け金型で、AMで造形した入れ子部品の採用…

トピックス

AD

FARO スキャンしたらすぐに結果まで:工数低減を実現

金型のメンテナンス、修復、複製に3次元測定アームを活用 製品を製造するために欠かせない金型ですが、そのメンテナンスには多くの課題が存在します。金型は使用するうちに摩耗し、時... 続きを読む

関連サイト