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キヤノン 順送プレス工程の生産性向上に貢献する非接触測長計【金型テクノラボ】

順送プレス工程では材料の搬送量管理にパイロットやミスフィード検出が使われているものの、搬送に関わる不具合がしばしば発生している。所望の搬送が実現できない場合、不良品の発生にとどまらず、金型破損につながる場合もある。本稿では非接触での搬送量モニタを可能にするセンサとして非接触測長計「PDシリーズ」を紹介する。

非接触で搬送量を測定

非接触測長計「PDシリーズ」は、非接触で測定対象物の搬送量(横方向の1次元の変位)を測定するセンサ(図1)。測定対象物表面の微小な構造を手掛かりに計測する。白色LEDで測定対象物表面を照明、反射光をラインセンサで読み取り、画像処理により変位情報を算出する。材料そのものを読み取るリニアエンコーダとしての役割を果たす。ただ、通常のリニアエンコーダとは異なり、スケール部品が不要なため、スケールレスエンコーダとして、これまでにない自由度での運用が可能となる。

また、ローラを接触させて変位を測定するメジャーリングロールに対しても、接触圧、接触に伴う摩耗の管理が不要となる他、測定対象物表面に傷を発生させないといった利点がある。

図1 非接触測長計「PDシリーズ」の構成と使用例

搬送モニタの実測例

図にコイルフィードの測定を行った結果を示した(図2)。搬送条件は100spm。左図は順送されるコイル材の変位量を示したもので、一定量で搬送される様子が測定できている。右図は搬送間の停止状態を拡大したもの。コイル材の搬送量が1ミクロンオーダーでモニタできていることが分かる。搬送量をモニタすることで、搬送誤差が所定の大きさを超えた場合にラインを止めるような対応が可能となる。

図2 コイルフィードの測定例

加速度に追従する測定方法

非接触測長計「PDシリーズ」の特徴は大きな加速度に対しても追従できること。「PDシリーズ」以外に非接触計測が可能な市販のセンサは、レーザードップラー速度計(LDV)が挙げられる。しかし、LDVは測定原理的に大きな加速度への追従に課題があり、加減速の大きい順送プレス工程への適用は困難だった。「PDシリーズ」は、LDVの課題を解決すべく測定方式から見直して開発された製品。高速な画像処理を実装することによって、高加速度への追従を可能とした。

「PDシリーズ」の出力レートは4kHzで、100Gまでの加速度に追従可能。前述のコイルフィードの測定例では10G以上の加速度が生じていたが、問題なく測定できた。

また、高速現象の可視化手段として、ハイスピードカメラが用いられる場合がある。ハイスピードカメラは1000fps以上のスピードで2次元情報が得られるという利点がある一方で、装置が高価。一方、「PDシリーズ」は1次元的な変位の測定に限られるものの、容易に4000fpsに相当するスピードでデータを取得することができる。そのため、高速現象の解析という用途にも活用することができる。

非接触測長計の展開

DX(デジタルトランスフォーメーション)が昨今騒がれているが、「PDシリーズ」を用いた順送プレスにおける材料搬送の見える化は、生産性の向上に大いに貢献できると考えている。搬送誤差の監視以外にも搬送量情報を蓄積することで、予防保全への活用、搬送量情報と製品品質を紐づけて品質の向上につなげることもできる。

また、プレス工程では、材料搬送以外にスライドの上下運動のモニタにも適用可能。例えば、下死点の異常検出やストローク量のモニタなどにより予防保全や品質向上に活用できる。「PDシリーズ」は、これまで困難だったプレス工程各部の動的な情報の可視化を容易にするツールとして、プレス加工現場の生産性向上に貢献する。

キヤノン

  • 執筆者:計測機器事業センター 魚住 崇之氏
  • 住所:東京都大田区下丸子3-30-2
  • 電話番号:03・3758・2111

記者の目

計測を生産ラインに組み込むにはスピードとコストが課題となる。いかに導入コストを抑え、要求精度を満たしながら生産ラインを滞らせないスピードでの計測を実現するか。「PDシリーズ」はこうした課題を解決する。プレス加工現場のDXを加速させる注目技術の一つだ(平)。

金型新聞 2024年2月10日

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