金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

17

新聞購読のお申込み

昭和精工 木田康隆社長 「社員の幸福を追求し、収益力の向上を目指す」

精密プレス金型メーカーの昭和精工(横浜市金沢区、045・785・1111)の社長に昨年11月29日付で就任。いとこである木田成人前社長から経営を引き継いだ。

きだ・やすたか 
1969年生まれ、神奈川県出身。93年東海大学卒業後、昭和精工入社。加工プログラム、設計部門を経て、2011年タイに出向し、金型事業を立ち上げた。18年生産部部長、24年11月社長に就任し、現在に至る。趣味は釣り、座右の銘は「一期一会」。

入社から15年ほどはほぼ一貫して金型設計を担当していたが、2011年に突如タイでの金型事業立ち上げを任された。日本のプレス加工メーカーと共同で事業を開始し、金型部門の責任者として金型設計や営業、現地従業員の教育などに取り組んだ。

「金型や図面のことはよく理解していたが、金型がどういう工程で作り込まれていくのかは全く分かっていなかった。苦労はしたが、金型づくりの一連のプロセスを学ぶことができて、すごく勉強になった」と振り返る。事業立ち上げから数年で黒字化し、毎年利益を出せるまでに安定化させた。

社長に就任し、まず取り組んだのが経営理念の改定。「社員の幸福」と「ことづくり」を新たに掲げた。「社員が幸福を感じていなければ、お客さまに満足を届けることはできない。その実現のために、“こと”(サービス)と“もの”を組み合わせて収益力を向上させていく」。

これまで営業活動の一環で提供していた技術支援などを新たなサービスとして展開し、収益化を目指す。また、QRコードなどを活用した金型(部品)と図面や検査成績表を紐づけるシステムなども提案する。「今後、『SMART TOOLING(スマートツーリング)』という名称でさらに拡充していきたい」。

自動車の電動化に伴い、ここ数年で同社の事業も変化している。コロナ禍前までは自動車関連の金型が売上の4割ほどを占めていたが、現在は約3割に減少。その一方で、金型から生産システムまで手掛けるリチウムイオンバッテリー事業が伸長した。今後も力を入れ、需要を開拓していく考えだ。

今年、3カ年の中期経営計画を策定。「強靭な企業体質を構築する」を打ち出した。製造戦略の見直し、新規事業の開拓、価格転嫁などに取り組み、「新たな価値の創出につなげていく」と意気込む。

金型しんぶん2025年5月10日号

関連記事

【鳥瞰蟻瞰】福井精機工業社長・清水一蔵氏「これからの金型の価値は、生産技術支えるプロデュース力」

金型の価値が変わる これからの価値とは、生産技術支えるプロデュース力  高度な技能や経験、専門知識がなくても金型が作れる環境になってきました。なぜなら、これまで職人技と言われた金型加工は工作機械や切削工具などの発達によっ…

【新春特別インタビュー②】大垣精工会長・上田 勝弘氏「他社よりも一歩先へ、好循環生まれる体制を」

勝負は中身だ 他社よりも一歩先へ 好循環生まれる体制を 〜技術開発の必要性〜  1939年生まれ、滋賀県出身。立命館大学法学部卒、61年に大垣市内にある会社に就職したのち、68年に同社(大垣精工)を創業。超精密プレス金型…

黒田精工 黒田浩史社長「電動化の波捉え、 成長」

黒田精工(川崎市幸区、044・555・3800)は今年、創業100周年を迎えた。ゲージ製造から始まり、金型、研削盤、ボールねじへと事業を展開してきた同社。金型は戦後間もない1946年から製造を開始し、今に至る。近年は電動…

トヨタの型づくりはどう変化していくのか?モビツー・大澤部長×モノエン・堀田部長インタビュー【変わるトヨタの型づくり】

PART4:モノエン・モビツーのトップに聞く金型メーカーに期待すること 技能絶やさぬ取り組み / 型にとらわれぬ柔軟な視点 人の動き、 カンコツを定量化 次世代車の中でも、やはり電動化へのインパクトは大きい。金型への影響…

日型工業 金型技術ライセンスを供与 知財戦略でビジネスモデル変える【金型の底力】

金型を売り切るだけでなく、金型技術を活かし、収益をどう安定化させるかー。金型メーカーにとって普遍的な課題だ。鋳造型を手掛ける日型工業は独自技術を他社にライセンス供与し、収益化につなげている。「多くの人に使ってもらうことで…

トピックス

関連サイト