工作機械や工具、ソフトウェアなど金型づくりを支えるツールの進歩はすさまじい。こうしたツールの進化によって、加工精度は飛躍的に向上した。加工速度や微細化、自動化、計測技術なども数年前とは比較にならないほど性能や機能が進化し…
昭芝製作所 自社開発したシステム活用し、金型の棚卸や探索時間を削減【特集:デジタル活用術】
プレス金型から加工までを手掛ける昭芝製作所は「金型スマート棚卸・探索システム」を自社で開発し、2019年に導入。同システムは、無線自動識別(RFID)を活用し、簡単に金型の探索や棚卸ができる。
同社では約4000型を管理しており、特に補給品用に必要な金型を探すのに時間を要するのが課題だった。また、保管する金型のリストはあったが、どこに何が置いてあるかを正確に管理できていなかったという。同システム導入後は、棚卸や探索業務の時間が大幅に短縮された。

同システムは金型に貼り付けるRFIDタグと、タグに対応したRFIDリーダー、Android端末で構成される。システムの主な機能は2つ。特定の金型を探す「探索機能」と、棚卸を行う「棚卸機能」。
「探索機能」は金属探知機のように対象の金型の場所を特定することができる機能だ。金型が保管されている場所にリーダーをかざすと、アプリに表示されるインジケータが振れ、その大きさによってタグとの距離が分かる。これにより、熟練作業者でなくても数十秒から数分で対象の金型を探し出すことができる。「探索時間を短縮するだけでなく、技能伝承の側面もある。熟練作業者が退職した場合、金型の場所が分からなくなるといったことを防げる」(三原寛人社長)。

「棚卸機能」は、棚卸にかかる人員や時間を大幅に削減できる機能。RFIDタグは最大5~6m離れていても読み取りが可能なため、金型をラックなどから降ろさなくても棚卸作業を行える。同社によると、従来は500型の棚卸を行うのに16時間ほどの時間をかけていたが、同システムによって1~2分で読み込みができるようになったという。また、RFIDタグを読み込む際にAndroid端末の位置情報を取得し、オンライン地図上に棚卸場所を表示することも可能だ。
システムは、同社のIT部門を中心に独自開発した。開発当初は、RFIDリーダーで読取るICタグの選定に苦労したという。「タグが振動で落下しないか、油がついても問題ないかなど、ベストな形を模索し、試行錯誤を重ねた」(阿部洋人 IT戦略室室長)。
24年には同システムに関する特許を取得し、外販も開始した。同社は以前から生産に必要な自動化システムや、ITツールなどを全て内製化している。近年は自社開発したシステムやツールを外販するソリューションプロバイダー事業への参入を目指しており、同システムの外販はその一環。「自社で開発した技術やツールを軸に、自動化・無人化を実現するためのソリューション提案に注力する」(三原社長)。
会社概要
- 本社:東京都練馬区小竹町1‐43‐15
- 電話:03・3955・3176
- 代表者:三原寛人社長
- 創業:1946年
- 従業員:101人
- 事業内容:自動車部品や建設車両部品の製造、金型設計・製造など。
金型しんぶん2026年2月10日号
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